キャラ:今井リサ
上の条件から書き綴ったものになります。
——その日、アタシは目を疑った。高校の入学式の際にアタシの斜め前に立っていた少女が、自身がよく知る人物にそっくりであったがために。
「ゆ、友希那……?」
湧き上がってきた疑問は知らず知らずのうちに言の葉となりこぼれ落ちていた。
だが、目の前のその人物には届いていなかったらしく、これと言った反応を見せない。
結局そのまま、式が終わるまでの間アタシの頭の中は先のことでいっぱいだった。
「友希那……だったよね」
新入生特有の喧騒が支配する教室の中、ため息混じりに吐露した内心は誰の耳に届くこともなく搔き消される。
友希那、と言うのはアタシと同い年で幼馴染の女の子。幼い頃はよく遊んでいたのだが、ある日を境に彼女はアタシの前から姿を消してしまった。
それ以来、音沙汰もなかった彼女が——正確には彼女にそっくりな人物が同じ学校にいる。そう思ったら、何故だかいても立ってもいられなくなった。
その思いを秘め迎えた放課後。アタシが帰宅するために最寄り駅まで歩いている時のことであった。
件の少女の姿をアタシの視界が捉える。歩いている方向的に、アタシと同じで駅を目指しているのだろう。
それを理解した途端、アタシは彼女に声をかけていた。
「あ、あの」
「……何かしら?」
艶やかな銀髪を揺らしながら振り向いた少女。そうして向けられた彼女の眼差しからは、鋭さと共にどこか懐かしげな雰囲気を感じた。
「あ、えと、駅まで行くのかなーと思って……声掛けたんだけど」
「そうだけれども。それが何か?」
「もしよければ、一緒にどうかな……って。あ、アタシは今井リサ。宜しくね」
若干もどりながらもそれらしい理由を述べたアタシはそのまま、間髪入れずに軽い自己紹介までを行う。
勢いで話をつけた方が相手からの返答も得やすいんだよね。ソースはアタシ。
「友希那。湊友希那よ」
彼女の口から告げられた返答に、アタシは驚愕する。幼馴染と同姓同名であったがために。
故にアタシは内心で喜んだ。彼女が幼馴染の友希那であると、ほぼ確証を得られたために。だがしかし、現実はそんなに甘くはなかった。
「宜しくね
敬称付きで呼ばれたアタシは殴られたような衝撃を覚える。彼女のことを考えれば、親しい中である人間は基本的に呼び捨てとなるはずだ。無論、アタシもその対象に当たるとは思う。
けど、目の前の彼女はアタシのことをそうは呼ばなかった。それはアタシのことを忘れているのかはたまた、人違いなのか。そう思った途端、アタシはとても悔しくて、悲しかった。
「う、うん。宜しく……」
しおらしく返答したアタシは無意識のうちに彼女の隣に立つと、揃って駅まで歩いて行く。複雑に渦巻く感情と格闘しながら——