幸せのあしあと   作:緑雨

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カーネーション・リラクゼーション
1話 遠い画面の花畑


ー暁山家ー

 

奏(瑞希はお風呂を上がって、わたしが帰ってくる前に眠ってしまったらしい。瑞希のお母さんも、瑞希の隣で抱きしめるように寝ていた。リビングでお湯を沸かしてカップ麺を作って食べる)

 

奏「…美味しい」

姉「瑞希が初めて見るカップラーメンの写真を送ってきてたんだけど、奏ちゃんが教えてくれてたの?」

奏「食べながら作業してたときに、ミュート忘れて食べてる音が聞こえてたことがあって、オススメを聞かれたりしたことはあります」

姉「…瑞希のこと、よろしくね。奏ちゃんも、今日は早く寝たら?」

奏「25時に、ナイトコードで絵名達と話したいから、まだ起きてます」

姉「じゃあ、私も色々してるから、好きに時間を潰しててね」

奏「はい」

 

奏(瑞希のお姉さんも瑞希の部屋に入っていった。わたしもカップ麺を片付けてお姉さんに使わせてもらう部屋に入る。凄い綺麗な部屋で、机も本棚も全部空。当分、使ってなかったんだろうな。パソコンは持ってきてないから、スマホでナイトコードに入る。25時まで時間はあるけど、まふゆも絵名も待ってるだろうから、メッセージを送っておく)

 

K『Amia、眠ったみたい。私はAmiaの家に泊まってるから、Amiaのことは心配しないで大丈夫だよ』

 

奏(すぐに、返信が来る)

 

雪『K、自分の家は大丈夫なの?』

K『鍵もしてきたし、大丈夫だと思う』

えななん『雪、ずっとセカイでKとAmiaを待ってたんだよ』

雪『ご飯食べて戻ってきたら、誰もいなかった』

K『…ごめん』

雪『気にしてない』

えななん『そうだK、Amiaを見張っておいてね』

K『大丈夫、Amiaのことは私が守るから』

雪『Kだと、逆に守られそうだけどね』

 

奏(他愛もない、そんな話。瑞希が目を覚まして、気が緩んでるのかもしれない。どっと、安心感に包まれる。一気に疲れが押し寄せる。目を閉じたとき、そっと意識が落ちた)

 

ー翌朝 暁山家-奏部屋ー

 

奏「んん…」

 

奏(日の光が眩しい。わたし、寝ちゃってたんだ。毛布がかけられてる。お姉さんがかけてくれたのかな。25時まで、起きられなかったな)

 

暁山母「奏ちゃ〜ん。朝ご飯出来てるから、一緒に食べましょ〜」

奏「今行きます」

 

ー暁山家-リビングー

 

奏(瑞希のお姉さん、お母さん、それに瑞希が一緒にカレーを食べてる。わたしも、瑞希の隣に座ってカレーをいただいた。甘めの味で、凄く美味しい。手作りの、母の味がする)

 

瑞希「奏さん、美味しいね」

奏「奏でいいよ。 …うん、凄く美味しい」

暁山母「褒めても、何も出ないわよ」

奏「お世辞じゃないですよ」

瑞希「…奏は、ずっといるの?」

奏「うん。瑞希が元気になるまで、ずっと側にいるよ」

瑞希「じゃあ、奏のこと、もっと知りたいな」

姉「私も気になるな、奏ちゃんのこと」

 

奏(わたしのこと、か。何から話せばいいのかな。お父さんとお母さんのこと、ニーゴのこと、話したいことは沢山あるけど、沢山話しても瑞希も困るだろうから…)

 

奏「質問してくれたら、なんでも答えるよ」

瑞希「じゃあ、あれ、何?」

 

奏(瑞希は机の端に置かれた、わたしが持ってきたオルゴールを指さした)

 

瑞希「朝起きたら、机に置いてあったんだ」

姉「来たときに机に置いたまま寝ちゃったからそのままにしておいたの」

奏「このオルゴールは、わたしのお父さんのオルゴールだよ。作曲家だったお父さんが作った曲が入ってるんだ」

瑞希「どんな曲なの?」

奏「凄い、温かい曲だよ。流そうか?」

瑞希「…うん」

 

奏(わたしは、オルゴールを流す。温かい、救われるような、幸せな曲。昔を思い出す、懐かしい曲。懐かしんでいると、曲はすぐに終わってしまった)

 

瑞希「いい曲だね」

奏「ありがとう。お父さんも、瑞希にそう言って貰えて喜んでるよ」

暁山母「そうだ奏ちゃん。今から買い物に行ってくるから、その間瑞希のことをよろしくね」

奏「わかりました、お母さん」

 

奏(わたしと、瑞希とお姉さんの3人。話の続きをしようと思ったら、電話がかかってきた)

「少し、電話に出てきます」

 

ー暁山家-奏部屋ー

 

奏(部屋に戻り電話に出る。電話の相手は望月さんだった)

 

穂波『宵崎さん! お家にいないから心配したんですよ!』

奏「今日、お手伝いに来てもらう日だっけ。ごめんね、望月さん」

穂波『私は大丈夫ですけど、今どこに居るんですか?』

奏「瑞希の家に泊まらせてもらってるんだ」

穂波『瑞希ちゃん、目が覚めたんですか!?』

奏「うん。 …そうだ、望月さん。わたしの家の機材、瑞希の家まで持ってくることって出来るかな…?」

穂波『瑞希ちゃんのお家に、ですか? すみません、瑞希ちゃんのお家の場所がわからないので…』

奏「ごめん、そうだよね。後で家に戻るから、すぐに運べるように箱に詰めておいてもらっていいかな。今日は、料理は大丈夫だから」

穂波『わかりました』

 

奏(望月さんからの電話を切って、リビングに戻る。お姉さんは食器を洗っていて、瑞希が1人テレビを見ていた)

 

ー暁山家-リビングー

 

奏「瑞希、おまたせ」

瑞希「お帰り。奏、あの花なんて言うの?」

 

奏(瑞希は、テレビの画面に映った白い花を見ていた)

 

奏「…カーネーションだよ」

瑞希「きれいだね」

 

奏(画面の先のカーネーションを、瑞希は熱心に見ていた)

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