キャラ:フリー
上記の要件であったため、今井さんをピックアップして綴りました。
「——ごめん。折角の好意だけど俺は、受け取れないよ」
目の前の彼は優しげな表情で首を横に振る。だがそこから示される拒絶の意は、アタシの心を抉るには十分過ぎるほどだった。
「どう……して?」
漸く出た疑問を、率直に彼へとぶつける。すると彼は、伏し目がちになったかと思えばぽつりぽつりとこぼし始める。
「他に……好きな人が、いるんだ」
申し訳なさそうな表情を浮かべた彼は、体を小刻みに震わせる。その姿にアタシが戸惑っていると、彼は震える声で続ける。
「リサの気持ちは、すごく嬉しい……でも、俺が好きなのは——」
言葉の続きを悟った途端、アタシは逃げ出すようにその場を走り去る。夕陽に照らされた校舎の中を、無我夢中で走っていく。
そしていつの間にやら、校舎の端にある空き教室の中へと滑り込んでいた。
そこで荒い呼吸を整えていると、先の彼の言葉がアタシの脳裏を駆ける。
『でも、俺が好きなのは——』
頭を激しく振るいその声を掻き消したアタシはその場に膝を抱え座り込む。その途端、自身の中にあった悲しみが激しく込み上げ嗚咽となって外へと溢れる。
「……ウッ……アッ……ッ!」
彼に応えてもらえなかったことが悔しくて、彼を振り向かせられなかった自分が情けなくて。その思いが深いところにあった悲しみを押し上げてきてしまう。
「どうして……ヒグ……何が……ダメだったの……」
返ってくるはずのない問いかけを、嗚咽と共に投げ出す。そうして惨めにも部屋の中を駆け抜けた言の葉は、新たな嗚咽によって掻き消されていく。
「ウッ……ヒグッ……ウッ」
とめど無く溢れる涙を袖で拭う。彼が他の人から好かれていることなんて分かっていた。他の人のことを好きでいることも分かってた。だからこそ、アプローチも積極的にやった。
けどもアタシは、彼を振り向かせられなかった。
「アタシって……ホントに……ダメだね」
自身に罵声を浴びせながら、相変わらず涙を流していると懐にしまっていた携帯が鳴る。
「……メール?」
頬を伝っていた涙を拭い、呼吸を整えたアタシはメールを開いてみる。そうして現れたのは『彼』とのトーク画面。
『ごめん』
ただ一言載せられた謝罪の文章。その言葉が、再びアタシの胸を貫く。激しい痛みを伴って。
「どうして……優しくするの……!」
携帯を床に放り出したアタシは、膝を更に深く抱き寄せ目元を伏せる。忘れたいのに忘れられない。それどころか追い討ち紛いなこともしてくる。けどそれは、彼の優しさ故のもの。
それを
それはきっと、この先もそうなんだろう。だってアタシは——彼のことが好きだから。
どこまでも彼のことが好きな気持ちと、悔しさを伴った悲しみが平行線となったアタシは気持ちの整理をつけられずに、完全下校時間までその教室で泣き続けるのであった——