俺たちは、打ち上げをしていた。
その店に、カイジンの笑い声が響く。
カイジン「ナッハッハッハッ!しっかし、恐れ入ったよ。俺の渾身の一振りが、あっという間に量産されるとはね!」
リムル「カイジンのオリジナルが素晴らしかったからなぁ。俺はそれを解析して、魔鉱塊を使ってコピーしただけだ。」
リアム「………もしかして、余計なお世話でした………?」
俺がそう言うと、カイジンは複雑そうな表情を浮かべる。
そりゃあ、自分が苦労して作った物を、あっさりと量産されたら、嫌な気持ちになるだろ。
カイジン「………正直、思う所はあるが、今度は、旦那が真似出来ない様な物を作るってもんだ!腕が鳴るぜ!」
リアム「そうか。」
リムル「そうこなくっちゃ!ママさん、おかわり!」
リアム「俺も、お願いします。」
俺とリムルは、カイジンの一言を聞いて、安心して、お酒のおかわりを頼む。
ちなみに、果実酒の類の様で、結構美味しい。
すると、リムルの向かい側に座っているエルフが話しかける。
エルフ「ねえねえ、スライムさんに
「「ん?」」
そう言って、手を動かす。
あの手の動きと、足元に置かれている硝子玉から察するに………。
エルフ「私これ得意なんだよ?結構すごいって評判なんだから。」
リムル「へ、へぇ………。」
リアム「もしかして、占いですか?」
エルフ「正解!」
リムルの奴、何を考えていたんだ?
それにしても、占いか。
エルフ「何を占う?」
リアム「そうだな………。」
エルフ「ねえねえ、折角だから、スライムさん達の『運命の人』を占ってみない?」
「「運命の人?」」
運命の人ねぇ………。
俺に、嫁なんて出来るとは思えないけどな………。
まあ、聞くだけ聞いてみるか。
すると、エルフが手を動かすと、硝子玉に何かが映し出される。
それは、白い服を着たマントを羽織っており、子供達に囲まれた黒髪の女性が映っていた。
見た目は、完全に日本人だ。
リアム『なあ、アレって、日本人だよな。』
リムル『だろうな………。』
すると、カイジンが声を上げる。
カイジン「おい、その人もしかして………爆炎の支配者、シズエ・イザワじゃねえか?」
リムル「有名なのか?」
カイジン「
シズエ・イザワ………。
完全に日本人だな。
漢字にすると、井沢静江か?
恐らく、昭和の頃の日本人かもしれない。
次に、俺の番になった。
硝子玉に映ったのは、黒髪で長髪の女性だった。
それを見たカイジンが口を開く。
カイジン「おぉ!中々の別嬪さんじゃねぇか!良かったな、リアムの旦那!」
リアム「ああ。」
その人は、黒髪だったので、もしかしたら、日本人かもしれない。
よく分からないけど。
そんな中、リムルが口を開く。
リムル「なあ、まだ映像が続いてるぞ。」
リアム「え?」
すると、その水晶に、見覚えがある姿が映し出される。
一瞬だったが、それはオーマジオウだった。
リムル「今の……………何だ?リアムのジオウに少し似ている気が……………。」
リムルがそう呟く中、俺は考えていた。
リアム(俺も、オーマジオウになる未来がある……………って事なのかな。)
オーマジオウが映ったという事は、オーマジオウになる未来もあり得るという事だ。
未来がどうなるのか、今はまだ分からない。
それでも、オーマジオウになるのかどうかは、分からないな。
すると、とある人物の声が聞こえてくる。
???「良いんですか?こんな所でのんびりとしてて。………カイジン殿?」
すると、一人の男性がこちらを向いている。
カイジンは、苦々しく口を開く。
カイジン「………大臣のベスターだ。」
リムル「アレが噂の………。」
リアム「いかにも、嫌な奴って感じだな。」
確かに、アレは………嫌な奴だ。
ベスターは、こちらに近寄ってくる。
