キャラ:戸山香澄
上記を元に記したものです。
休日、と言うこともあり自宅にいた俺は、地下室に籠りドラムを叩いていた。お前いっつもドラム叩いてるなって言われそうだけど、全くもってその通りなので反論できないわ。
「……ふぅ、アップ終わり。さて、何を叩くかな」
スマホをいじりながら楽曲を考えていると、唐突に地下室の扉がノックされる。おや?
「はーい?」
不思議に思いながら扉まで向かい開けてみると、何故か母さんの姿が。はて?
「どうかした?」
「お友達、来てるわよ」
「あい」
来客の予定がなかったことに首を傾げながら玄関まで行くと、見知った少女が1人。
「香澄?」
「ゆー君!」
何故だか俺の元を訪ねてきたのは戸山香澄。何しにきたんですかこの子。
「どうかしたのか?」
「ゆー君に連絡したんだけど反応なかったからきちゃった」
『テヘッ』と言いながら小さく舌を出す香澄。反応ないからって突撃してくる辺り、行動力の化身だよな。というか連絡……?
「……あ、ホントじゃん。全然気付かんかったわ。ごめん」
通知欄をよくよく見てみれば香澄からのメッセージが届いてました。しかもお出掛けのお誘いですよ。見落としたの完全にやらかしだわ。
「うーうん、大丈夫」
「……それで、ギター背負ってきてどうした」
「折角だから、弾かせて貰おうかなーと」
満面の笑みを携え返答する香澄。馬鹿正直に答える辺りが香澄らしい。
「うーん、弾くか出掛けるかのどっちかになるけど?」
「えー?!」
少し意地悪な返答をすると、大袈裟に悲しそうな顔をする。表情コロコロ変わるねキミ……。
「冗談だよ。んじゃ、軽く弾いてから出かけようか」
「わーい!」
喜ぶ彼女を引き連れ、再度地下室へと向かう俺。字面だけ見ると怪しげなシーンですね。終わり。
「そんで、弾けて1曲だろうが何を弾く?」
「んー、じゃあスタービート!」
「OK」
指で丸を作り首肯した俺はスティックを手に取る。そして彼女の準備が終わるのを待つ。
数分後、無言のままこちらを向いた彼女が1つ頷く。その意を汲んだ俺はスティックを叩いてカウントを取る。
「Lalalala Lalalala……」
短なイントロの後、彼女の柔らかな歌声が部屋の中を木霊する。その声を阻害しないよう、セーブしながらドラムを叩いて行く。
なんせこの曲は、彼女にとって——ポピパにとって思い出深い曲。だからこそ、俺が1人で熱を上げて壊してしまうことがないように、ゆっくりと繊細に演奏して行く。
「走ってた いつも走ってた 愛と勇気を届けたい」
「——あふれる思いで」
「眠ってた声がいざなった 風にゆれるキミの歌」
「——夢見るココロと」
彼女の歌に合わせコーラスを入れていく。歌詞の意味を噛み締めながら且つ、
「まぶた閉じてあきらめてたこと いま歌って いま奏でて 昨日までの日々に——サヨナラする」
最後の小節が終わったところで、響き渡っていた音は徐々に小さくなり止まっていく。
「うーん! やっぱり最高! ゆー君もそう思わない?」
「同意するよ」
小さく笑った俺は縦に首を振る。彼女の言う通り、演奏することは最高に楽しいからな。
「さて、1曲やったし出掛けるか」
「うん!」
スティックをケースにしまった俺は立ち上がると扉の方へと歩んで行く。香澄もそんな俺に続いてくる。
「そういや、ランダムスター持って行くのか?」
「あ、そこのこと考えてなかった」
「あのなぁ……」
小さな茶番を繰り広げながら、俺達は地下室を後にして行くのであった。
この後、香澄に連れられてあっちこっちと振り回されることになったが、それはまた別のお話。