待っていたのか柱間ァ!(現代で)   作:駅員A

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ジャンプでミナト外伝が出た記念


石礫式肘打窓破壊二之段

 うだるような暑さの中、マダラも柱間もうんざりした顔で石を川に投げていた。

 

「暑いのぉ~マダラ~」

「うるせぇ! いちいち言うんじゃねーよ! もっと暑くなるだろうが!」

「ひどいんぞ……事実を言ったまでぞ……ただの八つ当たりだぞ……」

「だーーー! 落ち込むな! 余計に暑苦しいだろうが! 暑さのせいで落ち込むスピードが早くなってんじゃねーか!」

 

 柱間はズーンと落ち込んだまま言った。

 

「だから言ったではないか。こんなに暑いのだから俺の家に来れば良いと」

「父さまに連れられていくならともかく、俺がわざわざ千手の家に行くなんてするわけねーだろうが」

「マダラよ。一般的には家族で互いの家に行く方がハードルは高いぞ」

「お前に一般的かどうかなんざ言われたかねーよ」

 

 記憶を取り戻して以来、互いに川で水切りをする仲にはなったものの、マダラは柱間の家へ遊びに行くのはなんだか抵抗があった。

 今のマダラは忍としての記憶だけでなく、ただの小学生として育ってきた記憶もある。

 

(夏休みに互いの家に遊びに行くなんて仲良しこよしみてーじゃねーか! うちはの俺が千手の家と仲良し? 冗談じゃねー!)

 

 約束し合って川で遊ぶのも十分仲良しなのだが、マダラには関係ない。

 

「それに俺がテメーの家に行ってみろ。あの扉間がうるせーだろうが」

「扉間が? なんだ? お前、扉間と遊びたいのか?」

「っざけんじゃねーぞゴラ! 頭から川に突っ込んでやろうか!」

「……それは涼しそうでいいの」

「……確かに」

 

 どうして今まで気づかなかったのか、と怒りたくなるぐらいに飛び込んだ川は涼しかった。

 ついでにアイスでも買おうと二人はびしょ濡れのままスーパーへ向かった。

 すると、停まっていた車をバンバンと叩く子供の姿が。

 

「なんだ? うるせー砂利だな」

「マダラ。あの子供、様子がおかしいぞ」

 

 金髪の幼児―5歳ぐらいだろうか―がぴょんぴょんとジャンプしているものの、フロントガラスから中を覗くことはできていない。

 駆け寄る柱間が尋ねた。

 

「少年よ、どうかしたのか?」

「中に女の子がいるんだ!」

 

 高学年のマダラたちは背伸びせずとも車の中を覗くことができた。

 確かに金髪の少年が言う通り、赤髪の女の子がぐったりとした様子で座っている。

 

「おーい! 大丈夫かー?」

 

 柱間の呼びかけにも応える様子がない。

 

「熱中症だろうな。このクソ暑い中で車に残すならエアコンかけたままにしろよ」

 

 マダラは舌打ちをしつつドアを開けようとするも、ロックがかかっている。

 

「この車の持ち主はどこにいるんだ?」

「そこの砂利が車を叩いても戻って来ねーんだから近くにはいねーんだろ」

 

 マダラは窓を殴りつけた。

 が、ガンガンと固い音が返ってくるのみ。

 

「チッ! 無駄にかてーな。クナイでもありゃーいいのに……」

「マダラ! とっておきのがあるぞ!」

 

 柱間が出したのは水切り用にとっておいた石だ。

 

「お前、また石を持ち歩いていたのかよ。服をダメにするだろ」

「今はそんなことを言っている暇ではない。ほれ、二つあるから一つ貸してやる」

 

 柱間とマダラがそれぞれ石を手に持って振り上げた時。

 

「ちょっと待って!」

 

 金髪の少年が止めた。

 

「割るならあっちで!」

 

 赤髪の少女が座ってるのは後部座席の右側。

 柱間たちはまさにその右側の窓を割ろうとしたが、少年は逆側を指した。

 

