ー公園ー
まふゆ「戻ってこれたね」
一歌「不思議なセカイでしたね。久し振りにミクに会えてよかった」
瑞希「…うん」
奏「あ、瑞希!」
奏(よかった。公園に来たけど見つからなくてもう帰っちゃったのかと思ってしまった)
奏「星乃さんも一緒なんだね。3人でどこに行ってたの?」
まふゆ「セカイだよ」
穂波「セカイ!?」
奏「? 星乃さんも一緒に?」
一歌「はい。私も、瑞希ちゃんと朝比奈先輩と一緒にセカイでミクに会ってきました」
奏「へぇ…」
奏(セカイ、かぁ。どんなことが会ったのか、又今度まふゆに聞こうかな)
奏「じゃあ、瑞希。カーネーションの場所まで案内するね」
瑞希「お願い、奏」
まふゆ「星乃さんと望月さんはどうする?」
一歌「私も行きます」
穂波「宵崎さんが心配なので、わたしも。 あと、セカイって…」
一歌「穂波、後で咲希達と一緒に説明するから、少し待って」
穂波「あ、うん。わかった」
奏(セカイは気になるけど、今はカーネーションを目指さないと。確か、こっちの方に…)
奏「あった、これだよ」
まふゆ「こんな場所に咲いてたんだ」
穂波「これが、宵崎さんが前に話してたカーネーションなんですね…」
一歌「凄い、ひっそりと綺麗に咲いてるね」
瑞希「…うん」
奏(瑞希は、少し笑みを浮かべて、それでいてしっかりとカーネーションを見ていた。どこか、前に一緒に見たときと同じように幸せな顔だった)
瑞希「奏、連れてきてくれてありがとう。テレビで見たのよりずっと綺麗だよ。ボク、嬉しいな」
奏(カーネーションを見て、心を休めてわたし達は公園を立ち去った。帰りながらお父さんのオルゴールの曲について聞かれたときは、なんだかわたしも嬉しかった。お父さんの曲を聞きたいと思ってくれて)
ー宵崎家ー
まふゆ「これ、瑞希の家まで運ぶの」
奏「…うん」
まふゆ「運べるの?」
奏「…無理」
まふゆ「望月さん、少し、手伝ってもらっていい? 奏の荷物、一人じゃ運べないから、力を借りたいんだ」
穂波「はい、わたしで良ければ」
一歌「あの、私も手伝いますよ!」
ー暁山家ー
瑞希「ただいま~」
奏「今戻りました」
暁山母「おかえりなさい。あれ、お友達さん?」
まふゆ「朝比奈まふゆです。瑞希の、サークル仲間です」
一歌「星乃一歌です。瑞希ちゃんと、仲良くさせてもらっています」
穂波「望月穂波です。宵崎さんや暁山さんには、助けられてます」
母「いいお友達ね。皆上がって。皆の分もお昼作るから、食べていって」
一歌「いや、そんな」
母「いいから、ほら」
奏(瑞希のお母さんに押されて、皆で家に入る。一度箱詰めされた機材をわたしの部屋に置いて、リビングに戻る)
穂波「綺麗なお家ですね」
暁山姉「そう? なにか欲しいものでもある?」
穂波「いえ、そういうわけじゃ…」
姉「わかってる。穂波ちゃん、奏ちゃんのお手伝いさんなんだっけ?」
穂波「はい。そうですけど…」
姉「ねぇ、作り置きした料理も食べてくれないって本当?」
奏「ちょ、お姉さん!」
一歌「奏さん、ちゃんとご飯食べてないんですか?」
穂波「えっと、まぁ… いつもじゃないですけど、たまに忙しくて食べてもらえないときはあります…」
まふゆ「たまにじゃなくていつもでしょ」
奏「まふゆ!」
瑞希「…ふふ」
奏(瑞希の笑顔は、いつもよりも澄んでいた)
瑞希「凄い、楽しいんだね」
まふゆ「いつもはもっとうるさいけどね」
奏「絵名のこと?」
まふゆ「うん。瑞希と絵名は、本当にうるさいから」
瑞希「えっと、ごめん」
まふゆ「別に怒ってないよ。静かだと、落ち着かない」
一歌「絵名さん、そんなイメージないんですけど、そんなに元気なんですか?」
まふゆ「元気というより、うるさいだけ。いつも真剣だから、すぐ怒るし、気付いたら黙ってる」
奏「絵名、凄い頑張ってるから。瑞希と話してるの、凄い楽しそう」
まふゆ「多分、本人は楽しくなんてないって怒るけどね」
穂波「なんだかわかります。東雲さん、絵を描いてるとき凄い集中してましたもん。真面目な人なんだなって」
まふゆ「そんなに真面目じゃないよ」
奏(軽い雑談をしながら、時間を過ごす。お昼ご飯まで話して、お昼ご飯を食べたら星乃さんと望月さんはバンドの練習に向かった。まふゆは瑞希と一緒にトランプをしてる。まふゆはポーカーフェイスだから、瑞希がずっと負けてる。そんな中、わたしは1人で機材を整理してる)
ー昼ー
奏「…ふぅ」
(大体出来たかな。配線は適当だけど、机に全部載せられたし、ちゃんと作業出来そう)
まふゆ「奏、終わった?」
奏「うん。終わったよ」
瑞希「じゃあ、奏も一緒にやろうよ」
奏「ババ抜き?」
瑞希「ううん、七並べ」
まふゆ「瑞希がババ抜きだと勝てないから、他のがいいって。私はババ抜きと七並べしかしらないから。他にいいのがあるならそれでもいい」
