幸せのあしあと   作:緑雨

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6話 ボクらが描いた未来から、零れ落ちた何気ない言葉

ー夜 奏部屋ー

 

K『えっと、通話してるの?』

 

奏(わたしがお風呂から帰ってくると、絵名と瑞希が通話をしていた)

 

えななん『うん。Kの話も聞きたいな』

K『じゃあ、わたしも参加するね』

 

『Kがボイスチャットに参加しました』

 

瑞希[えっと、チャットってどうやって打つの?]

絵名[そんなことも忘れてるの?]

瑞希[ごめん]

絵名[謝らないで。後でKに教えてもらったら?]

瑞希[Kって誰?]

奏[わたしだよ、Amia]

瑞希[…奏?]

奏[うん。奏だよ]

瑞希[隣の部屋から、自分の声が聞こえる]

奏[ごめん、ヘッドホン付けるね]

瑞希[うん]

 

奏(ボイスチャットで会話をするのも久し振りかな。あんまり、話すこともなかったし。それに、瑞希の声が聞こえない、3人だけでのボイスチャットは淋しかった)

 

絵名[K、明日Amiaも入れて3人で外出しない?]

奏[え、明日?]

絵名[うん。明日は休みだから。ゆっくりしようと思ったけど、折角だしAmiaとKと、久し振りに遊びたいなって思ってさ]

奏[う~ん、明日かぁ…]

瑞希[K、凄い疲れてなかった?]

奏[うん。今も、体が痛い]

絵名[公園に行ってたんだっけ?]

奏[うん。凄い綺麗なカーネーションを見てきたよ]

絵名[昔家族で見たんだよね? 今度私も見に行こうかな~]

瑞希[でも、早くしないと枯れちゃうんじゃない?]

絵名[…それはそうね]

 

奏(明日、どうしようかな。絵名と瑞希、積もる話もあるだろうから、会わせてあげたいな)

 

雪『セカイに来て』

 

奏[…雪?]

絵名[なんだろ、行く?]

奏[うん、行こう]

 

奏(Untitledを再生して、セカイに入った)

 

ー狭間のセカイー

 

奏「…前来たとき、こんな感じだった?」

絵名「…違ったと思う」

まふゆ「来たね。椅子持ってきたから、座って」

 

奏(前に4人で来たときに比べて、少しだけ物が増えている。それに、こんな椅子、どこから持ってきたんだろう)

 

瑞希「この椅子、硬いね」

まふゆ「学校の椅子だから」

絵名「あんた、学校の椅子パクってきたの?」

まふゆ「違う。教室のセカイから持ってきた」

絵名「???」

まふゆ「…ミクに聞いた話、そのまま説明するね」

 

奏(それから、まふゆはこのセカイの説明をしてくれた。狭間だとか、色んな場所に行けるとか、あんまりわからないけど)

 

まふゆ「じゃあ、着いてきて」

絵名「着いてきてって、こんなセカイのどこに行くのよ」

まふゆ「あっちに数分歩いたら見えてくる」

瑞希「…なんだろう」

 

奏(少し歩くと、そこには青色の想いのカケラがあった)

 

まふゆ「これ、触ってみて」

絵名「はぁ? まぁ、触るけど」

 

奏(その時、辺りが光に包まれた)

 

ー???ー

 

奏(周りの景色は一変して、教室になった。どこの校舎がわからないけど、普通な校舎)

 

一歌「あ、瑞希ちゃん!」

瑞希「一歌ちゃん?」

???「わぁ! ひっさしぶり~!」

???「そんなに騒がないの」

穂波「すみません、少しセカイにお邪魔させてもらってます」

まふゆ「絵名、わかった?」

絵名「…全く。なんで志歩ちゃん達が居るのかもわからないけど」

まふゆ「頭固いんだね」

絵名「はぁ!?」

 