「確かに割れたガラスで怪我をするかもしれんの」

 

 二人は揃って左側に回り込み石を窓ガラスに殴りつけた。

 一度では割れない。

 が。

 ガン、ガン、と殴りつけているうちにヒビが入り、ついには二人の拳が窓の向こう側に入った。

 そこまで来たら二人とも肘を使ってガラスをさらに落としていく。

 

「赤髪の少女よ! しっかりしろ!」

「どけ! 柱間!」

 

 マダラがガラスの落ちた窓から入ろうとしたが、小学生の背丈では窓までよじ登るところまでできない。

 

「おい! 柱間お前ちょっと俺の土台になれ!」

「僕が行く!」

 

 柱間を踏み台にして窓から入ろうとしたマダラに少年が言った。

 

「ああ? 砂利は引っ込んでろ!」

「いや、マダラ。俺とお前でこの少年を持ち上げればいい。その方がやりやすい」

「俺が入った方がはえーだろうが」

「さあ、少年よ。任せたぞ!」

 

 マダラの意見は聞かず、柱間は金髪の少年を持ち上げ車の窓へ放り込もうとした。

 もう動いてしまったのなら仕方ない。

 しぶしぶマダラもその手伝いをし、少年はぐったりとする少女に呼びかけた。

 

「ねえ、君! しっかりして! すごい熱さだ……!」

「おい砂利! さっさとその女をこっちに寄越せ!」

 

 マダラに急かされ、金髪の少年は少女を抱きかかえ、窓の外へと掲げた。

 なぜか上裸になっていたマダラが脱いだ自身のTシャツで少女をくるんで窓から出した。

 手を添えていた柱間は少女の額に手をやってうめいた。

 

「ううむ、まずいな……かなり身体が熱くなっているみたいだ」

「この近くに病院は?」

「すぐ思い至らんな。とりあえず涼しいところへ連れて行くぞ!」

「なら柱間、先に行け!」

 

柱間は少女を抱えたままスーパーへと駆けて行った。

その背を見送ったマダラが自身のTシャツをはたくと、パラパラとガラスの破片らしきものが地面に落ちていく。

さっと素早くTシャツを着直したマダラは車の中に呼びかけた。

 

「おい、砂利。さっさと来い」

 

 身を乗り出す少年の首元をむんずと掴んだマダラは少女を救出する時とは打って変わり、乱雑に引きずり出した。

 

「いた!」

 

 柱間たちが割った窓ガラスに残っている部分があったようで、少年の身体にひっかき傷を作った。

 だが、マダラは少年の膝や頬っぺたから血が出ているのも気にせず、さっさと走り出してしまった。

そのため、少年も慌てて後を追いかけた。

 そして気づいた。

 窓を割るのに使った拳と肘から血がにじみ出ている。

 きっとマダラだけでなく柱間も同じように傷ができていることだろう。

 炎天下の中、スーパーの入り口にたどり着くとひんやりとした風が二人を包んだ。

 

「この子の両親を放送で呼び出しましょう!」

「救急車も呼んだ方がいいですよね?!」

 

 先に柱間が少女を抱えて到着していたからか、入り口には大人が集まって騒然としていた。

 金髪の少年はその中心へと駆け寄り、少女の顔を覗き込んだ。

 髪も顔も赤くなってしまっている少女は、しかし冷房のある場所に来られたからかぼんやりと目を開いた。

 

「うーん…………」

「具合はどう?」

「あつい……てばね」

 

 少年の問いかけに応えた少女はまた目を閉じてしまった。

 

「僕がそばにいるからね」

 

 半ば気を失っている少女に呼びかける少年。

 その間、従業員が氷嚢と水で濡らしたタオルを持って来た。

 さらに、買い物帰りらしい中年の女性が少年に言った。

 

「あそこの扇風機あるところに連れて行った方がいいわね。ぼうや、ちょっと退いてもらっていい?」

「僕が連れて行く」

「ええ? ちょっと僕には難しいんじゃなぁい?」

 

