『どもども〜!!今日も今日とて私達の安全を脅かす化け物の倒し方講座いっちゃうよ〜!』
カメラの前でお馴染みとなった言葉を呟き、対象となる化け物の写真を見せる。
『今日、午前零時に新たに発見されたのはこれ!スケルトンです!これまで出てきたゴブリン、オークと同じで、私達日本人のゲーム的にまさに定番だね!』
次に、説明用の紙を映す。
『こいつの攻撃方法は多種多様!某四角いゲームみたいに弓を使うものも居れば、こんな感じでちょっとボロい装備を身に纏うものも居るよ!この装備違いは予想だけど出現場所で変わるんじゃないかな?工事現場の近くには異様に沢山ヘルメット付きがいたしね!』
ここまで話したところで、ようやく大声に引き寄せられた化け物の足跡を耳が拾った。
『さて!説明も済んだところでお客さんだ!ちょうどよくスケルトンだね!さあ行くよ…の前に!注意!この配信を見ているからと言って、下手に戦おうとしないこと。特にソロなんてもってのほか!あくまで、万が一襲われて、助けがいない時の参考として見てね!そして、そんなことにならないよう、日頃から注意すること!』
いつも通りの注意喚起を終えて、獲物を持つ。剣や銃なら心強いが、そんなもの日本で手に入る訳がない。お金もないし、今あるのは出刃包丁と十円玉を袋に詰め込んだお手軽武器ブラックジャックである。
『まずは普通に倒すよ!その後に一人称視点、そして、スケルトンを素手で倒す方法も教えるよ!』
というわけで早速戦闘が始まる。少し前までは映像の中でしか見られなかった光景が、目の前に広がる。今回のスケルトンはヘルメットも何もない通常個体。これなら、一般人でもどうにかできると思う。
『じゃあ行くよ!まずは数発攻撃を見てみよう!』
そうして、スケルトンの攻撃を誘発させる。何度も見た動きなので余裕を持って躱す。躱す、躱し続ける。
そうして、結構な攻撃パターンを見れたかな?というところで一度距離を取った。
『よく見えたかな?こんな感じで、スケルトンは武器がないときは拳と腕を主体に戦ってくるよ!一発一発の威力も結構高いよ。お腹にくらえば、内臓に傷がついちゃうかも。じゃあ次は倒し方!』
しばらく待っていると、スケルトンがこっちに突っ込んできた。
『こんな感じで、距離を取ると突進してきます!これは武器があっても変わらない!そしてこの時、段差があるとほぼ必ず躓きます!そこをこう!』
そうして、倒れたスケルトンを背中からブラックジャックでぶっ叩いた。スケルトンは粉々に砕けて、スケルトンの魔石へと変わる。
この魔石は、ゴブリンやオークを倒した時にも落ちる。これを持って少し集中すれば死体が再度現れるので、死体を運ぶ用、だろうか。それ以外は何もわかっていない。素材も、原理も何もかもまだ不明だ。
『はい!これで終わり!安全に倒すってならこれが一番だと思うよ!一応こんなことしなくても、正面からバットなり何なりで打撃攻撃を加えると倒せるけど、危ないから辞めておこうね!』
そして、次。一人称視点ということで、固定していたカメラを手に取り、目元につけた。
『ちょっとうるさい方は音量下げてね!後こっからは怖い人もいるだろうから、気をつけて!じゃあ探しに行こう!』
軽く雑談しながら歩く。内容は、開拓され始めたゴブリンとオークの倒し方について。まだこの事態になって三日目だけど、初期の倒し方がどんどんと改良され、さらに安定した方法が見つかっている。多分今みたいなスケルトンの倒し方も、もっといいのが見つかるだろう。
そうして、スケルトンを似たような手段で始末した後、武器をしまった。次は素手。今回のスケルトンに至っては、攻撃はなかなか痛いけど、防御力がない。故に、素手でもなんとかなるのだ。
『あ、これは本当に非常事態の時用だから、皆はちゃんと武器を使うんだよ』
新たに見つけたスケルトンから目を離さず、距離を取る。私の腕では少し力が弱いので、普通に殴るだけじゃ私の方が痛くなる。だから、最も効果的な場所を叩く。