奏(最初は分からなかったけど、よく見たら全員見知った顔だった。星乃さんと、望月さん。それに、天馬さんと日野森さん。皆、Leo/needのメンバー。じゃあ、ここは…)

 

まふゆ「狭間のセカイからは、色んなセカイに入れる。Leo/needの皆のスマホから、教室のセカイに入る為のUntitledが消えてしまった。でも、私が星乃さんにデータで送った新しいUntitledで狭間のセカイに入ったら、教室のセカイにも入れる」

絵名「…どういうこと?」

一歌「つまり、狭間のセカイに入れれば行けなくなったセカイにも入れるんです!」

奏「…へぇ。じゃあ、何もないセカイにも…」

まふゆ「入れるだろうね」

 

奏(本当に不思議なセカイだね、狭間のセカイって)

 

まふゆ「でも、狭間のセカイに入れるのは合計20人。これで、8人。後12人。さっき電車で知らない人に試したけど、その人はセカイに入れなかった」

咲希「お兄ちゃんも入れるかな~?」

絵名「…彰人が入れると嫌ね」

志歩「私も、お姉ちゃんとセカイで会うのは嫌ですね」

瑞希「ねぇ、金髪の人。ボクと話したことある?」

咲希「? あたし?」

瑞希「うん。ボクは君を知らないけど、君はボクを知ってるのかなって」

咲希「もっちろん、知ってるよ! 瑞希ちゃんにメイクとか、ファッションとか、色々教えてもらったもん! 忘れないよ!」

瑞希「じゃあ、銀髪の人は?」

志歩「私も、暁山さんのことはよく覚えてるよ。街で会うたびにちゃん付けで呼んでって言われるから、絶対に言わないって決めてた」

瑞希「…そうなんだ」

 

奏(皆、瑞希のことをよく知ってるんだな。…わたしも瑞希のことをちゃん付けで呼んだほうがいいのかな)

 

まふゆ「多分、日野森さんも天馬くんも、彰人くんも入れると思うよ。瑞希の知り合いは、殆ど入れる」

咲希「お兄ちゃんとセカイで遊べるの!?」

絵名「…まぁ、彰人と瑞希は同級生だし、入れるか」

志歩「…お姉ちゃん、暁山さんのこと心配してたもんな。私より暁山さんに詳しそうだし」

まふゆ「瑞希は、セカイでなにかしたいことある?」

瑞希「う~ん。特になにもないかな。今日みたいに、皆で楽しく話して、笑って、それで満足だよ」

まふゆ「…そう」

 

奏(今は、瑞希も笑顔。まふゆも楽しそうで、絵名も内心喜んでそう。天馬さんも日野森さんも、懐かしげに瑞希と話して、星乃さんも望月さんもそんな様子を見て笑ってる。今が幸せなら、一先ずは安心かな。前みたいに、瑞希が苦しんでるのは嫌だ。だから、皆に笑っていてほしい)

 

奏「瑞希、楽しい?」

瑞希「うん。皆に囲まれて、楽しく笑って、幸せで、楽しいよ。だからボク、自分でもわからないや。なんでボク、飛び降りたりしたんだろうね」

絵名「…」

瑞希「不思議だなぁ。なんでだろう」

絵名「今のあんたは、幸せなの?」

瑞希「うん。幸せだよ」

絵名「そう」

 

奏(一瞬で部屋中を重苦しい空気が包み込む。瑞希が幸せなら、いい。だけど、瑞希が飛び降りたのも事実。なんで飛び降りたのか。それを、いつかは知らないといけない。じゃないと、瑞希を«救えない»)

 

瑞希「ねぇ、皆。急に静かになってどうしたの?」

 

奏(きっと、皆わかっている。今のままでは、いけないこと。関わりの浅いLeo/needの皆も、わたし達と同じように瑞希を心配していた。きっと、わたしは何か大切なことを知らない。幸せなミライは、瑞希を救った先にしか、ないだろう)

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