『奪っちゃおうか!』
画面の中で、絶世の美少年がウィンクをしている。
――そう、ボクである。
……ナンジャモと一人称被ってるんだよなぁ。まぁいいか。
「突然のことでびっくりしたけど、ハッコウシティのジムリーダとしてその挑戦、受けてたとうじゃあないか!」
「あははっ! そうこなくっちゃ!」
『流石のてきおうりょく』
『先輩配信者の意地見せてやれナンジャモちゃーん!』
『わからせろー!』
「ていうかこんな美ショタとバトルとか登録者数シビルドン昇り間違いなしだし……にししっ」
「うわぁ……」
『うわぁ……』
『うわぁ……』
間違いなく今、みなのものと心が一つになったと思う。
まぁ普通なら会う事もままならない超人気ストリーマーとコラボできるんだ。どう考えてもこちらの登録者の方がシビルドン昇り……いやもはやギャラドス昇りなことは黙っていよう。
「と、いうことで! 早速ジムチャレンジスター」
「あ、それならもう済ませてきました」
「とぉぉぉぉ!? なんでさ撮れ高じゃんかーー!」
すごい、生配信なのに『ズコーッ!』みたいなずっこけるSEが聞こえた気がするくらいのリアクションだ……。
「ここのジムチャレンジって配信に参加するやつだけだと思ってたけど、画面に映らずできるやつもあったんだね」
「あ~、まぁこういうのが苦手な子もいるからね~」
『そうだったんだ、知らなかった』
『配慮完璧かよ』
『でんきジムバッジを取るためには全世界に顔を晒さなくちゃいけないトチ狂ったジムかと思ってた』
「ちょっとー! ボクのことなんだと思ってるのさー! まぁ最初はそうだったんだけど、
「うわぁ……」
『うわぁ……』
『うわぁ……』
間違いなく今、みなのものと心が一つになったと思う、パート2。
「受けてみたボク的にも、結構やりごたえのある楽しいチャレンジだったよ。配信には載りたくないけどって子もぜひお気軽に挑戦してみてね~」
「レン氏ナイス! 最高のてだすけでボクの評価も二倍になっちゃうかも!?」
電気ポケモンを適切に配置して回路を繋ぎ、電球が光ったら合格というジムチャレンジは電気ジムらしく電飾の街であるハッコウシティにもあっていて、かなり楽しいチャレンジだった。
こういうのでいいんだよこういうので。
「それじゃ、ジムチャレンジもクリア済みということなので、早速中央コートに移動してバトルスター」
「あ、その前に」
「とぉぉぉぉぉ!?」
『さっきも観たなこの流れ』
『何もさせてもらえないナンジャモかわいそうかわいい』
「勿論ジムチャレンジっていうコンテンツをただスキップしたわけじゃないとも」
バックから昨日作ったフリップを取り出し、カメラの前に掲げる。
よし、どっちのカメラにもちゃんと映ってるね。
「題して『ドンナモンジャTVがなんぼのもんじゃ! 逆ジムチャレンジ三本勝負』~!」
「ど、ドンナモンジャTVがなんぼのもんじゃ! 逆ジムチャレンジ三本勝負』~~!?!?」
『全部言ったな』
『企画名草』
いいね、反応は上々だ。
次に取り出すのはでかでかと『?』と書かれた箱。
「この中にはランダムに5個の勝負がはいってます。ここから3つくじを引いてもらって、2勝した方が勝ち! シンプルでしょ?」
「ふむふむ、いいねおもしろそう!」
「気になる勝負の内容はこちら!」
べべん、と先程出したフリップをひっくり返す。
そこにはこれから行うかもしれない5個の勝負内容が書かれていた。
「え~となになに? 【ポケモンクイズ:どく】【ポケモンクイズ:でんき】【激辛サンドイッチ早食い対決】、それに【ファッションセンスチェック】に【ポケモン大喜利】……なんかめっちゃちゃんとしてる!?」
「
「ボク何も聞いてないんですけどーー!」
『またしても何も知らないナンジャモ』
『ファッションセンスチェック見た過ぎる』
『ポケモンクイズ、電気はわかるけどなんで毒?』
「ナンジャモさんはご存じのとおり電気タイプのエキスパートじゃん? ボクも自分のチャンネルでどくポケモンの解説動画だしたりするくらいには詳しいから、お互いの得意分野ってことで一個ずついれてるんだ」
「レン氏はどくタイプが好きなんだ! かわいいもんね~」
ふふん、どくポケモンよりかわいいポケモンっている?