ベスター「遊んでいる場合なのですかな?確か、ロングソードの納品の期限は………。」
カイジン「さっき、納めてきた。」
ベスター「期限に間に合わなければ………えっ?納めてきた?」
カイジン「ああ。きっちり、20本。」
ベスター「そ、そんな………。」
カイジン「納品書を確認するか?」
ベスター「うぅん!そうですか………。受けた仕事を期日内にやるのは、当たり前の事です。」
やっぱり、無理だって分かって言ってきたのか。
かなり動揺している。
カイジンとベスターは、かなり仲が悪そうだよな。
すると、今度は俺とリムルの方を見てくる。
ベスター「それよりも………それらですよ、それら。」
リムル「えっ………?」
リアム「ん?」
ベスター「いけませんなぁ………。こんな上品な店に、下等な魔物を連れ込むなんて………。気分が悪くなる。」
だったら、そっちが出ていけば良いだろ。
そう思ったが、相手は大臣だ。
堪えろ………。
ベスターは、店主に話しかける。
ベスター「おい、この店は、魔物の連れ込みを許すのか?」
店主「魔物といっても、無害そうですし………。」
ベスター「はぁ?魔物だろうが、違うのか?スライムは魔物と違うとぬかすのか?」
店主「い、いえ………そういう訳では………。まあまあ、大臣さん。一杯、いかがですか?」
店主さんはそう言って、お酒を渡す。
ベスターは、その酒を飲んだ………わけではなく。
ベスター「………フン。魔物には、これがお似合いよ。」
そう言って、リムルにかけてきた。
リムルに酒がかかるが、エルフの人の服は濡れていなかった。
エルフ「スライムさん!大丈夫?」
リムル「あぁ、大丈夫だよ。」
リアム「よかった。」
正直、かなりイラついている。
だが、相手はクソであっても、この国の大臣なのだ。
下手に喧嘩を売って、カイジン達やこの店のエルフ達に迷惑をかける訳にはいかない。
時之歴史『果実酒。アルコール濃度、7%。』
リアム『いや、
突然、果実酒の解析をしだした時之歴史にツッコミを入れてると、落ち着いた。
だが、カイジンがベスターを殴る。
ベスター「ぐはっ………!?」
カイジン「ベスター!俺の客達に舐めた真似しやがって!覚悟はできてんだろうな!」
ベスター「きっ………貴様………!私に対してその様な口を………!」
カイジン「黙れ!!」
ドルド「カイジンさん………!」
ガルム「程々にね………。」
リムル「顔はダメだよ、ボディだよ。」
リアム「あまりやりすぎちゃダメですよ。」
俺たちがそんな風に言う中、カイジンはもう1発、ベスターを殴り、後ろにいた従者を巻き込んで倒れる。
俺とリムルは、カイジンに話しかける。
リムル「良いの?そいつ大臣でしょ?」
リアム「面倒な事になりそうですけど……。」
カイジン「…………リムルの旦那に、リアムの旦那。腕の良い職人を探してるんだろう?……俺じゃあ、ダメかい?」
リムル「ええっ!?良いの!?」
リアム「カイジンさんが良いなら、こっちも大歓迎です!よろしくお願いします。」
カイジン「ああ!」
だが、大臣を殴った事は、やっぱり、ただで済む筈が無く。
カイドウ達がやって来て、俺たちは手錠をかけられ、リムルは鎖で拘束される。
カイドウ「兄貴、一体何やったんだい?」
カイドウは、そんな風に呆れ顔で聞いて来た。
カイジン「………フン!そこのバカ大臣が、リムルの旦那とリアムの旦那に失礼なことをしやがるもんだから、ちぃとお灸を据えてやっただけよ。」
カイドウ「えぇ〜………。大臣相手にそれはまずいだろ。とにかく、こっちも仕事だから、裁判まで拘束させてもらうぜ。」
「「裁判?」」
俺たちがそう首を傾げる中、俺たちは牢屋の中へと入れられた。
そこには、ゴブタが居た。
「「ロングスリーパーかい!」」
ていうか、寝過ぎだろ。
一体、どれくらい寝てるんだ?
