ー鍛冶場ー
まふゆ「戻ったよ。どんな感じ?」
奏「まふゆ、おかえり。今、天馬さんと草薙さんが鉄を叩いてるよ」
まふゆ(外の気温と、鍛冶場からの熱が届いて真夏のように暑い。セカイが涼しかったから、その分暑い)
まふゆ「…番が来るまで、涼んでくる。外の方が涼しいでしょ」奏「うん、順番が回ってきたら呼びに行くね」
まふゆ(外でベンチに座る。眩しい陽射しだけど、鍛冶場の熱に比べたら、暑いとは思わない。まだ春だから、そんなに暑くても困るんだけどね)
瑞希「あ、まふゆ! これ、飲む?」
まふゆ「ん… 飲む」
まふゆ(自販機で買ったであろう冷たい飲み物を沢山抱えた瑞希から水を受け取って一気に飲む。凄く冷たいけど、気持ちいい)
瑞希「じゃ、皆に配ってくるね!」
まふゆ「行ってらっしゃい」
まふゆ(暇をつぶすために外の景色を眺める。青空、木々、町並み。特別な物はないいつものような景色が、美しく見える。前まではこんな景色も、私はしっかりと見れてなかったんだ、ずっと何も感じずに歩いていたんだなって、思いを馳せる)
まふゆ「ふふっ」
えむ「笑って…る?」
まふゆ「鳳さん?」
えむ「ひゃいっ!?」
まふゆ「どうしたの? もしかして、順番?」
えむ「はは、はいぃ!! 奏ちゃんが疲れちゃったので、代わりに呼びに来ました…」
まふゆ「ありがとう、鳳さん」
えむ「あ、はぃ…」
(今の笑顔、本当に笑ってそう…)
まふゆ「じゃあ、行くね」
(飲み物を飲んで鍛冶場に入って、神代さんから渡された鎚を握りしめて焼けてる金属に向かう。力はニーゴの中ではあると思う。でも、皆〝草薙剣〟を作るって頑張ってる。力任せに振るんじゃなくて、思いを込めたほうが良いんだろうね。力だけなら、奏にやらせる必要ないし)
まふゆ「…じゃあ、行くよ」
(永かった思いを込める。ずっと抱えてきた、お母さんとのこと。ニーゴの皆に支えられて、少しずつ解消していった苦しみを… いや、そんな辛い感情を込めるべきじゃないか。感じたことのないような、甘み、苦み、痛み、色んな感覚。何も思わなかった青空に、造花に、温度に感じた幸せ。でも、剣に込めるのはそんな過去の気持ちじゃない。気付いたら1人遠いところにいた瑞希を、救うために。ニーゴの為に、皆の為に、そして、貰った心を返す為に。絶対に救う、そんな決意を、鎚に込めて振り下ろす。金属の塊のような鎚に、重みは感じなかった。人の体は心で動くって、信じられなかったけど、本当なんだね。すっごく、軽く感じるよ)
まふゆ「…終わったよ」
(皆で打ったその剣は、普通の剣のはずなのに、随分と輝いた、綺麗な剣に見えた)
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