幸せのあしあと   作:緑雨

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4話 複雑な難題

ー昼 車内ー

 

まふゆ「…」

(静かな車内。それぞれが花を持って、ゆったりと自分の時間を過ごしている。つまらなさそうに外の街並みを見ている瑞希、ひたすらに譜面に書き込んでいる奏。疲れて寝ている鳳さんと、運転をしている神代さん。暇をつぶすために絵名にナイトコードでちょっかいをかけようとスマホを点けると、画面の中にミクがいた)

 

まふゆ「…」

25ミク「えっと、まふゆ。セカイに来れる?」

まふゆ「緊急?」

25ミク「うん」

類「誰と話しているんだい?」

まふゆ「電脳世界の住人、かな」

類「不思議な返しをするね、君は」

 

まふゆ(小声で会話をしていても、起動したばかりのスマホの画面に語りかけている様子は不審だろうね)

 

25ミク「まふゆ、来られる?」

まふゆ「…仕方ないか」

 

まふゆ(ため息をつきながら、ファイルを開き、Re:Untitledを起動する。言い難いしわかりにくいから、Untitledって呼ぼうかな)

 

まふゆ「少し離席するね」

(そう言うと、私の周りは光に包まれた)

 

ー狭間のセカイー

 

まふゆ「私だけ、だね」

(周りを確認しても、他には誰も来ていない。少なくとも、一緒に車に乗っていた人は)

 

まふゆ「それでミク、用事って?」

25ミク「まふゆ、来てくれた。あっちのミクが、まふゆに用事があるんだって」

まふゆ「行ってくる」

 

LNミク「忙しいところ、ごめんね。ちょっとした問題が起こっちゃって…」

まふゆ「どういう問題?」

LNミク「直に来る」

???「おい! どこ行ったあいつ!」

???「こっち〜! ボーンっ!」

まふゆ「…何あれ」

LN「ミクとカイト。どこかのセカイの」

?カイト「おい、まふゆ。こいつをなんとかしろ!」

?ミク「誰の事~?」

?カイト「…殴るぞ」

?ミク「こわーい!」

まふゆ「カイト、なんで来たの」

 

まふゆ(ミクはわからないけど、カイトは私の、誰もいないセカイのカイト。間違いない。この機嫌の悪い感じ)

 

25カイト「気付いたらこんな場所にいたんだよ。どうせお前が呼んだんだろ」

まふゆ「1度も来てほしいなんて思ったことはない。帰ったら?」

25カイト「どうやって?」

まふゆ「考えないで聞くのはよくないよ。自分で探しなよ、戻る為の欠片」

25カイト「はぁ!? お前も帰り方わかんねぇんじゃねえか!」

LNミク「えっと、とってもご機嫌がよろしいようで…」

25カイト「お前も誰だ」

LNミク「ミクだよ、今このセカイには3人もミクがいるけどね」

25カイト「わけがわからん」

?ミク「そんな時は! ドーン☆」

まふゆ「楽しそうだね」

?ミク「!! はぃ…」

 

まふゆ(このミク、鳳さんと同じような雰囲気がする。 …気の所為かな)

 

まふゆ「じゃあ、私戻るね。たいした問題じゃなさそうだから」

25カイト「この状態で放置するつもりか!」

まふゆ「カイト1人でなんとかできるでしょ。じゃあね」

 

まふゆ(そう言ってUntitledを止めた)

 

ー車内ー

 

まふゆ(…動いてる車内に戻ってこれるんだね)

 

瑞希「あ、まふゆ帰ってきた」

えむ「朝比奈センパイ! どこ行ってたんですか!?」

まふゆ「少し用事があって、電脳世界の中にいたよ」

瑞希「えぇ!?」

えむ「そうなんですか!?」

奏「セカイ、でしょ」

えむ「セカイィィ!?」

類「おや、セカイか」

まふゆ「私達のセカイのミクに呼ばれたから行ってきたら、怒ってるカイトとそれに突撃してる鳳さんみたいなミクがいたよ」

えむ「ミクちゃん!?」

 

まふゆ(そんなに驚くことかな。普通はこうなるのかな。私が慣れてしまっているだけでさ)

 

まふゆ「別に、たいしたことないよ。ただのセカイの日常だよ」

類「セカイ、か。久し振りに、その名前を聞いたね。僕達の知るセカイと、君が見たセカイは違うのだろうね」

まふゆ「同じであり異なる、かな。私が見たセカイと神代さんが見たセカイは、同じであるが異なっている」

類「二律背反… いや、単なる言葉遊びか。詳しく説明してほしい」

えむ「んぇ? ニリツハイハン?」

瑞希「どういうこと?」

まふゆ「…子供にもわかるように簡単に説明するよ」

類「高3は子供なのかい?」

 

まふゆ(それから私は、見たものを説明した。最初に見たミク、Leo/needのミク、今見てきたカイトとミク。それと、色んなセカイを出入りできること。誰もいないセカイのことやセカイに瑞希の触れた物が現れたこと、Leo/needの皆が入れることは伏せておいた。プライベートなことは態々言う必要はない)

 

類「…ふむ。面白いことだね。 …少し気になることがあるから、後で時間を貰えるかい? 朝比奈さん」

まふゆ「私も、神代さんには聞きたいことがあります。後でお話しましょう」

瑞希「え、そこ仲良いの?」

えむ「類くん、朝比奈センパイとお友達だったの!?」

類「…あまりしっかりと話したことはないけど、君達から何度もどんな人が聞かされているからね」

まふゆ「瑞希と鳳さんが色々包み隠さず話すから、嫌でも知ってるよ」

えむ「嫌だったんですか?」

まふゆ「そういうわけじゃないよ」

 