そんな中、カイジンが口を開く。
カイジン「………俺が短気を起こしちまったばっかりに……お前達まで巻き込んじまったな。………すまない。」
ガルム「大丈夫。問題ないさ。」
ドルド「そうそう!親父さんが気にする事無いって。」
ミルド「ウンウン。」
「「喋れよ!」」
やっぱり、こんな状況でも、喋らないのな、ミルドは。
リムルが、カイジンに質問をする。
リムル「………俺たちは、裁判を受ける事になるのか?」
カイジン「そうなるな。まあでも、死刑にはならんさ。罰金くらいで済むだろ。アッハッハッハッ!」
リムル「なら、良いが………。」
リアム「それにしても、あのベスターって大臣、カイジンの事を、目の敵にしてるみたいだったけど………。」
そう言うと、カイジンは理由を話し始めた。
カイジンは、この国の王、カゼル・ドワルゴに仕えていて、7つある王宮騎士団の内の一つの総長だったらしい。
ベスターは、その時の副官だったらしく、庶民出のカイジンが面白く無く、よく衝突してたらしい。
そんな時、功を焦っていたベスターが当時進めていた計画の一つ、魔装兵計画が失敗した。
カイジンは、全ての責任をカイジンになすりつけ、カイジンは軍を辞めさせられたそうだ。
ドワーフ三兄弟は、カイジンを庇い、一緒に軍を辞めさせられたとの事。
カイジン曰く、ベスターは悪人ではなく、ただ、王の期待に応えようと焦っただけとの事。
そして、カイジンだけでなく、ドワーフ三兄弟もまた、俺たちの村に来てくれる事になった。
そして、夜、カイジンとドワーフ三兄弟が眠った中、ゴブタが目を覚ます。
ゴブタ「あれ………リムル様、リアム様………。何かあったんすか………?」
リアム(呑気すぎるだろ………。)
リムル「俺たちは、ちょっと藪用があるから、このまま置いていって良いか?」
ゴブタ「…………えっ?」
リアム「抜け出したかったら、相棒の
ゴブタ「えっ!?ちょっ!酷くないっすか!?」
リムル「安心しろ。用事が済んだら、すぐに迎えに来るから。」
そう言って、リムルは粘糸を使って、ゴブタの口を塞ぐ。
まあ、ゴブタは無関係だからな。
巻き込むのは、酷だろう。
そうして、二日後、裁判が始まった。
兵士「ガゼル・ドワルゴ王の、お入りである!」
そう言って、武装国家ドワルゴンの王、ガゼル・ドワルゴが入ってくる。
その存在感は、かなり強く、彼が強者だというのが、嫌でも伝わってくる。
今の俺では、勝つのは厳しいだろう。
というか、ガゼル王は、なんか俺をじっと見つめている。
裁判長「これより、裁判を始める!一同、起立!」
そうして、裁判が始まった。
武装国家ドワルゴンの裁判では、王の許しがない限り、当事者ですら発言は許されない。
発言した瞬間、即有罪なんて当たり前らしい。
冤罪も何もあったもんじゃない。
おっかない事この上無い。
日本と同じく、俺たちには弁護人が必要となる。
なのだが…………。
弁護人「…………とこのように、店で酒を嗜んでいたベスター殿に対し、カイジン達は複数で暴行を加えたのです。」
リアム(おいおい。)
カイジン「…………買収されたな。」
リムル「あの野郎…………。」
カイジンは、ベスターが悪人ではないと言っていたが、完全に悪人だろ!
ていうか、ベスターの奴、そこまで重傷じゃないだろ。
やっべぇ…………このままじゃ、罰金で済まなそうだ。
ベスターが畳み掛ける様に、ガゼル王に進言する。
ベスター「王よ!どうか、この者たちに厳罰をお与えください!」
その後、裁判長が木槌を叩く。
裁判長「これより、判決を言い渡す!主犯、カイジンには、鉱山での強制労働20年に処す。その他、共犯者には、鉱山での強制労働10年に処す。これにて、この裁判を閉廷!」
リアム『リムル、これ、やばくね?』
リムル『ああ。かなりまずい。』
判決を聞き、俺とリムルが思念伝達でそう話していると。
ガゼル「待て。」
これまでずっと黙っていた王が口を開き、その場に居る全員の視線が王に集中する。
ガゼル「……………久しいな、カイジン。息災か?」
カイジン「ハッ!」
俺たちは、再び跪く。
裁判長が口を開く。
裁判長「カイジン。答えてよろしい。」
カイジン「はっ!王におかれましては、ご健勝そうで何よりです。」
ガゼル「………カイジンよ、余の元に戻ってくる気はないか?」
ベスター「っ!」
どうやら、ガゼル王は、カイジンの事を気に入っているみたいだな。
何とか、カイジン達だけでも………。
すると、カイジンが口を開く。
カイジン「…………恐れながら王よ、私はすでに新たな主達を得ました。この契りは、私にとって宝です。これは、例え王命であっても、覆ることはありません。」
兵士「無礼な!」
カイジンの言葉に、周囲にいた兵士達が、武器をこちらに向ける。
オーラを少し出して、牽制でもしようかと思ったのだが。
ガゼル「…………で、あるか。」
ガゼルはそう言うと、周囲の兵士達に、武器を向ける事をやめさせる。
そうして、王自ら、判決を言う。
ガゼル「判決を言い渡す!カイジン及びその一味は国外追放とする。今宵、日付が変わって以降、この国に滞在することは許さん。余の前より消えるが良い!」
