ー暁山家ー
奏(瑞希の家は一般的な一軒家で、わたし達全員が入っても狭くなかった。瑞希のお母さんが瑞希をお風呂場に連れて行って、わたし達はリビングでお姉さんと今後の話をする)
姉「私は明日の夜には空港に向かわないといけないから、瑞希のお世話ができないの。だけど、お母さん1人に全て任せるのも不安だから。だから、この辺りに住んでる人がいるなら時々手伝いに来てほしいな」
絵名「泊まり込みでお世話をします」
姉「絵名さん、だよね。瑞希から美大で頑張ってるって聞いてる。気持ちは嬉しいけど、絵名さんは美大での勉強を頑張って欲しいな」
絵名「でも、私も瑞希の為になにかしたいです」
姉「じゃあ、色んな絵を瑞希に描いてあげてほしい。瑞希、絵名さんの絵が大好きだから。暇な時、瑞希の顔を見に来て、絵を見せてあげて貰えないかな」
絵名「…わかりました」
奏(絵名は納得しつつも少し悔しそうに、明日の学校の準備をしに彰人君と家に帰った。彰人君は「暁山のプライベートに俺が関わるのは良くないだろうから、後で手伝えることを教えてくれ」って)
杏「私もこの辺りに住んでるから、毎日学校の後にならこれます」
類「僕も昼間はショーの準備で忙しいから、夜なら毎日これるね」
姉「白石さんは受験生で、神代さんは社会人だよね。勉強とか仕事に支障が出ない範囲で、手伝って貰ってもいいかな」
杏「わかりました」
類「勿論、仕事に影響でない程度に手伝わせてもらうよ」
奏(今日はもう遅いから、2人とも帰された。白石さんは受験勉強、神代さんはワンダショのお仕事に忙しいから、あまり瑞希の手伝いには来れないかもしれない)
姉「それで… 宵崎さん」
奏「宵崎奏です。奏って呼んでください」
姉「奏ちゃんは、毎日瑞希のお見舞いに行ってくれてありがとう。瑞希が目を覚ましたとき、独りぼっちにならないで済んだのは奏ちゃんのお陰だよ」
奏「…ありがとうございます」
姉「瑞希から、奏ちゃんのことは聞いてる。学校も年も違って、ネットで瑞希と音楽を創ってるサークルのリーダーなんだよね?」
奏「はい。絵名と、今日忙しくて来れなかったもう1人のメンバーと一緒に活動してます」
姉「『25時、ナイトコードで。』なんでしょ? 最近更新が止まってるから、ネットもなにかあったのかって騒然としてるよ。瑞希のことはありがとう。だけど、瑞希の為にニーゴの活動が止まっちゃうのは、私も瑞希も嬉しくない。だから、瑞希が帰る場所、ニーゴの活動を優先してほしい。それで、暇なときにでもここに来て瑞希と話してもらえれば」
奏(お姉さんが言ってることは、全て正しい。きっとニーゴの休止は瑞希にとっても、ニーゴを応援してくれてる皆にとっても、そしてわたしにとってもよくない。お姉さんも、お母さん1人に瑞希のことを任せるよりも友達に手伝って貰った方が瑞希の為になるってわかってる。だけど、受験に忙しい白石さんや彰人君、大学で忙しい絵名、仕事が忙しい神代さん、ニーゴの活動があるわたし。本当は頼みたいけど、私達に迷惑をかけられないって思ってる。だけど、わたしは、ニーゴは)
姉「それじゃあ、奏ちゃんもお家に」
奏「待ってください。わたしに、泊まり込みで瑞希のお世話をさせてください」
姉「でも、奏ちゃんはニーゴの活動が…」
奏「ニーゴは、瑞希が居てこそのニーゴなんです。瑞希が居ない間、ニーゴが活動することはありません。お姉さんは、わたし達が瑞希のことで勉強とかお仕事を辞めないようにって気を使ってくれてるんだと思います。ですが、ニーゴが活動休止する以上、私は暇です。だから、わたしに瑞希のお世話をさせてください」
姉「…お見通し、か。瑞希もお母さんも丈夫だし、皆には自分の事を考えて欲しかったんだけど、そこまで言うなら奏ちゃんに頼んでもいいかな。奏ちゃん、瑞希のことを、頼みます」
奏「勿論です、お姉さん」
姉「じゃあ、奏ちゃんは私の部屋を使って」
奏「わかりました。家から、荷物を取ってきます」
奏(そう言ってわたしは瑞希の家を出て、自分の家に荷物を取りに向かった。パソコンとか、機材は今度運ぶとして、今は枕と紙… そうだ、オルゴールも持っていこう。荷物を持って瑞希の家に着いたときには、既に22時を回っていた)