The color is redder than crimson and shining.   作:希衣 三十三

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第2話


昔と変わらない間取り、昔から変わらない席である赤ずきんの隣に座り、他のシノビを待つ。赤ずきんの母親がお茶を用意したのとほぼ同時に扉を叩く音が響き、赤ずきんの母親が扉に向かって行く。

私が赤ずきんの顔を覗き込むと、緊張した面持ちでこちらを見返す。「大丈夫よ。」と赤ずきんに声を掛け、赤ずきんの母親は到着した三人のシノビを席に案内し、それぞれにお茶を出す。

出揃ったのを確認して、自己紹介をと思い口を開く。

彩取「皆様、ご機嫌よう。私、彩取 白黒(イロトリ ハクロ)と申します。そちらの赤ずきんさんとは、古くからお付き合いさせていただいてますわ。本日は赤ずきんさんの護衛を務めさせていただきます。皆様、よろしくお願いしますわね。」

言い終えて軽くお辞儀をすると、赤みの掛かったショートカットの女性が自己紹介を始める。

空羅「空羅(クウラ)って言います!赤ずきんちゃんさんとは最近お知り合いになりました!傭兵をやってますっ!よろしくおねがいしますっ!」

元気のいい子だ。一息ついて、その隣の女性とも見間違えそうな長髪の男性が目を閉じたまま話す。

断無「拙は断無 刃鐵(タテナシ ハガネ)と申す。今回は外部からの依頼で護衛を承る次第となった。よろしく頼む。」

ぼさぼさの髪と独特な衣装を纏った男性が続ける。

飯綱「私は飯綱 夜光(イイヅナ ヤコウ)といいます。皆さんお若い中で少し浮いた存在になっていますが、よろしくお願いしますねえ。普段は連絡網を務めているだけなんですけど、知り合いの任務を肩代わりすることになったので、あまり護衛任務には慣れていませんが、心強い皆さんと一緒に頑張っていきたいですね。よろしくお願いしますよ。」

一通りの自己紹介を終え、残るは赤ずきんだけとなったが赤ずきんはまだその緊張が抜けてないようで、席を立ち三人に軽く会釈をした後、

赤ずきん「こ…こんにちは…赤ずきん、です…」

届くかどうか心配になる声量で自己紹介をし、その後の沈黙に耐え切れずシノビ三人から盾にするように私の後ろに隠れ、こちらに助けを求める眼差しを向けてくる。

彩取「ふふ…皆様、ごめんなさいね?この通り、赤ずきんさんは昔から恥ずかしがり屋で。ほら、目的くらいお話しなさい?」

そう催促するが、

断無「構わぬ。拙は依頼で此方に赴いた故、依頼に関係せぬのであれば多少の難儀には目を瞑るつもり。」

そう言い切られてしまった。しばらく言い詰まった後に赤ずきんは少し前に出て、森の中へおつかいに行くことを伝える。伝え終わるとすぐに私の後ろへ隠れてしまった。そんな赤ずきんを母親はどこか懐かしそうな目で見ている。

お茶を飲み終えた一同は、赤ずきんの家を出発しおつかいとその護衛の任に付く。

 

 

赤ずきんの家を出て、私と飯綱を先頭に、赤ずきん、空羅、殿に断無の順で隊列を組む。

少し舗装された道を進み、こっちが早いとの赤ずきんの提案を受け入れ、森の中へと入っていく。

森の中では日が木々に覆われており、すっかり暗くなってしまった。途中、隼の鳴き声が聞こえていたが、森に入ってからはその気配もなくなってしまった。

足元が見えないくらいの暗闇の中、獣道を進んでいく。

彩取「あらあら、森の中はこんなにも暗いのですね。」

飯綱「暗いと気分が沈んでしまって嫌ですねえ……気分が沈む、と言えば彩取さんは色を使う忍術を持っていると聞きました。」

思わぬところでこの話題が出る。瞬時に興味がありますの!?と声が出そうになるが、初対面でいきなり飛びつくのは不味いだろう。ぐっとこらえて平然と聞き続ける。

飯綱「私は紙切り師をやっているんですけど、最近の子供たちにはウケが悪くて、良ければ一つ紙切りを見せるので子供ウケするアドバイスが欲しいのですよ。」

彩取「…?紙を切る時に扱う色を知りたい、ということですか?」

飯綱「そうそう、そんな感じです!若い子の感性を取り入れたくて……」

少し考える。私の扱う忍術は、他の人のいうオーラや気、感情と言われるものを操ることが主だ。

それに色を扱う忍術を修得させるにもその操作が難しい。色を視ることが出来なければ、簡単に扱えるものではない。

子どもに受け入れられる色…?目に止まりやすい色なら、目的に合っているか。そう考えをまとめる。

彩取「なるほどなるほど。では少しお見せいたしますわ。」

そう言って手元に色を取り出し、目に止まりやすい色、次いで刃物の色との対比について、色を手元に出しながら軽く説明を行う。

彩取「刃物を扱うなら、こんな感じの色ですわね。」

飯綱「真摯なアドバイスありがとうございます、これで私の紙切りの評判も良くなるでしょう!」

飯綱はそう笑顔で返し、一枚の色紙から鮮やかな手捌きでうさぎを作り上げる。

その純心を写したような色を裏付ける笑顔に、私も笑みが浮かぶ。いい色を持っているように視えた。

 

