ー喫茶店前ー
えむ「あ、お〜い!」
まふゆ(鳳さんが、薄ピンクの目立つ車に手をふる。車は店の前で停車して、扉が開いた)
類「迎えに来たよ、皆さん。さぁ、乗って」
まふゆ(車から出てきた神代さんに促されて車に乗る。鳳さんが助手席、他3人が後ろ)
ー車内ー
えむ「あ、朝比奈センパイはこれ使って下さい!」
まふゆ「……」
まふゆ(…酔い止薬。確かにコーヒーを飲んでから顔色は悪いかもしれない。でも、そんなに?)
奏「まふゆ、気持ち悪くなったらすぐに言うんだよ?」
瑞希「うんうん、なんかずっと青ざめてるもんね〜」
まふゆ「…そんなに?」
奏「うん」
まふゆ(そっか、そんなになんだ)
瑞希「あ、見て見て! あそこ、博物館だって。今度人形展やるんだってよ!」
奏「人形展、か。なんだか懐かしいね」
まふゆ「人形展を見てると、倒れそうな気分だよ」
瑞希「え、大丈夫?」
まふゆ「…別に本当に倒れるわけじゃないよ」
瑞希「そう…?」
まふゆ「瑞希は人形展に行きたいの?」
瑞希「うん、行ってみたい」
まふゆ「…今度、チケットを調べておくよ」
えむ「あ、あの人形展はフェニックスグループの主催なのでチケットありますよ?」
まふゆ「もらえるの?」
えむ「大事な人誘って行ってきなって沢山チケットもらったんだ!」
類「一応、仕事の取引先とかと行ってきなって意味だけどね。でも、ニーゴの皆さんとならお兄さん達も怒らないと思うよ」
まふゆ(私達は取引先じゃないんだけどね。 …いや、前に公演の手助けとかもしたし、仕事における関係者ではある…のかな。余り気にしてもよくないのかな)
まふゆ「じゃあ、有り難くいただくね」
えむ「はい!」
類「少し先の花屋さんで1度停めるよ。えむくん、何か買う花があるだよね?」
えむ「うん! 母の日のために、カーネーションを買うんだ!」
奏「カーネーション、キレイな花だよね」
まふゆ(5月頃は、母の日の話題になるのは避けられない。だけど、母の日の話題をすると奏はいつも目を逸らしてしまう。仕方ないことなんだけど、少し、ね)
まふゆ「瑞希も、お母さんにカーネーション買ってあげな」
奏「うん。造花でも生花でも、買ってあげると喜ぶよ」
瑞希「2人は買わないの?」
奏「わたしは、いいかな。渡す相手もいないし…」
まふゆ「私も渡す人がいない」
瑞希「でも、白いカーネーションとかお供えしてあげたら? それに、まふゆも赤いカーネーションとかお母さんにあげたらきっと喜ぶよ!」
奏「…そうだね、折角の母の日なんだから、お供えしないと、だね」
まふゆ「…なんで赤いカーネーション?」
瑞希「この前、気になったからカーネーションの花言葉調べたんだ!」
まふゆ(そう言って瑞希はメモ帳を取り出して読み上げ始めた)
瑞希「白いカーネーションは«亡き母を偲ぶ»って意味で、赤いカーネーションは«母への愛»。それで、ピンクが«感謝»で青が«永遠の幸福»だって!」
まふゆ「…濃い赤のカーネーションでも買ってお母さんに渡すよ」
まふゆ(カーネーションの花言葉は、実は全部覚えている。母親が1番喜ぶ色は何色なのか知りたかったから全部覚えた。昔なら素直に赤を渡したけど、今は濃い赤を渡そうかな)
瑞希「濃い赤? どんな意味なの?」
まふゆ「内緒。考えてみなよ。赤色が母への愛なんだから、それを濃くすればいいだけだよ」
瑞希「う〜ん、凄い母への愛って感じ… なのかな?」
まふゆ「そうじゃないかな」
まふゆ(昔の瑞希なら、きっと赤と一緒に濃い赤の花言葉も調べてるんだろうね。 …きっと、私は未だに昔の瑞希の姿を拭えてないんだろうな。何度話しても、今の瑞希に慣れない。常に疑う眼差しの、心を常に隠した、昔の瑞希。その幻影に囚われているから、今の瑞希の口調や感情の変化についていけてない。だから、何を言っても思ったような返事が来ない)