いや、いない。
「あ、クイズの内容についてはそちらの方が作成したやつでボクも一切知らないので、安心してね」
「も~そんなの疑うわけないじゃ~ん」
「あはは、たぶん後で『ホントに答え知らないんだよね!?』って言うことになると思うから、その発言忘れないでよ」
こと”知識”に関しては、ちょっとばかし自信があるから、ね。
「むむ、なにやら自身ありげじゃんか~、それじゃあ早速ひかせていただきます! じゃじゃん!」
引かれたのは【ポケモンクイズ:毒】、【ファッションセンスチェック】、【ポケモンクイズ:でんき】の3つ。
……激辛来なくてよかった、ほんとに。
「それじゃあ早速やってこうか! まずはどくポケモンのクイズから!」
「おー!」
□■□■□
【第一戦:ポケモンクイズ:どく】
「え~となになに? チャレンジャーレンの要望により、どくのクイズは簡単めに、でんきのクイズは専門的な内容も含む難しい内容になっています……ってレン氏随分な自信じゃ~ん、自信過剰でこうげきアップ! って感じ!」
「ま、ナンジャモさんも専門のタイプ以外はそこまで詳しくないでしょ? だからハンデあげなくちゃと思って」
「その慢心、後で後悔しても知らないからね! これでもボクポケモンには結構詳しいんだから!」
『こんななのにホントに詳しいのなんなんだよ』
『こんなでも倍率500倍以上のジムリーダー試験受かってるんだよな』
『こんななのに』
「おいみなのもの! 失礼!!」
勿論、この人が”こんな”でも結構賢いのは知っている。
そのうえでこんなハンデを付けたのはなぜかって? そりゃあ勿論……。
「ナンジャモさ~ん、こ~んな子供にハンデまでもらって、それで負けたら恥ずかしいよ~?」
「ふんっ! 負けないもん! でんこうせっかで答えちゃうもんね!」
『煽りおる』
『このガキぃ(誉め言葉)』
『わからせなくちゃ……』
「ルールはシンプル、早押しで先に五問正解できた方が勝ち、OK?」
「りょーかい! それじゃあスタッフさん、おねがいしまーっす!」
【第一問、どく、でんきタイプのストリンダー、胸の突起により電気とロックサウンドを生み出す彼らですが、彼らは何と】
ピンポン!
『レン氏はやい!』
「汗」
【正解! 問題文の続きは、彼らは何としてどくを分泌するでしょうか、でした】
『お~~~!』
『8888』
「むあー! わかったのにーー!」
「あれあれ~? でんきポケモンのクイズでもあるのに、答えられなくてだいじょーぶですか~?」
「ぐぬぬぬぬぬ! まだ一問目だし!」
『煽りおる』
『悔しがってるナンジャモ可愛すぎる』
【では第二問、以下の図鑑説明を持つポケモンはなんでしょう。なお図鑑はパルデア図鑑準拠とします】
「みなのものも考えてみてね~」
【やわ】
ピンポン
「ちょっとレン氏!?」
『早すぎてる回答、俺も見逃しちゃうね』
『考えさせてくれないじゃん』
「ドクロッグ」
【せ、正解です!】
「レン氏ぃ!?!?」
「いえーい、ちょっと大人げなかったかな?」
『最年少に気を遣われてる……』
『いやこれ子供に気を遣われて恥ずかしくないんですか~? っていう遠回しな煽りだぞ多分』
『このガキぃ……(誉め言葉)』
「柔らかい体で相手の攻撃をかわしながらふところに飛び込み毒のトゲを突き刺す、だよね? あれ突き出すだっけ」
【突き刺す、であってます】
「よかった~~」
『当たり前のように全文空んじるのやばい』
「ッスーー……いやいやここから逆転! 脳みそ高速スピンでいっちゃうぞー!」
『想像以上にナンジャモが”ガチ”で焦ってるね』
『わからせられるのは我々だったか……』
『見てみなさい、レン氏の顔を』
「ふふーん」
『お手本のようなドヤ顔』
『守りたいこのドヤ顔』
『へし折りたいそのプライド』
【それでは第三問! 超ズームクイズ! まずは練習です、こちらをご覧ください】
「むむむなにもんじゃこれは……チョコ?」
『画面いっぱいの茶色』
「あっこれドオーだ」
【これはとあるポケモンを超高解像度カメラを用いて80倍ズームで撮影した……レン氏、正解です】
「なるほどそーゆーことか! ……えっもしかしてボク今負けてた?」
『問題を察する力はないが状況を察する力はあるみたいだなナンジャモ』
『練習問題じゃなかったら終わってた……』
『なんでわかるんだよ』
「えっだってほら、この両生類特有のぬめりを帯びた質感と、艶があるにもかかわらず少し凹凸もある肌が泥に溶け込む茶色をしてれば、ドオーしかなくない?」
『すごい、なんでわからないんですか? って顔に書いてある』
『しかもめちゃくちゃロジカルに解いてる……』
『ほら見なよナンジャモの顔』
「あーうん、そうだよね、うんうんわかるわかる」
『アホ面だ』
「おいコメント貴様ーーー! いっていいことと悪いことがあるじゃないかー!」
【それでは気を取り直して本番です。第三問、こちらをご覧ください】
「今度は紫……紫のポケモン紫のポケモン……」
「ん~、流石に候補が多いなぁ」
『いくらどくタイプに絞れてるとはいえ流石にレン氏でも即答はできないか』
『さっきはする間も無くレン氏が答えてたらできなかったけど、だんだんズームアウトしてる……のか?』
『模様もムラも一切ない真紫だからよくわからん……』
光沢が無いからアーボとかの爬虫類系やペンドラーとかの虫系は無いでしょ?