奏「わたしも、あんまりトランプには詳しくないや。七並べ、負けないよ」
瑞希「うん!」
奏(なんだか、懐かしい。一緒にトランプをしたことはないけど、こうやって楽しく笑えたのは)
まふゆ「奏、変な顔。何を考えてるの?」
奏「ごめん。なんだか、嬉しくって」
まふゆ「…そう」
奏「まふゆも変な顔だよ」
まふゆ「…気にしないで」
奏(きっと、まふゆも同じ気持ち。嬉しくって、顔に出ている)
瑞希「…なんだか、楽しそうだね。まだトランプしてないのに」
奏「ごめん。でも、嬉しいから」
まふゆ「うん。トランプをしたら、もっと楽しいかな」
瑞希「そうだよ。まふゆ、早く配って」
まふゆ「うん」
瑞希「そうだ、お姉ちゃんもやろうよ」
姉「え、私? 1試合だけ入れてもらおうかな?」
奏「じゃあ、4人でやりましょう」
奏(皆で遊んで、笑って、楽しんだ。夜になって、夕飯を食べてからまふゆは寮に帰った。お姉さんも空港に向かって行って、瑞希はお母さんとお風呂に入った)
ー夜 奏部屋ー
奏(部屋の中、誰もいない。楽しい時間はすぐに過ぎてしまった。でも、明日からもきっと楽しい。カーネーションを見ても瑞希の記憶は戻らなかったけど、あの笑顔を見ると今のままでもいい気がする)
奏「あ、ナイトコードの通知が沢山来てる」
えななん『Amia、どんな感じ?』
えななん『お~い』
えななん『あれ、もしかして3人で遊んでる?』
えななん『忘れないでよ~』
雪『うるさい。これだからえななんは』
えななん『はぁ!? そんな騒いでないでしょ!?』
雪『というか、授業中じゃないの?』
えななん『休み時間!』
雪『そう。Amiaとトランプしてくる』
えななん『ちょっと!』
奏「ふふっ」
(なんだろう、絵名も楽しそう。どんな顔をしているのかわからないけど、きっと笑ってる。いや、怒ってるのかな)
K『ごめん、今気付いた』
えななん『あ、K。Amia、どんな感じ?』
K『元気そうだよ。一緒にカーネーションを見てきた』
えななん『へぇ、きれいだった?』
K『うん。Amiaも、嬉しそうで良かった』
えななん『そう。ならよかった』
雪『私のときと違って怒らないんだね』
えななん『そりゃ、KはAmiaの為に頑張ってたんだし』
雪『私もAmiaに誘われてトランプしてたんだけど』
えななん『楽しかった?』
雪『うん。一緒に出来ないえななんは可哀想だなって』
えななん『あんた喧嘩売ってる?』
雪『さぁ』
奏(本当に、いつもの会話が戻って来た)
瑞希「奏、お風呂上がったよ」
奏「わかった」
奏(わたしは、パソコンを消してからお風呂に向かった)
ー瑞希部屋ー
瑞希(部屋の中に独り。スマホはあるけどパスワードがわからないから使えないらしい)
瑞希「…パソコン、使えるかな」
(パソコンはパスワードがかかっていなくて、すぐに開いた。中には動画サイトと、編集アプリと、ナイトコード。全部、ボクが使っていたものだろう)
瑞希「ナイトコード、奏達も使ってるって言ってたな」
(ナイトコードを起動する。中を開くと、通知が沢山来ていた。今日の会話だけでなく、昔の会話も沢山未読で残ってる。だけど、一々確認しないでいいかな)
瑞希「…キーボード、押したら文字が打てるのかな」
(適当にボタンを押してみる。すると)
『ボイスチャットを開始しました』
瑞希「あれ」
えななん『あれ、Amia?』
雪『ボイスチャット、私は入れない。まだ寮についてない』
えななん『私は入ろっと』
『えななんがボイスチャットに参加しました』
絵名[お~い、Amia?]
瑞希[…]
絵名[Amia?]
瑞希[?]
絵名[ちょっと瑞希、呼んでるでしょ?]
瑞希[え、ボクのこと?]
絵名[あぁ、そっか。あんた、アカウントの名前見てみなさい。Amiaってなってるでしょ?]
瑞希[アカウント… あ、本当だ。Amiaって書いてある]
絵名[一応ナイトコードではハンドルネームで呼び合ってるの]
瑞希[そうなんだ]
絵名[ねぇ、Amia。私、明日暇なんだけどさ。どこか行きたいとことかない?]
瑞希[別に、ないかな]
絵名[じゃあ、こんなことがしたいとか]
瑞希[特には]
絵名[ないの?]
瑞希[うん。えななんはあるの?]
絵名[私? 買い物したり、スポジョイパークに行ったり、絵を描いたり、あんたと話したり]
瑞希[へぇ…]
絵名[あんた、なにもないの?]
瑞希[うん。やりたいこと、特にないかな。えななんは、なんでそんなにあるの?]
絵名[え? う~ん、あれがしたいこれがしたいって思ったことをしてるだけだしなぁ。強いて言えば、夢?]
瑞希[夢?]
絵名[うん。絵が上手くなりたいから絵を描くし、可愛くなりたいから服を買いたい。あんたは夢、ないの?]
瑞希[…そんなもの、ないよ]
絵名[…そう]
瑞希(最後の絵名の声は、なぜか悲しそうだった)