え?どくポケモンが最強ですが??   作:のびうつぼ

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ドオーライド!!

 学術都市、テーブルシティ。

 その一角では、なにやら嬉しいことがあったのか、ホクホク顔でスキップをする美少年がいた。

 満面の笑みを浮かべながらも隠しきれない知性が滲み出るこの人物は一体何者か、

 ーーーそう、ボクである。

 そんなこんなでたったかたったかとスキップをしていると、中央広場でハルトをみかけた。

 

「あれ、ハルトまだいたんだ」

「ほへ? ふぁ! へふほはへひ!」

 

 ……口いっっっっっぱいに食べ物を頬張りながら。

 

「ぷっ、あはは! 全然なんて言ってるかわかんないよ」

「へは! ひはひへ!」

 

 段々恥ずかしくなってきたのか、顔を真っ赤にしながらそっぽを向くハルト。

 ……なにこの可愛い生き物。

 

「ふふ、新種のヨクバリスかな?」

「んっんん……も、もう行ったんじゃなかったの?」

 

 必死に口の中の物を飲み込んで誤魔化そうとしてるけど……さすがにもう手遅れだと思うよ。

 まったくもうそんな急に飲み込んで、詰まらせたらどうするのさ。

 

「うん、行ってきたよ、ポケモンリーグ。あとはいお水」

「あ、ありがと……ってポケモンリーグ!?」

 

 うんうん、やっぱりハルトはいい反応をくれるなぁ。

 

「あそこってたしかバッジ8個集めてから行く場所だよね?」

「うん」

「え、レン持ってるバッジは……」

「当然ゼロ!」

 

 手で0マークを作りながらパチリとウィンク。

 まったくボクってばお茶目かわいい。

 

「はぁ……」

「なにさそのレンってやっぱりバカだみたいな顔は」

「レンってやっぱりバカだ」

「むきーーーーー!!!」

 

 はぁ? このボクが?? バカ???

 いやいやいやいやありえないでしょさすがに。

 下は1桁才から上は3桁歳まで老若男女が在籍するこのオレンジアカデミーで首席であるこのボクを捕まえてバカ???

 ……そんなわけないし。

 

「聞くまでもないと思うけど、結果は?」

 

 無言で指をクロスしバッテンをつくる。

 

「そんなん行くまでもなくわかるじゃん……」

「ふっふっふ、あまい、タルップルのようにあまあまだよハルトくん」

 

 キラリと目を光らせ、ハルップルくんに説明をする。

 

「賢者とはみな、最初は傍から見ると愚者に見えるものなのだよ」

「いやどこから見ても愚者だよ」

「いったなコノヤロー!!!!!」

 

 1度ならず2度までも……ハルトといえど許せない!!

 

「もういい! ハルトなんて知らない!!」

 

 ぷいっとそっぽを向き、歩き出す。

 

「あ、ちょ、ちょっと待ってよレン!」

 

 すると後ろからハルトがとてとてと着いてくる。

 

「わざわざ愚者に着いてくることないんじゃないの〜? ハルトくん?」

「もー……ごめんごめん」

 

 まったくハルトったらホントチョロ……かわいいんだからぁ。

 くるりと振り向き、いたずらっぽい笑顔でこう言ってやった。

 

「うん、わかればよろしい」

「はいはい、ほら行くよ?」

 

 ふたり一緒に、今度こそ宝探しに向けて出発するのでした。まる。

 

 

 

□■□■□■□

 

 

 

「あ、そういえばレン」

「ん〜?」

 

 旅支度を済ませ、今度こそいざ出発! という時、ハルトがそう声をかけてきた。

 

「レンがどくタイプのポケモン以外を連れてるの見たことないけど、ライドポケモンってどうするの?」

 

 広大すぎると言っていいほど広いパルデア地方、当然そこを徒歩で回るなんて不可能なので、宝探しに出かける生徒たちはみなモトトカゲという機動力に優れたポケモンに乗って宝探しを行う。

 しかし悲しきかな、モトトカゲはどくタイプじゃないから、ハルトの懸念通り捕まえていないのだ。

 ていうかどくタイプのみんなって普通のポケモンよりめちゃめちゃお世話が大変なのに、そこにもう一体ドラゴンタイプを加えるとか無理無理、飼育崩壊しちゃう。

 え? それじゃあお前は徒歩で行くのかって……?

 

「ふっふっふ……もちろんボクにだってライドポケモンの1匹や2匹いるに決まってるじゃないか」

「へ〜、どんなポケモンなの?」

 

 よくぞ聞いてくれました!!!

 

「出てこい! ドオー!」

「どおっどおっ」

「…………へ?」

 

 待ってましたとばかりに張り切っているドオーの背中に飛び乗り、特製のグローブを嵌める。

 

「さ! 行くよ!!」

「どお!」

 

 ドオーが凛々しい声を上げると、背中を突破って2本の棘が現れる。

 そう、このグローブはドオーの棘を掴んでも毒に手が侵されない様にオーダーメイドして貰った1級品なのだ!

