ー朝 喫茶店ー
えむ「それでねそれでね! あたし達、フェニックスワンダーランドってところでショーをしてるんだよ!」
瑞希「フェ、フェニックス…なんだっけ」
えむ「フェニックスワンダーランド! 皆はフェニランって呼んでるよ!」
奏「鳳さんのショー、前に皆で見に行ったよね。何回か見たけど、毎回面白かったよね」
まふゆ「そうだね。最近は見に行けてないけど、どんな感じなの?」
えむ「えっとね、ビューンでバーンって感じで、ワーッて戦うんだ!」
瑞希「えっと…?」
まふゆ「ヒーローショーかな」
えむ「そうです!」
まふゆ(鳳さんは擬音語、擬態語、所謂オノマトペをよく使う。最初は戸惑うかもしれないけど、落ち着いて1つずつ考えると案外簡単にわかる。ビューンは風を切るように飛び出す感じ、バーンは爆発、ワーッていうのは複数人で戦っている様子。勢いよく飛び出して、そこで爆発が起こって、数人で戦う。そう考えると、ヒーローショーってすぐに分かる)
瑞希「ヒーローショーかぁ、この前テレビで見たアニメみたいな感じなのかな」
奏「ヒーローアニメとは少し違うんじゃないかな?」
えむ「司くんが台本を書いてくれるんだけど、凄いんだよ! えっと、寧々ちゃんの剣でシュバって悪い人を斬っちゃうんだよ!」
瑞希「ねねちゃんの剣?」
まふゆ「草薙の剣のことかな。草薙さんのことでしょ、寧々ちゃんって」
えむ「そうそう、草薙の剣です!」
瑞希「草薙の剣ってどんな剣なの?」
まふゆ「三種の神器の1つで、力強さとか、そういうのを象徴する剣だよ」
瑞希「三種の神器をショーに使うの!?」
えむ「類くんが、本物そっくりの草薙の剣を作ってくれるんだって!」
瑞希「そう、だよね…」
まふゆ(流石に、本物の三種の神器をただのヒーローショーには使えないだろうね。鳳さんの一声で草薙の剣が用意できたら恐ろしいよ)
えむ「でもでも、金属を溶かして、それでコーンって打って創るんですよ!」
奏「凄いね…」
まふゆ「奏だったら、打つまえに熱で溶けてそうだね」
奏「うぅ…」
瑞希「ボクも無理だな…」
まふゆ「猫舌でも、熱いのはいけるんじゃない?」
瑞希「いやいや、肌が焼けちゃうよ」
えむ「やらないんですか?」
瑞希「え?」
奏「やるって、何を…?」
えむ「この後ワンダショの皆で鍛冶場まで行って打つんです! 朝比奈センパイ達も、一緒にやりません?」
まふゆ(まさか巻き込まれるとは思わなかった。奏と瑞希は熱に負けるだろうけど、私も鍛冶場の熱には耐えきれないかもしれない。熱いも寒いも私は苦手だ。前まで感じなかったから、その分なのかな)
瑞希「やってみたいけど… でも、勉強もあるし…」
まふゆ「じゃあ、行こう。勉強は後でもできる。それに、学校までに間に合わなくても先生方もわかってくれるよ」
まふゆ(神高の先生方も、あんまり瑞希を責められないだろうから。今は、使えるものはなんでも利用して少しでも楽しんだほうがいい)
えむ「じゃあ、車が今からぴゃーってくるので、待ってる間に勉強しましょう! あたしも、次のテストの範囲が全然覚えらんなくて…」
奏「それなら、なにか頼もうかな。店員さん、コーヒーお願いしてもいいですか?」
店員「はい、お1つで?」
瑞希「ボクもコーヒー!」
えむ「あたしも!」
店員「じゃあ、3つお持ちしますね」
まふゆ(奏が手を上げて近くにいた店員を呼んで、コーヒーを頼んだ。それに、瑞希と鳳さんも。よく、コーヒーなんて飲めるね)
奏「まふゆ、さっきからずっとカップを持ってるけど、飲まないの?」
瑞希「ボクも気になってたんだよね。コーヒー入ってるんでしょ? まふゆってコーヒー飲むんだね」
えむ「あたしが来たときも、口に付けてましたけど飲んでませんでしたよね?」
まふゆ(…どうしようかな。純粋な3人を騙すのは心が痛むんだよね。絵名を騙すのは気楽だけど。適当なこと言って誤魔化すしか無いかな…)
まふゆ「ごめん、忘れてた。飲もうと思ってカップを持ってたんだけど、話すのに夢中で」
瑞希「ボク、コーヒー初めて飲むからさ、どんな味か気になるんだよね。まふゆ、どんな味なの?」
まふゆ「奏、私は普段飲まないからわからないんだけど、コーヒーって普通はどんな味なの?」
奏「何も入れないと苦いけど、砂糖とかミルクを入れると甘くなるよ。苦いのが好きな人は何も入れないけど、瑞希は辛いのも苦手だし甘くしたほうがいいんじゃないかな。まふゆ、このお店のコーヒーってどれくらい苦かった?」
まふゆ「…鳳さん、苦いってなんなんだろうね。甘いとか苦いとか、色んな味を舌で感じるけどそれって本当に味なのかな。実際はコーヒーは苦いって思い込んでるから苦く感じるだけで、本当は苦くも甘くもなくて、実際は黒色のただの水なんじゃないかな」
えむ「…へ?」
まふゆ(どうしよう。絵名がいたら適当なことを言って怒らせれば場を流せるんだけど、この3人だと馬鹿げたことを言っても信じられてしまう。コーヒーが本当は黒色の水だと本当に信じて真剣に考えてる。どう考えても見え透いた嘘なのに)
奏「う~ん…?」
瑞希「コーヒーは、水?」
えむ「あ、朝比奈センパイ? 冗談です…よね?」
まふゆ「冗談だよ。コーヒーはコーヒーだよ。絵名がいない時に冗談を言っても誰もツッコんでくれないから、私が間違えてるんじゃないかと不安になるね」
えむ「そそ、それは朝比奈センパイが怖くて…」
まふゆ「鳳さん? どうしたの?」
えむ「ごご、ごめんなさいぃ…」
まふゆ「?」
瑞希「…あの2人、何やってるの?」
奏「いつもあんな感じだよ。多分、そう言う遊びなんじゃないかな?」
まふゆ(…コーヒーの件は、うまく誤魔化せた… かな?)
店員「おまたせしました、コーヒー3つです」
奏「ありがとうございます。じゃあ、みんなで飲もっか」
瑞希「勿論、まふゆも、ね?」
まふゆ「え…」
まふゆ(………えっと、トイレはあっちか)
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