The color is redder than crimson and shining.   作:希衣 三十三

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2サイクル
第3話


カフェを後にし、再び赤ずきんの目的地へと歩を進める。

少しして、またも深い森の中へ入っていく。

彩取「まぁた、暗い森の中ですわ。赤ずきんさんのおつかいは大変ですわね。」

ちらりと赤ずきんの方を見る。赤ずきんはどうしてこうも迷うのか…といった感じで項垂れている。

彩取「赤ずきんさん、道はこっちで大丈夫ですの?」

この問い掛けに、赤ずきんは首を左右に大きく振って、絶対に違うと否定している。

そういえば、目的は分かっているが肝心の目的地は聞いていなかった。

彩取「あらー、飯綱さんはどっちか分かります?」

飯綱「地図があれば分かるんですけどねえ……私は護衛の任は任されましたが、道順は知らされてないもので……」

飯綱も同じ状況のようだ。

彩取「…むむむ。」

こうなれば恐らく空羅や断無もだろう。

彩取「道順を知っているのは、赤ずきんさんだけですわね…」

であれば知っているのは赤ずきんだけ。地図はあるだろうかと思ったところで、赤ずきんはいそいそと地図を取り出す。

地図には、赤く〇を付けた赤ずきんの家と、目的地と思われる所に赤い◎が付けられている。

焦りながら地図で来た道をなぞっていく赤ずきんは、気付いたようにはっとしてこちらを見る。どうやら道を間違えていたようだ。

本当にそれだけ?むーっと近づいて何か隠していないか、色を視る。

色をよく視て初めて気付く。赤ずきんに忍術がかけられている。行動を阻害するような忍術、それも呪いに近しいもので、命を脅かすもののようだ。

そしてもう一つ、赤ずきんの母親と祖母について何か真実が隠されている。

そういったことが視えた。

赤ずきんは子どもが反省するかのように目を落とし、首元を気にするように触り始める。

そこには、大きな手で絞められたかのような絞め跡が現れていた。

赤ずきん「ぅ…ぅ~…ぅ…」

こちらを見てなにかを伝えようとしているが、言葉が出てこないようでただただ唸るだけだ。

赤ずきんの首元の絞め跡は、何かを伝えようとすると強く現れる。これがかけられた忍術の正体だろう。

彩取「…あらあら、そんなこと、秘密にしてたのね。」

赤ずきんの首元に触る手を両手で取り、

彩取「…大丈夫よ、なんとかしてあげる。」

そう囁き、飯綱の方に向き直る。

彩取「飯綱さん、とんでもないことが分かりましたわ。」

飯綱「そうですねえ……少し、赤ずきんさんの周辺を探っていかないといけない気がしますね。今回の任務、共に気を付けて行きましょう。」

飯綱にもこのことが伝わっていたようだ。だが、これ以上赤ずきんに注意を向けられるといけない。あの忍術は、赤ずきんを調べることが引き金になっているかもしれないからだ。

彩取「なんと赤ずきんさん、地図を逆に見てましたわ!早く二人にも伝えないと!」

道を間違えていたことを伝え、首元の絞め跡のことを誤魔化す。後ろにいた二人にも早く順路に戻ろうと促し、少し来た道を引き返して今度こそ正しい道を進む。

 

舗装された道に戻り、今度は迷わないよう分かりやすい道を進む。

最前列を行く私と飯綱に、空羅が小走りで近づいてくる。

空羅「みなさん赤ずきんさんの秘密は受け取りましたか。」

後ろの赤ずきんに聞こえない声で話を続ける。

空羅「…赤ずきんさんの真の目的気になりますね。」

空羅は考える素振りをしている。実際のところ、私もどうしたものかと考えている。

飯綱「私は彩取さんから伺いました、色々と根深い問題がありそうで色々調べないといけないことが増えましたねえ。」

彩取「ちょっと目を離したときに、あんなことになってるなんて…」

私も、思っていることを口にする。

空羅「赤ずきんさんも何か伝えたがってるようですね。」

飯綱「赤ずきんさんとはこの護衛の任で出会ったばかりなので、親しい間柄ではなく分からないことだらけですが……空羅さんから見ると何かを感じたりするのでしょうか。」

空羅「この任の少し前から知り合いでしたが、あんなことを思ってるとは全く知らなかったです。」

彩取「私もですわ。昔からの友人であるのに、不甲斐ないですわ…」

空羅「きっと今までも深く悩んでいたんでしょうね。」

空気が重くなり、しばらく沈黙が起こる。まあ何とかなりますわ、そう口にする前に飯綱が沈黙を破る。

飯綱「……まあまあ!あまりこちらの気分が暗くなってしまったら、赤ずきんさんもびっくりしてしまいますから。」

笑顔を作り、場を支える。

飯綱「折角護衛として4人いますし、解決できるところは彼女のためにも解決していきたいですね!」

空羅「そうですね!赤ずきんさんには伝わらないようにいたしましょう。」

こうして、赤ずきんの秘密を少しずつ紐解いていくことにした。

飯綱と空羅は、お互いの性格が気に入ったのか、気がつけば打ち解けていたようだ。

 