それでここまで鮮やかな紫となると……あぁあの子か。
「ねぇナンジャモさん」
「なんだねレン氏、今ボクは必死に考えてるのだが! むむむむ……」
「ボクもうわかっちゃったんだけど、答えていい?」
「ぴょ!? ま、まままって!!」
『煽りおる……!』
『笑顔がかわいいねレンきゅん』
『にこっじゃなくて完全ににやぁっていう笑顔だけどな』
『獲物を前にしたなめずりするアーボックみたいな目をしておる』
『その目で見つめられて罵られたい』
『おまわりさんこいつです』
「あっわかったわかった! はいはい!! ゲンガー!!」
【ナンジャモ氏、正解!】
「わーー!! やったやったやったー! どーだみたかみなのものー!!」
「あはは、ナンジャモさんすごーい」
『もうやめたげてよぉ!』
『なんだろう、こう、新たな扉が開きかけている気がする』
「ふっふっふ、今、間違いなくボクに流れが来ている……おいかぜがびゅんびゅん吹いている……!」
『気付いてナンジャモちゃん、その風人工だよ……!』
【それでは第四問、続けて超ズームクイズです。こちらの画像をご覧ください】
「およ?」
「あれ?」
『また茶色?』
『これ完全に最初の例題と一緒じゃない?』
『ミスか? 生だし仕方ない』
やっぱりそうだよね?
まぁミスくらい誰にでもあるよね、次に……。
ピンポーン
なんだって!?
「ふっふっふ、今のナンジャモはメガシンカ中、たとえうちのスタッフのミスであろうと躊躇なく勝利の布石とするのであった」
『大人げないぞナンジャモ』
『恥ずかしくないのかナンジャモ』
『見損なったぞナンジャモ』
「はっはっはー! 勝てば官軍なのだー! 後でスタッフは再教育です! 今更撤回なんてさせないぞー! 答えは~~~……」
くっ、流石は大手ストリーマー……汚いっ!
不測の事態への対応力では一歩遅れたけど、まぁ次でとればいいか。
しかしこの画像、なんとなーーーく違和感が……。
「ん……? あっ」
瞬間、ボクの頭に電流は知る。
「ナンジャモさんこれ」
「なーっはっはっはっは! 残念だったねレン氏ぃ! 同点に並ばせてもらうぞ! ドオー!」
ブッブー
「なぁ!?」
『なに!?』
『でも完全にさっきレンきゅんが言ってた特徴と一致して……』
「あ~やっぱり……これ、ウパーだよね?」
【レン氏! 正解です!】
「えぇぇぇぇぇぇぇ!?!?」
『因 果 応 報』
『悪は滅びた』
『いやいくら何でも無茶だろこれは』
『でもレン氏最後わかってたってことだよね?』
『まぁ流石にメタ読みでわかるわな』
「いや、そうじゃなくて」
「そうじゃなくてぇ!?」
『ナンジャモのリアクションがずっとおもろすぎて一生笑いとまらん』
『リアクション芸人かよ』
「今回の画像、さっきのと比べて凹凸が少ないじゃん?」
『いやじゃん?といわれましても』
『わからんわからんわからん』
「ちょ、ちょっとスタッフー! 画像ならべてー!」
『もう出た仕事早い』
『もしかしてこうなることわかってたな』
「……たしかに言われていればそう、かも?」
『それに色素もほんのちょっと薄い……?』
「そう、どちらもまだ体が未発達な幼生の特徴だよね、だから多分ドオーじゃなくて進化前のウパーかなって」
「おいこの問題作ったの誰だコラー! わかるかこんなものーー! ボクの炎のパンチが炸裂するぞ! それか怒りのまえば!」
『ナンジャモに噛んでもらえる!?!?!ガタッ』
『座れ座れ』
『代償に体半分持ってかれるぞ』
『ナンジャモに噛んでもらえるのなら、本望……!』
『おまわりさんこいつです』
【レン氏が意気揚々とドヤ顔で答えてうそぉ!ってなると思ったら、もっと意気揚々とツッコんでうそぉ!? ってなった人が現れてしまった、とのことです】
「誰だそのバカ!! ……ボクじゃん!!!!」
『コントかな?』
『これは愛すべきバカ』
【というわけで、第一戦のポケモンクイズ:どくはチャレンジャーレンの勝利です!】
「いえーい」
「ふふん、まぁここは? キレイハナを持たせてあげた? 的な?」
『明らかに一問持たされてたけどなナンジャモ』
『そのお返し……ってコト!?』
「あーーー、そ、そうそう! そんな感じ!」
『フトッパラダナーナンジャモチャン』
「棒読みー!」
ま、こうなるのも当然だよね! なんせボクってば天才だし。
「花を持たせてくれるのはいいんだけどさ~」
『こうさ、下瞼を上げる笑い方って、いいよね……』
『わかる……』
「そのままボクに渡しすぎて、何も残らなくなっちゃっても知らないよ?」
「ミ゜」
『う”っ』
『上目遣い……やば……』
『レンきゅん……恐ろしい子っ!』
「あはは! それじゃあ次の対決、いってみよー!」
後編に続く!!!