『スケルトンは私達で言う心臓の位置を触ると、力とか関係なく倒せるよ!』
その宣言通り、私は、すれ違いざまにスケルトンの肋骨の中に手を入れた。手応えなんてない。でも、そこに手が届いた瞬間、すべての骨が支えがなくなったかのように崩れ落ち、魔石に変わった。
『…はい!以上!スケルトンの倒し方でした!最後の倒し方は危ないから本当にオススメしません!でも、一番早く倒せる方法でもあるから、万が一の時に使えるように覚えておきましょう!ちなみに、手のひら以外だと何故か効かないよ!』
これで、スケルトンが出現してから2時間。集めた情報をすべて出し切った。
『ためになったと思ったらチャンネル登録、高評価をよろしくね!毎日やるから、明日も来てね!』
そうして、私は配信を終えた。
二日前。世界に突如として化け物が現れた。
醜悪な見た目をしたそれは、ゲームで言うゴブリン、のような生物で、多くの人を襲った。
軍隊が負けるということは無かった。でも、多くの一般人が標的となり、男は集団にリンチにされ、女は大量のゴブリンに犯された。
そして、二日前のお昼頃。とある動画が公開された。
【世界の仕様変更】
投稿主は不明。内容は、あり得ないと断じてもいいようなことを淡々と述べるだけの動画。しかし、その動画はまたたく間に拡散された。
一つ、零時になると、モンスターが現れます。
時差というのも考慮されているのか、すべての国が同時に、ではなく、その国の零時にモンスターが現れるということ。お陰で、日本はゴブリンにやられた犠牲者がかなり多かった。
一つ、特別な力を与えます。
そして、これ。この動画を見た人は、全員もれなく脳裏に言葉が焼き付いた。そして、現在科学では到底説明できない力を手にしたのだ。いや、手にしていたのを理解した、というところだろう。
それは、異世界定番の魔法を使える能力だったり、心得がないのに、達人のように動けるようになったりなど様々。報告されている中で、似たようなものはあれど、まだ、同じのが2つということは起こっていない。
動画は終わり、何故かは分からないが私もこの動画を拡散した。
朝から疑問符を浮かべ続ける頭をなんとか落ち着かせて、私の能力と向き合った。そして、朝にあったあの惨状の説明がつき、同時に、やるべきことを見つけた。
「もう絶対に、あんな惨状は起こさせない…!」
私を助けてくれた皆に報いる為に、私は一本の動画を投稿した。
少しでも被害を減らしたいと、スマホで簡単に編集しただけの動画。しかしそれは、またたく間に拡散され、その日のうちにミリオンを達成した。
動画タイトルは【ゴブリンの倒し方】
内容は、ゴブリンの行動パターンの説明と、弱点、倒し方などを説明しただけの、面白みの欠片もない動画。
しかし、不安に包まれていた日本ではそんなのは必要なく、未知の存在への情報が求められていたのだろう。そして、その未知が来ることが分かっていた米国等からも、それはとても重要な情報だったというのもあるはずだ。
そして、私は、被害を減らすため、少しでも早く情報を届けようと、配信という形を取った。
零時からできるだけ情報を集めて、それをそのまま、実演を交えて配信で伝える。素のままじゃ話せないので、見ていたアニメを参考にキャラを作った。
次の日、大きな二足歩行の豚であるオークの被害はゴブリンと比べると格段に減少した。お礼のコメントがとても嬉しく、役に立っていると実感できた。
私の配信者としての人生は、こうして始まった。
女の子のスペック
16歳
銀髪←作者の趣味
碧眼←作者の趣味
ポニテ←作者の趣味(でも激しい運動なら必要だよね)
学力→普通
身体能力→普通
家族構成→父、母、妹、主人公
名前→柏木陽菜(配信の時も陽菜と名乗る)
チャンネル名→モンスター退治専門チャンネル
更新速度→ふていき!