バンドリ短編集(修作置き場)   作:希望光

7 / 8
お題:フリー
キャラ:戸山香澄

上記を元に記したものです。


星のカリスマ

 休日、と言うこともあり自宅にいた俺は、地下室に籠りドラムを叩いていた。お前いっつもドラム叩いてるなって言われそうだけど、全くもってその通りなので反論できないわ。

 

「……ふぅ、アップ終わり。さて、何を叩くかな」

 

 スマホをいじりながら楽曲を考えていると、唐突に地下室の扉がノックされる。おや? 

 

「はーい?」

 

 不思議に思いながら扉まで向かい開けてみると、何故か母さんの姿が。はて? 

 

「どうかした?」

「お友達、来てるわよ」

「あい」

 

 来客の予定がなかったことに首を傾げながら玄関まで行くと、見知った少女が1人。

 

「香澄?」

「ゆー君!」

 

 何故だか俺の元を訪ねてきたのは戸山香澄。何しにきたんですかこの子。

 

「どうかしたのか?」

「ゆー君に連絡したんだけど反応なかったからきちゃった」

 

『テヘッ』と言いながら小さく舌を出す香澄。反応ないからって突撃してくる辺り、行動力の化身だよな。というか連絡……? 

 

「……あ、ホントじゃん。全然気付かんかったわ。ごめん」

 

 通知欄をよくよく見てみれば香澄からのメッセージが届いてました。しかもお出掛けのお誘いですよ。見落としたの完全にやらかしだわ。

 

「うーうん、大丈夫」

「……それで、ギター背負ってきてどうした」

「折角だから、弾かせて貰おうかなーと」

 

 満面の笑みを携え返答する香澄。馬鹿正直に答える辺りが香澄らしい。

 

「うーん、弾くか出掛けるかのどっちかになるけど?」

「えー?!」

 

 少し意地悪な返答をすると、大袈裟に悲しそうな顔をする。表情コロコロ変わるねキミ……。

 

「冗談だよ。んじゃ、軽く弾いてから出かけようか」

「わーい!」

 

 喜ぶ彼女を引き連れ、再度地下室へと向かう俺。字面だけ見ると怪しげなシーンですね。終わり。

 

「そんで、弾けて1曲だろうが何を弾く?」

「んー、じゃあスタービート!」

「OK」

 

 指で丸を作り首肯した俺はスティックを手に取る。そして彼女の準備が終わるのを待つ。

 数分後、無言のままこちらを向いた彼女が1つ頷く。その意を汲んだ俺はスティックを叩いてカウントを取る。

 

「Lalalala Lalalala……」

 

 短なイントロの後、彼女の柔らかな歌声が部屋の中を木霊する。その声を阻害しないよう、セーブしながらドラムを叩いて行く。

 なんせこの曲は、彼女にとって——ポピパにとって思い出深い曲。だからこそ、俺が1人で熱を上げて壊してしまうことがないように、ゆっくりと繊細に演奏して行く。

 

「走ってた いつも走ってた 愛と勇気を届けたい」

「——あふれる思いで」

「眠ってた声がいざなった 風にゆれるキミの歌」

「——夢見るココロと」

 

 彼女の歌に合わせコーラスを入れていく。歌詞の意味を噛み締めながら且つ、(ボーカル)である彼女を引き立たせるようにして。

 

「まぶた閉じてあきらめてたこと いま歌って いま奏でて 昨日までの日々に——サヨナラする」

 

 最後の小節が終わったところで、響き渡っていた音は徐々に小さくなり止まっていく。

 

「うーん! やっぱり最高! ゆー君もそう思わない?」

「同意するよ」

 

 小さく笑った俺は縦に首を振る。彼女の言う通り、演奏することは最高に楽しいからな。

 

「さて、1曲やったし出掛けるか」

「うん!」

 

 スティックをケースにしまった俺は立ち上がると扉の方へと歩んで行く。香澄もそんな俺に続いてくる。

 

「そういや、ランダムスター持って行くのか?」

「あ、そこのこと考えてなかった」

「あのなぁ……」

 

 小さな茶番を繰り広げながら、俺達は地下室を後にして行くのであった。

 この後、香澄に連れられてあっちこっちと振り回されることになったが、それはまた別のお話。

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