 倒れている赤髪の少女と同じぐらいの体格をしているが、金髪の少年は少女をぐっと持ち上げ、とてとてと歩いて扇風機のあるところまで運んだ。

 従業員がタオルや氷嚢を額や太もものあたりに当てている間、女性客は少年に優し気な声で話しかけていた。

 

「あら~、僕、力持ちなのねぇ。その子、あなたの妹?」

「ううん。僕が乗っていた車の隣に停まっていた子」

「あっ知らない子なの?」

 

 そんな会話を聞いたマダラが眉をひそめて言った。

 

「あの砂利ども、知り合いじゃなかったのかよ」

「しかしだな、マダラよ。これからもそうとは限らぬぞ」

「ああ?」

「あの者たち、俺とミトを思い出すのぉ……特にあの少女の髪はミトによく似ておるからの」

「…………」

 

 急に前世ののろけを始めた柱間にますますマダラは眉をひそめた。

 そんな折、バタバタしている騒ぎに寄せられたのか、ようやく少女と少年の親らしき者たちが駆け寄って来た。

 

「クシナ!」

「ミナト!」

 

 親たちが駆け寄り何やら話をしていたが、柱間たちはそれには加わらずに静観していた。

 

「あのガキの救急車だなんだに付き合うのはめんどくせーな。柱間、そろそろ行くか」

「うむ、そうだな。親も来たならもう心配なかろう」

 

 そうして二人はスタスタとスーパーを出た。

 二人とも肘から血が出ていたため、川に戻って血をすすぐことに。

 

「この身体だと医療忍術が使えんのが難儀だの」

「前の感覚で動くとすぐ死ぬのは確実だな。チッ……服にまで血がついちまった……いてっ! まだガラスが残ってたか」

 

 Tシャツを脱いで川の水で揉み洗いをしていたマダラは手を見て舌打ちをした。

 幸い、Tシャツに残っていたガラスの破片は小さく、大した怪我ではないらしい。

 

「相変わらず優しい男だな、お前は。わざわざ服を脱いでガラスの破片からあのおなごを守ったのだから」

「嫁入り前の娘の顔に傷の一つでもつけてみろ。責任とって娶れと言われちまうだろ」

「ガハハ! それはあのおなごにとってもお前にとっても困ったことだな。それとあの少年にとってもな」

「あの砂利か……どっかで見たことのある顔のような気がするんだよなぁ」

 

 首を傾げるマダラに柱間が頷いた。

 

「うむ。アイツは四代目火影だ。おそらくあの赤髪の少女は妻であろう。名前を聞いて思い出した」

「四代目火影? じゃあ、あの女はうずまき一族か」

「おお。だからミトとよく似た髪色をしていたわけだ」

「そういやうずまきミトはこの世界にもいるのか?」

「俺も分からなかったがあの赤髪のおなごの親族にもしやいるかもしれんな」

「千手とうずまき一族は遠縁だろ? お前の親戚じゃねーのか?」

「知らん。昔と違い、今は一族意識というのは薄れてきておる。遠縁と顔を合わせる機会がそもそもない」

「まあ、俺たちうちはもそんな調子だもんな」

 

 最低限の血抜きは終わったようだ。

 その間に二人とも肘の血が乾き始めていた。

 どうやら深めのひっかき傷程度で済んだらしい。

 

「あ。アイス買い忘れた」

「そういえばそうだったの」

 

 結局二人はまたどこかに行くのが面倒になり、この日はそのまま互いの家に帰って行ったのだった。

 




ミナトがクシナに気づいた理由

ミナトが乗っていた車がたまたま隣の駐車スペースに入り、その時にクシナを発見。
その時は元気そうで「あの子かわいいな」と思い、
彼女を窓から見ていたいからミナトも車の中に残ることに。
が、だんだん具合が悪そうになっていくのに気付いて慌てて外に出た時、
柱間たちと遭遇した。
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