まふゆ(神代さんに聞かないといけないこと。勿論、これから何をするのかは聞かないといけないけど、それ以上に瑞希のことを聞かないといけない。中学時代の瑞希を知っているのは神代さんしかいない。瑞希が苦しんでいる原因があるとすれば、それは絶対に過去にあると確信してる。だって、瑞希がニーゴに入ったのは、なにか辛いことがあったから。だけど、ニーゴで話していても明るく元気だったから、私は気付けなかった。私の問題も、奏の問題も、絵名の問題も完全には解決していない。でも、瑞希の問題は初めの段階から一歩も進んでいない)

 

まふゆ「はぁ」

類「…」

 

類(僕には、瑞希を救えるチャンスが何度もあった。でも、僕はそのチャンスに気付かず、手放してしまった。ワンダショの活動が忙しかったなんて、言い訳にはならない。瑞希が生死の狭間まで追い詰められていることに気付けなかった。僕は、今度こそ瑞希を救う。そのためにも、少しでも今の瑞希のことが知りたい。小さな手がかりでも、情報がほしい。昔のことと、今の情報を繋げれば、絶対に解けるはずだ。瑞希を苦しめているもの。瑞希が、僕達にずっと隠していた最大の難題を)

 

ー鍛冶場ー

 

類「着いたよ。えむくん、皆を案内してあげてくれ」

えむ「類くんは行かないの?」

類「少し、話してくる」

まふゆ「奏、瑞希をよろしく」

奏「うん。瑞希、行くよ」

瑞希「うん、わかった」

 

まふゆ(車を降りて、皆を見送ってから神代さんに話しかける)

 

まふゆ「ここだと都合が悪いので、セカイで話しませんか?」

類「勿論、端からそのつもりだよ。僕がそのセカイに入れるならね」

 

まふゆ(Untitledを起動して、再びセカイに戻る)

 

ー狭間のセカイー

 

25ミク「まふゆ、お帰り。それと…」

?ミク「あ! 類くん!」

類「おやおや、ミクくんじゃないか」

まふゆ「この娘、神代さんの知り合いなんですか?」

類「あぁ、僕達の、ワンダーランドのセカイのミクだよ」

25カイト「じゃあお前がこいつを引き取ってくれ。手に負えん」

類「すまない、今は少し忙しくてね。後で」

 

まふゆ(私と神代さんは、少し歩いて周りに誰もいない場所に椅子を持ってきて話し始める)

 

類「それじゃあ、朝比奈さん。話そうか」

まふゆ「それで、何を話すんですか?」

類「僕が君に聞きたいのは、最近の瑞希のことだよ。それと、ニーゴの前での瑞希。もしかしたら、何か手がかりがあるかもしれない。些細なことでも教えてもらえないかな」

まふゆ「最近の瑞希のことなら、私よりも奏の方が詳しいと思いますよ」

類「…つい先日、司くんから『咲希が夜にLeo/needと宵崎さんを集めてよく話しているんだが、何やら曲作りをしているようなんだ』って言われてね。宵崎さんは別で何かをしているみたいだから、僕は朝比奈さんから聞きたいんだ」

まふゆ「奏が… わかりました。私も協力します。瑞希のこと、私の知る限り説明します。その後で、中学時代の瑞希のことを教えてもらえませんか?」

類「勿論。僕達は、僕達のやり方で瑞希を助けられる方法を探ろう」

 

まふゆ(それから、お互いに情報共有をした)

 

まふゆ「最近の瑞希は極めて安定していて、今まで以上に明るい。オルゴールにギターにカーネーション、それに人形展と興味を示したものは記憶喪失以前に触れたことのあるものばかりですね。逆に嫌がっているのは、熱いもの、痛いもの、酸っぱいものと普通。特に変わった感じはしないですね」

類「それじゃあ、記憶喪失前、ニーゴの前ではどんな感じだった?」

まふゆ「絵名にちょっかいをかけたり、皆を連れ回してミステリーツアーに行ったりと活発でしたね。でも、そのミステリーツアーの後から絵名が瑞希のことを気にかけてたので、そこで何かあったのかもしれません。基本は元気でしたよ。声は暗かったけど、ニーゴは皆そうなので」

類「ふむ… 他には特に無いかな?」

まふゆ「強いて言えば、最近瑞希の身の回りのことを奏が住み込みで手伝っているんですけど、体に触れることだけは白石さんや瑞希のお母さんがやって、奏にはやらせてもらえないらしいです」

類「…気になることだね。昔の瑞希の話をするよ。毎日のように授業をサボって屋上でまったり休んでいてね。催しの時も屋上で、校庭で頑張っている生徒を軽蔑していたような気がするね。クラスメイトと仲も悪くて、学校にいたら瑞希の名前を聞くことは時々あった。噂みたいな感じでね。詳しい内容は知らないけど、『変なやつがいるから関わらない方がいい』みたいな内容かな」

まふゆ「高校でも、瑞希は不登校気味で時々単位のために登校するだけ。でも、別に頭が悪いわけじゃない。やっぱり、人間関係?」

類「だが、人間関係の問題は中学から高校に上がったら1度リセットされるはず。でも、高校でも瑞希は苦しんでいた。喧嘩とかイジメとか、そんな話じゃないような気がするね」

まふゆ「…情報が足りない」

類「あぁ。今度、瑞希の知り合いをあたって色々話を聞いてみよう。特に白石くん。それと、いつでも情報共有できるようにナイトコードだけ登録して今日は戻ろうか」

まふゆ「はい。長いと、皆も心配しますから」

 

まふゆ(何も、答えが出せないまま、Untitledを停止して元の世界に戻った)

 

好きなカーネーションの色は?(ルート分岐)

  • ピンク
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