The color is redder than crimson and shining. 作:希衣 三十三
第9話
??「やあ、小期間の療養お疲れ様。」
事務所近くのカフェ、入って直ぐに奥の席から声が届く。報酬等の獲得資料をまとめる依頼を出していた、前髪に青色のメッシュが2本入った男性、二波 回斗(フタナミ カイト)の声だ。
彩取「二日で済んだ程度で助かりましたわ。それより、悪いですわね、お待たせしちゃって。」
資料へ記入を行う二波を横目に、店員にコーヒーを一つ注文する。
二波「構わないさ。報酬はすでに貰っているし、何より君と僕との仲だろう?」
彩取「そうですわね、先輩?」
二波「…その先輩って呼び方、止めてくれ。嫌な記憶が蘇る。」
彩取「あら、そうだったんですのね。今度は一体どんなものを盗ろうとしたのかしら?」
私の笑顔に、二波は乾いた笑いで返してくる。
二波「しかし、この金額はどうしたんだい?無名の流派に対する個人の報酬額としては破格の額だ。」
二波がペンで指しながら質問してくる。
彩取「赤ずきんさんの御家族の遺産からですって。私は要らないって言ったんですけど、治療費も込みでって。」
苦い顔で答える。
彩取「だって仕方ないじゃありませんか!友人の頼みを聞いただけって言っても、その首の傷は私が付けたものだからって涙目で言われたら!」
二波「どうどう。別に攻めてる訳じゃないさ。とんでもないことに足を突っ込んでないかと思ってね。」
二波はペンを進め、私はため息を一つ付き、届いていたコーヒーに口を付ける。
二波「しかし、憑依していた子も災難だったね。」
彩取「あら?どういうことかしら?」
二波「君が怖いからってことじゃないさ。無惨にやられて、復活できたと思ったらまた怖い人にやられてて。」
睨みつける私の目を尻目に二波は続ける。
二波「正直、同情するよ。」
二波はそう言って、コーヒーに手を掛けた。
彩取「…まあ、否定はいたしませんわ。でも私に救えるのはあの瞬間だと一人だけ。私は赤ずきんさんを守る一択でしたわ。」
少し手が止まる。あの時の紅ずきんの色を思い出す。
彩取「それでも、救えるものを救う。そのためにこの色があるのですから。そのためにこの世界を彩るのですから。」
実を言うと少し惜しい。紅ずきんの色は嫌いではなかった。
どうにか色を取り出せないかと考えながら必要な箇所へサインを記入しているところで、「あ。」と何か気付いたように二波が話す。
二波「そういえば、時間はいいのかい?この後すぐに彼女とのデートだって言ってたと思うけど。」
私ははっと時計を見る。もうこんな時間になっている。
二波「資料は作っておくから、行ってくるといい。大切な子なんだろう?」
彩取「…お願いしてもいいかしら?」
二波「但し、その先輩呼びはしばらく無しだ。」
彩取「ええ、じゃあお願いいたしますわ、二波さん。」
コーヒー代と手を振る二波をカフェに残し、待ち合わせの場所へ向かう。
僅かな時間であったがまた会うまでが待ち遠しい。気がはやり、頬が緩んでいることが私でも分かる。
さあ、何をして遊ぼうか。