ー夜 奏部屋ー
K『えっと、通話してるの?』
奏(わたしがお風呂から帰ってくると、絵名と瑞希が通話をしていた)
えななん『うん。Kの話も聞きたいな』
K『じゃあ、わたしも参加するね』
『Kがボイスチャットに参加しました』
瑞希[えっと、チャットってどうやって打つの?]
絵名[そんなことも忘れてるの?]
瑞希[ごめん]
絵名[謝らないで。後でKに教えてもらったら?]
瑞希[Kって誰?]
奏[わたしだよ、Amia]
瑞希[…奏?]
奏[うん。奏だよ]
瑞希[隣の部屋から、自分の声が聞こえる]
奏[ごめん、ヘッドホン付けるね]
瑞希[うん]
奏(ボイスチャットで会話をするのも久し振りかな。あんまり、話すこともなかったし。それに、瑞希の声が聞こえない、3人だけでのボイスチャットは淋しかった)
絵名[K、明日Amiaも入れて3人で外出しない?]
奏[え、明日?]
絵名[うん。明日は休みだから。ゆっくりしようと思ったけど、折角だしAmiaとKと、久し振りに遊びたいなって思ってさ]
奏[う~ん、明日かぁ…]
瑞希[K、凄い疲れてなかった?]
奏[うん。今も、体が痛い]
絵名[公園に行ってたんだっけ?]
奏[うん。凄い綺麗なカーネーションを見てきたよ]
絵名[昔家族で見たんだよね? 今度私も見に行こうかな~]
瑞希[でも、早くしないと枯れちゃうんじゃない?]
絵名[…それはそうね]
奏(明日、どうしようかな。絵名と瑞希、積もる話もあるだろうから、会わせてあげたいな)
雪『セカイに来て』
奏[…雪?]
絵名[なんだろ、行く?]
奏[うん、行こう]
奏(Untitledを再生して、セカイに入った)
ー狭間のセカイー
奏「…前来たとき、こんな感じだった?」
絵名「…違ったと思う」
まふゆ「来たね。椅子持ってきたから、座って」
奏(前に4人で来たときに比べて、少しだけ物が増えている。それに、こんな椅子、どこから持ってきたんだろう)
瑞希「この椅子、硬いね」
まふゆ「学校の椅子だから」
絵名「あんた、学校の椅子パクってきたの?」
まふゆ「違う。教室のセカイから持ってきた」
絵名「???」
まふゆ「…ミクに聞いた話、そのまま説明するね」
奏(それから、まふゆはこのセカイの説明をしてくれた。狭間だとか、色んな場所に行けるとか、あんまりわからないけど)
まふゆ「じゃあ、着いてきて」
絵名「着いてきてって、こんなセカイのどこに行くのよ」
まふゆ「あっちに数分歩いたら見えてくる」
瑞希「…なんだろう」
奏(少し歩くと、そこには青色の想いのカケラがあった)
まふゆ「これ、触ってみて」
絵名「はぁ? まぁ、触るけど」
奏(その時、辺りが光に包まれた)
ー???ー
奏(周りの景色は一変して、教室になった。どこの校舎がわからないけど、普通な校舎)
一歌「あ、瑞希ちゃん!」
瑞希「一歌ちゃん?」
???「わぁ! ひっさしぶり~!」
???「そんなに騒がないの」
穂波「すみません、少しセカイにお邪魔させてもらってます」
まふゆ「絵名、わかった?」
絵名「…全く。なんで志歩ちゃん達が居るのかもわからないけど」
まふゆ「頭固いんだね」
絵名「はぁ!?」
奏(最初は分からなかったけど、よく見たら全員見知った顔だった。星乃さんと、望月さん。それに、天馬さんと日野森さん。皆、Leo/needのメンバー。じゃあ、ここは…)
まふゆ「狭間のセカイからは、色んなセカイに入れる。Leo/needの皆のスマホから、教室のセカイに入る為のUntitledが消えてしまった。でも、私が星乃さんにデータで送った新しいUntitledで狭間のセカイに入ったら、教室のセカイにも入れる」
絵名「…どういうこと?」
一歌「つまり、狭間のセカイに入れれば行けなくなったセカイにも入れるんです!」
奏「…へぇ。じゃあ、何もないセカイにも…」
まふゆ「入れるだろうね」
奏(本当に不思議なセカイだね、狭間のセカイって)
まふゆ「でも、狭間のセカイに入れるのは合計20人。これで、8人。後12人。さっき電車で知らない人に試したけど、その人はセカイに入れなかった」
咲希「お兄ちゃんも入れるかな~?」
絵名「…彰人が入れると嫌ね」
志歩「私も、お姉ちゃんとセカイで会うのは嫌ですね」
瑞希「ねぇ、金髪の人。ボクと話したことある?」
咲希「? あたし?」
瑞希「うん。ボクは君を知らないけど、君はボクを知ってるのかなって」
咲希「もっちろん、知ってるよ! 瑞希ちゃんにメイクとか、ファッションとか、色々教えてもらったもん! 忘れないよ!」
瑞希「じゃあ、銀髪の人は?」
志歩「私も、暁山さんのことはよく覚えてるよ。街で会うたびにちゃん付けで呼んでって言われるから、絶対に言わないって決めてた」
瑞希「…そうなんだ」
奏(皆、瑞希のことをよく知ってるんだな。…わたしも瑞希のことをちゃん付けで呼んだほうがいいのかな)
まふゆ「多分、日野森さんも天馬くんも、彰人くんも入れると思うよ。瑞希の知り合いは、殆ど入れる」
咲希「お兄ちゃんとセカイで遊べるの!?」
絵名「…まぁ、彰人と瑞希は同級生だし、入れるか」
志歩「…お姉ちゃん、暁山さんのこと心配してたもんな。私より暁山さんに詳しそうだし」
まふゆ「瑞希は、セカイでなにかしたいことある?」
瑞希「う~ん。特になにもないかな。今日みたいに、皆で楽しく話して、笑って、それで満足だよ」
まふゆ「…そう」
奏(今は、瑞希も笑顔。まふゆも楽しそうで、絵名も内心喜んでそう。天馬さんも日野森さんも、懐かしげに瑞希と話して、星乃さんも望月さんもそんな様子を見て笑ってる。今が幸せなら、一先ずは安心かな。前みたいに、瑞希が苦しんでるのは嫌だ。だから、皆に笑っていてほしい)
奏「瑞希、楽しい?」
瑞希「うん。皆に囲まれて、楽しく笑って、幸せで、楽しいよ。だからボク、自分でもわからないや。なんでボク、飛び降りたりしたんだろうね」
絵名「…」
瑞希「不思議だなぁ。なんでだろう」
絵名「今のあんたは、幸せなの?」
瑞希「うん。幸せだよ」
絵名「そう」
奏(一瞬で部屋中を重苦しい空気が包み込む。瑞希が幸せなら、いい。だけど、瑞希が飛び降りたのも事実。なんで飛び降りたのか。それを、いつかは知らないといけない。じゃないと、瑞希を«救えない»)
瑞希「ねぇ、皆。急に静かになってどうしたの?」
奏(きっと、皆わかっている。今のままでは、いけないこと。関わりの浅いLeo/needの皆も、わたし達と同じように瑞希を心配していた。きっと、わたしは何か大切なことを知らない。幸せなミライは、瑞希を救った先にしか、ないだろう)