キャラ:花園たえ
上記の要件より書き綴ったものです。
とある日、CiRCLEに足を運んだ俺は1人でスタジオ練に励んでいた。自宅じゃ叩きたく無いっていう、クソしょうもない理由なんだけどね。
「今度の曲はサビ前ちょっと強めにしたからな……そこ重点的にやるしかないかな?」
スタジオに1人ということもあり少し大きめな独り言を呟く。誰にも聞かれてないのに大きめの声で話してるのなんかいいな。
変な部分での良さを実感していると、唐突に鞄にしまっていた携帯が鳴り響く。
「電話か?」
首を傾げた後、けたましく着メロを流す携帯を引っ張り出した俺はそのまま応答する。
「もしもし?」
『あ、佑磨。今どこにいる?』
「たえか……?」
電話越しに聞こえてきたのは、ポピパのギターにして変人の花園たえの声。普段はあまり電話とかしてこない奴なので、ちょっとばかり驚いた。
『そうだけど?』
「お、おう……今はCiRCLEのスタジオにいるが?」
『1人?』
「そうだけど……」
彼女の問いかけに再び首を傾げていると、彼女の口から予想外な言葉が飛んでくる。
『今からそっち行って一緒に練習していい?』
「え、あ、はい、どうぞ?」
戸惑い気味に返答すると、そこで通話は途切れてしまう。何だ今の、嵐か? 嵐だったわ。
自己解決した俺は小さく溜息を吐く。とりあえず……あいつ来るまでテキトーに叩いてるか。
スティックを弄ぶ手を止め、スネアを調整した俺はスマホで再生した音源に合わせてドラムを叩いて行く。
そうして、曲が1番のサビに差し掛かったあたりでスタジオの扉が開かれる。
「やっほー佑磨」
「……早かったな」
何食わぬ顔で現れたたえを見て演奏を止めた俺は、額を滴る汗を拭いながら問いかける。
「うん。バイト先から走ってきたからね」
「バイト終わりなのかよ」
たえの返答に驚きを隠せない俺。え、こいつバイトしてそのまま走ってきたって……体力お化けかよ。体力お化けだよ。
「やべー……」
「褒めても何も出ないよ?」
「褒めてない……いや、ちょっとだけ褒めたわ」
我ながら訳の分からない返答をした俺は、深呼吸するとスティックを構える。対するたえも、いつの間にやらギターの用意を完了している。
「で、何やる?」
「何でもいい?」
「良いよ」
「じゃあ、『Time lapse』やりたい」
「OK」
たえの言葉に頷いた俺は、スティックを叩きカウントを取る。久々だけど、いけるかな?
「「陽が落ちて 歌声は星となり 流れ出すTime lapse——そう感じ続ける」」
カウントの後に、2人揃ってアカペラパートを歌っていく。そしてたえの力強いギターソロがスタジオ内を駆け巡り、俺の中にあるボルテージを上げていく。
「「oh oh……」」
向き合いながら、互い熱の籠った笑みを浮かべる俺達。その表情から、今のたえがとても楽しんでいることを——彼女的に言うのであれば、『震えている』ことが伝わってくる。
そうして、時たまコーラスを歌いながら曲の最後のアカペラまで駆け抜ける。
「「流れ出すTime lapse——そう感じ続ける」」
目を閉じ最後の余韻に浸る。この、音が自然と静まっていく瞬間、何度聴いても良いね。これが楽しみで、セッションしてるまであるから、さ。
余韻を楽しんだ俺が目を開けると、何故か眼前にはたえの顔が、それも至近距離にあったではないか。
「……どした?」
「寝てるかと思って」
「流石にこの短時間じゃ寝れんわ」
「私は寝れるよ?」
「そうかいな」
軽くあしらった俺は、スティックをドラムの上に置くと椅子から立ち上がる。
そして、部屋の隅にあった鞄を漁ると、中に入っていたペットボトルを2つ取り出す。
「ほれ」
短く告げた俺は、手にしていたペットボトルの片方をたえに投げ渡す。それを平然とキャッチしたたえは「ありがとう」と言った後に開栓し、その中身を呷る。
そんな彼女を横目に、俺もまたペットボトルの中身を呷る。くぅ……激しく汗かいた後に飲む水ってめっちゃ美味いよな。
「佑磨、次やろ」
水の旨みを堪能していると、たえから召集がかかる。ほんとにあいつ、弾くのが好きだな。
「オッケー。次は何やろうか」
結局その日は、スタジオの終了時間までたえと激しくセッションしてましたとさ。セッション(意味深)って言った奴、表出ろ。
余談だけど、練習後にファミレス行くことになったりなかったり。