そうして、国外追放で済んだ。
俺たちは、退室するのだが、ガゼル王の寂しそうな表情が目に入る。
ガゼル王も、寂しいんだろうな。
その後、俺たちは、カイジン達の荷造りを手伝う事に。
知る由も無かったが、ベスターがガゼル王に呼び出された様だ。
ガゼル「さて、ベスター。何か言いたい事はあるか?」
ベスター「お、王よ………。私は………そ、その…………。」
ガゼル「…………残念だ。余は、忠実な臣を一人、失う事になった。」
ベスター「な、何を仰います………!カイジンなど…………あの様な者、王に忠誠を誓うどころか、どこの馬の骨とも知れぬスライムに、時魔人という魔人と………!」
ガゼル「ベスターよ。お前は勘違いをしている。」
ベスター「えっ…………?」
ガゼル「余が失う忠実な臣。それは…………。」
ベスター「…………ッ!?」
ガゼルの沈黙に、ベスターは全てを悟った。
それは、自分である事を。
ガゼル「余は、お前に期待していたのだ。ずっと待っていた。魔装兵事件の際も………真実を話してくれるのを………。」
ベスター「お、恐れ………恐れながら………。」
ガゼル「そして、今回も。それを見よ。」
ガゼルがベスターに見せたのは、裁判長が持つ、一つの瓶だった。
それを見た途端、ベスターの表情が変わる。
ガゼル「それが何か、分かるか?ヒポクテ草から作られた、完全回復薬、フルポーションだ!」
ベスター「そ、そんな………!ドワーフの技術の随意を集めても、98%の抽出が限界の筈………!一体………どうやって………!?」
ガゼル「それを齎したのは、あのスライムと時魔人なのだ。」
ベスター「…………ッ!」
それを聞いた途端、ベスターの顔は青褪める。
ガゼルが椅子から立ち上がる。
ガゼル「お前の行いが、あの魔物達との繋がりを絶った。何か言いたい事はあるか!」
ベスター「…………な、何も………ございません………王よ…………。」
そう言って、ベスターは崩折れる。
その間、ベスターは自問していた。
なぜ自分は自身が仕える王に問い詰められているのか?
まだ幼い日に見た、この国へ凱旋した王を見た時、自身に誓いを立てた。
『この王に仕え、役に立つのだ。』
そう誓いを立てたはずなのに。
自分はいつ道を誤ったのだろうか?
カイジンに嫉妬した時から?
………それとも、もっと以前から?
ベスター「王の期待を裏切ってしまい………申し訳ありません…………。」
ガゼル「…………ベスターよ、其方の王宮への出入りを禁止する。二度と余の前に姿を見せるな!………最後に一言、其方に言葉を送ろう。大義であった!!」
ガゼルは、そう言い残して、去っていく。
裁判所には、ベスターの泣き声が響くのであった。
一方、俺たちは、カイドウ達に見送られる事になっていた。
カイドウ「兄貴、元気でな。」
カイジン「迷惑をかけたなぁ。お前も元気で。」
カイドウ「………リムルの旦那にリアムの旦那。兄貴を頼む。」
リアム「ああ。」
リムル「心配ない。こき使うだけさ。」
カイドウ「………判決に則り、カイジン及びその一味は国外追放とする。早々に立ち去れ!」
そう言って、カイドウ達警備隊は、門の内側に戻り、門は閉じられた。
リアム「…………さて、行こう。」
リムル「森の入り口で俺の仲間が待っている。」
カイジン「…………ああ。」
そうして、トラブルはあったが、最高の職人を連れて帰る事に成功した。
そういえば、何かを忘れてる様な………。
ゴブタ「リムル様ーーー!リアム様ーーー!ひどいっすーーー!!」
リアム「あっ。ゴブタ忘れてた。」
ゴブタを宥めるのを、リムルに任せて、俺はドワルゴンの方を見ていた。
何か、あのガゼル王は、俺とリムルを見ていた様な気がするが、気のせいかな。
そうして、俺たちはゴブリン村への帰路へと着いた。
一方、ガゼル王は。
ガゼル「…………弁護人は捕らえたか?」
???「は!」
ガゼル「厳罰に処せ。あのスライムと時魔人とやらの動向を監視せよ。決して気取られるなよ。絶対にだ!」
???「は!」
ガゼル「…………あのスライムは、化け物だ!まるで『暴風竜ヴェルドラ』の如く!そして、あの時魔人は、特に注意せよ!まるで、魔王の如き存在だ!」
そんな風に、目をつけられてしまったのは、今の俺たちは、知らなかった。
???「我が魔王がドワルゴンに来たのか。ならば……………。」
そして、1人の青年が、どこかへと向かう。
今回はここまでです。
リアムの運命の人は、ヒナタに決定しました。
案として、クロノアにしようかなと思っていました。
やっぱり、時の勇者であるクロノアに、時の魔王であるリアムという感じで。
ただ、クロノアにはリムルが居ますし。
どうしようかなと悩んだ末、ヒナタにしました。
ガゼル王は、リアムの事は魔王の様だと認識しています。
そして、1人の青年が、リアムの後を追う。
いよいよ、シズさんが登場します。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
追記
リアムの運命の人は、ヒナタにしていましたが、クロノアに変更しました。
いきなり変更して、申し訳ありません。