そんな会話をしていると、再び舗装された道に出る。どうやら森を通ることでショートカットしていたようだ。

彩取「今度はまた明るい所に出ましたわね。暗いと足元が見えずらいので助かりますわ。」

空羅「明るいと歩きやすいですね!」

元気な声が後ろから届く。

彩取「ええ、暗いと色も見えづらいので。これで空羅さんの色もはっきり見えますわね。」

そう答え、振り返る。

空羅「私の色はどんな色なんでしょうかー。綺麗だといいのですが。」

彩取「うふふ…視て差し上げますわ。」

そう言いながら近づいて、色を視る。

…あまり視ない色だ。違う。これは複数の色か。

彩取「あら、あらあら…?」

忠誠心…?と敵意だろうか。それに何かもう一つ混じって見える。なんだろうか。

流石鞍馬というべきだろうか。それとも彼女自身の?どちらにせよ、とても興味深い。

彩取「珍しい色をお持ちですね!複数の色が視えるなんて!」

思わずして声に出る。

彩取「あなた、色に興味はありませんか!?」

思わずして前のめりになる。

空羅「ちょ……近いです……顔ぶつかってます!」

彩取「まあまあ!そんなこと言わないで!人の背後に色が視えたりしませんか!?」

しばらくして近くにいた飯綱になだめられる。…少し強引すぎただろうか。敵意の色が強まったように視えた。

赤ずきんにもう少しで街に着く。と囁かれ、私たちは街で一息入れることにした。

 

私の住む街からは少し遠く、あまり立ち寄らないこの街では、また違う色が見えている。

彩取「あまり、知らない町ですわね。面白い色が多数あって。」

空羅は前を歩いていた私と飯綱を追い越して、

空羅「街につきましたね!皆さんどこかお買い物行きますか?」

目を輝かせながら話す。はっとした後に空羅はくるりと後ろを向き、

空羅「カフェ行きましょう!カフェ!」

飯綱「いいですねえ、行きましょうか。」

飯綱は笑顔でそう返す。

私は最後尾を歩く断無にアイコンタクトをとる。目を開けていないが通じているようで、うなづきが帰ってくる。

空羅「赤ずきんちゃんもいきましょう!」

空羅はそう言って赤ずきんの手を取り、目の前に見えるカフェへ向かう。

赤ずきんは手を取られた際にびくっと身体が跳ねるが、拒否することなく連れられて行く。少し不安そうにこちらを見たが、ついていく私たちを見て安心したように空羅についていく。

彩取「あらあら、良かったですわね。お友達が出来て。」

赤ずきんの顔は頭巾で隠れていたが、嬉しそうにしている色が視えていた。

 

カフェでお茶を楽しんでいると、急激に視界が狭くなり、意識が遠くなる。身体は金縛りを受けているように動かすことができず、そのまま意識を失う。

意識が戻ったとき、目前に広がるのは森の中の風景だった。そこに髪色が異なる双子が、森の奥から歩いてくる。

「ヘンゼル兄ぃ、ここにするの...?」

白髪の女の子が灰色髪の男の子に問い掛ける。

「そうだよグレーテル、赤ずきんの母親と離れにいるおばあ様には許可は取っている、だから安心していいよ。」

そう灰色髪の男の子は答える。

「それなら大丈夫だね...すぐ建てる?」

グレーテルはそう聞き返し、

「勿論さグレーテル、ボクたちにかかればすぐさ」

ヘンゼルは自信満々に胸を張りながら、そう返す。

ヘンゼルはグレーテルの手を握り、もう片方の手を前にかざす。それに合わせてグレーテルも同様に手をかざす。

しばらくすると、水晶が割れるような音が森の中に響き、双子の前に大きなお菓子の家が空から降ってきた。

そのまま二人は家に入っていき、その姿が見えなくなると、再び意識が遠のいていく。

気がつくと、視界はカフェの中に戻っており、赤ずきんが心配そうに私たちを見ている。

全く違う景色、意識のみがそこにあるかのような浮遊感、あの二人が双子であるという確信。まるで夢の中にいるようだった。

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