舗装された道が終わり、ここからは地図を頼りに進んでいく。赤ずきんによると丘を登り、この先に見える森を抜けるようだ。

丘を登ると目一杯の自然が見渡せる。少し先に見える森を進むらしい。いい景色だ。何もない日であれば、この風景を絵に落とし込みたいところであるが、今は忍務中だ。

飯綱「綺麗なところに出ましたね!折角ですし、町へ赴いた時に買ったクッキーとお茶で休憩にしましょうか!」

道を間違えていたこともあり、少し急ぎ足で進んでいた一行には多少なりとも疲れがあったようで、この提案を否定するものはいない。

彩取「あら、いいですわね。お手伝いいたしますわ。」

空羅「紅茶注ぎますね!」

私と空羅は、それぞれ飯綱の手伝いをする。

赤ずきんは用意されたクッキーに目を輝かせてながら待っている。

飯綱「わあ、皆さんご協力ありがとうございます。」

空羅は腕を高く上げながら、器用に紅茶を注いでおり、それに飯綱は拍手を送る。

用意が出来たということで腰を下ろすが、断無は周りを警戒するためか立ったままだ。

飯綱「断無さんも座ってぜひ一息ついてくださいね、今はまだ何もありませんがこれも任務、何があるかは分かりませんから。」

立ったままの断無にそう呼びかける。少し考えた後、断無が答える。

断無「では、失礼して。」

飯綱「はい、休める時に休むは大事なことですよ。」

飯綱は座った断無に紅茶を差し出し、断無はその好意を柔らかな笑みを作り受け入れた。

少しの間休息を取った後、目前の森へと進む。

 

再び森の中、またも足元の見えなくなるくらいの深い森を進んでいる。先頭を行く私と飯綱にはある考えが頭を離れない。

断無「おやお二人とも、このような所で如何なされた?」

歩みが鈍った私たちに断無が問い掛ける。

彩取「いえいえ、そんな大した用ではありませんですことよ。」

飯綱「さっきからこの森が開けたり閉じたりが激しいのは気がかりですけどねえ……」

彩取「赤ずきんさん、また地図を逆さまに読んでたりしてないでしょうか…」

先ほどと同じく道を間違えてないか、どうしても心配になる。そんな私たちに断無は、

断無「急ぐわけでもないのだからいいのではないかな?」

多少遅れたとて問題ないだろうと。そう言ったところで、森の木漏れ日を縫うように飛ぶ隼が、断無の肩に止まる。どうやら断無の使いのようだ。

隼は断無に何かを伝えた後、飛び去っていく。

赤ずきんにこの道で合っているかと聞くと、今度は自信を持って前方を指差す。

 

再び進みだした矢先、またも視界が奪われ手足の感覚が消えていく。あの時の、夢を見せられる時の感覚だ。

意識を取り戻すと、そこはお菓子で出来た家の中だった。

目を動かすこともできず、ただ光景を見るだけ。そこには、ヘンゼルとグレーテル、頭巾を被っていない赤ずきんが、トランプをして遊んでいる。しかし、赤ずきんの首から上は、黒い靄がかかったように隠されている。

「ヘンゼル兄ぃ、赤ずきんちゃんすっごいトランプ弱いよ。」

「真実には言っていい事と悪いことがあるんだぞグレーテル。」

からかうように笑うグレーテルとそれを注意するヘンゼル。

「でも不思議だよヘンゼル兄ぃ、赤ずきんちゃんは狼の██なのに。」

「そうだねグレーテル、私達よりずっと頭がいいはずなのにね。」

ある言葉がノイズのようになり、聞き取れない。

「さぁ続きをしよう?██様?」

またノイズが入る。

「グレーテル、からかうのはやめよう、対等に僕らは友達だ...ずっと...これから。」

ヘンゼルがそう言うと、意識が遠のいていく。

夢から醒めると、意識を失う直前にいた森の出口だった。

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