まふゆ「ねぇ、瑞希。凄い楽しそうだね。声が踊ってるよ」
瑞希「そう? でも、確かに色んな物を見るのが楽しいんだ。やっぱ、見慣れないものだからかな〜」
まふゆ「でも、前に人形展に行った時はもっと静かだったよ。少なくとも、行く前は」
瑞希「ボクは昔のことを覚えてないからな〜。人形展に行ったときのボクって、どんな感じだったの?」
まふゆ「感慨深げに興味津々な感じだったかな」
瑞希「昔のボクってそんな感じなんだ〜」
まふゆ「…瑞希はさ、昔のことを思い出したい? それとも、今のまま全部忘れてしまいたい?」
まふゆ(そう言うと瑞希は少し悩んで、ニコッと笑ってみせた)
瑞希「ボクはどっちでもないかな。昔のボクが感じたことも、きっと大切だし、今ボクが感じてる気持ちも、すっごい大切だから。だから、どっちが良いっていうのはないかな」
まふゆ「そう言う考えは、昔から変わらないんだね」
瑞希「?」
まふゆ(瑞希は、過去も今も未来も大切だって考えてた。私達と出会う時のこと、神代さんと出会う時のこと、瑞希は鮮明に覚えていた。苦しかった時の経験も活かして、私に逃げる提案をした。 …苦しかった時の記憶を鮮明に覚えているから、瑞希は今を楽しむことを考えてた。その記憶に引っ張られて、瑞希は何も言わずに屋上から飛び降りた。 …過去に縛られてもいいことなんてないんだろうね)
まふゆ「別に気にしないほうがいいよ」
奏「うん。瑞希は、そのままがいい」
瑞希「そう? じゃあ、いいけどさ」
類「お話中すまないが、花屋さんに到着だよ。車で待っているから買っておいで」
えむ「行こ! すっごいパーって綺麗なお花さんが沢山あるんだよ!」
奏「じゃあ、行こっか」
ー花屋ー
まふゆ(車を降りて、花屋に入る。母の日を全面に出して大量のカーネーションが並んでいる。赤、青、黄色、ピンク、オレンジ、白。少し濃い赤色の造花のカーネーションを手に取る)
まふゆ「私はこれにするよ」
えむ「ほえ? 造花なんですか?」
まふゆ「いつ渡せるかわからないから」
えむ「そそ、そうでした!」
瑞希「ボクはこの青いカーネーションと、ピンクのカーネーションにするよ」
奏「2つ買うんだね。わたしは、この白いカーネーション。わたしも造花にしようかな」
えむ「瑞希ちゃんはお母さんに2つ渡すんですか?」
瑞希「ううん。この青いカーネーションはお母さんに、ピンクのカーネーションは絵名にあげるよ」
えむ「絵名さんにもあげるんですね! あたしはこの紫のカーネーションにしよーかな!」
まふゆ(店員さんに渡してラッピングをしてもらう。それぞれのカラフルなカーネーション。何か、もう1つ他の花も買っていこうかな)
まふゆ「店員さん、カーネーションと同じ色の、この黒っぽい赤色のバラの造花も1つお願いします」
店員「バラですか? バラなら、濃い色よりも鮮やかな色の方が良い意味になりますけど…」
まふゆ「いえ、カーネーションと同じ、黒に近い赤色のバラでお願いします」
店員「わかりました。一緒にお包みしますね」
まふゆ「お願いします」
まふゆ(母の日用の花を買って、私達はお店を出て神代さんが待つ車に乗った。カーネーションもバラも、濃い色が1番キレイだよ、本当にね)
好きなカーネーションの色は?(ルート分岐)
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白
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赤
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ピンク