 

「どうだハルト、羨ましいだろう」

「あーーー、うん、ソーダネ」

 

 呆れた、みたいな目でこっちを見るハルト。

 もしかしてうちのドオーをバカにしてる??

 

「はっ! バカにしてられるのも今のうちだよ! さぁドオー! 発進!!」

「どおっどおっ」

 

 のし、のし……のし、のし……。

 

「おー! いいぞドオー! はやいはやい!」

「どお!」

 

 のし、のし、のし……のし、のし、のし……。

 ボクが褒めると嬉しそうに声を上げるドオー。

 ボクに喜んでもらえて嬉しいのか少しスピードが上がった。

 はぁ……うちのこはなんて可愛いんだろう……。

 

「ふふーん、たしかにハルトのモトトカゲ? もだいぶイカしてるけど、うちの子には勝てまい」

「モトトカゲ……? あぁコライドンのこと?」

 

 ドオーライドで市街を疾走するボクに徒歩で並走しながら、ハルトがボールからポケモンを出す。

 

「アンギャス!」

 

 紅い皮膚、鋭い爪と牙、そして威厳に満ちたたてがみ……まさに古代の王とも言うべき風貌のそのポケモン。

 そうか、君はコライドンっていう名前なのか。

 うん、やっぱりイカしてる。

 ま! うちのドオーちゃんの方が可愛いんだけどね!

 

「どおっ!」

 

 だってほら見てよ。

 コライドンによっ! って感じで片足を上げて挨拶してるんだよ?

 ……かしこすぎるっ!!!

 

「アギャ?」

「どおおっ!?!?」

 

 なにこいつ? みたいに挨拶してくれたドオーを見返すコライドン。

 しかしその瞳はまるで獲物を狩るウォーグルのように鋭く、ドオーはビックリしてしまった。

 ちょっとうちの子に何ガン付けてくれちゃってんの!

 

「コライドンくん? この子はライドポケモンとして君の先輩なの、ちゃんと敬って?」

「アギャァス」

「レン……目が怖いよ……」

 

 ボクの優しい声がけを理解してくれたのか、ドオーにぺこりとお辞儀をするコライドン。

 うんうん、わかればいいんだよ。

 

「ていうか僕のコライドンに変なこと教えないでくれる?」

「変とはなんだ、社会の常識じゃんか」

 

 ほら、先輩という言葉に嬉しくなったのかドオーがコライドンにいっぱい話しかけてる。

 きっとライドポケモンとしてのあれこれを教えてくれてるんだろう。

 

「ふふっ、ちゃんと後輩の面倒見れて、ドオーは偉いなぁ」

「どおっ!」

 

 えっへんと胸(?)を張るドオー。

 うんうん、かわいいかわいい。

 

「てかハルト、コライドンに乗らないの?」

 

 今のハルトは折角コライドンを出したのに一緒に歩いて乗っていない。

 ライドポケモンなんだからライドしないなんて勿体ない。

 

「え、乗っていいの?」

「いいもなにも……なんでボクがダメっていうのさ」

 

 ボクだけライドしてるのにこのままハルトに歩けなんて言うとでも?

 ドオーがボクを乗せて頑張って走ってるんだ、きっと徒歩じゃついてくるだけでも大変だろう。

 

「あーーーーーー、うん、わかった……後悔しないでね?」

「後悔?」

 

 なんで後悔なんて……。

 

「コライドン、行くよ」

「アンギャ!」

 

 コライドンは結構背が高いにも関わらず、スっと飛び乗り跨るハルト。

 ……ちょっとかっこいいなずるい。

 

「じゃ、GO」

「アギャ!」

 

 ……その瞬間、隣にいたハルトの姿は掻き消えた。

 

「…………へ?」

 

 辺りを見渡すと、先の方にハルトらしき影が小さく見えた。

 …………この距離を、あの一瞬で……?

 

「ど、どお!?!?」

 

 少し遅れてそれに気付いたドオーが、嘘でしょ! と言いたげな顔で驚きを表現する。

 

「ど! どお!」

 

 ドオーが、ハルトとコライドンに追いつこうと必死に前へ進む。

 大丈夫! ドオーならできる! 頑張って!!

 

「きゃはは!」

「まてまてー!!」

 

 ……あ、今子供に抜かされた。

 

「どおお……」

 

 めちゃめちゃショック受けてる……なんて可愛いんだろう。

 そうだよね、さっきの試合ですっごい素早く動けたから、今も行けると思ったよね。

 

「…………大丈夫、ドオーが輝ける場所はここじゃなかったってだけだよ」

「どぉ……」

 

 ボクは無言でドオーをボールに戻し、ハルトに追いつくために走り出した。

 …………うわ、速っ。




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