私のリハビリも兼ねて、外へ出る。まあ何日か外は見ていなかったが、やはり大量のゴブリンが外を徘徊していた。
しばらく雑魚を処理しながら進むこと数分。再び、1万規模のゴブリンが目に入る。
「いるね」
「うん。どうする?お姉ちゃん」
今は私の他に恵と三春さんがいる。おっとりしている三春さんとの連携、というか、
『三春に慣れて!』
と言われたから、ついてきてもらった形だ。基本的に恵が守っていくらしいので、能力の詳細を伝えたうえで接続させてもらっている。
「…行こうか」
危ない。確かに危ないけど、遥かに明日の方が危なくなるはずだ。それなら慣れるべきだし、明日、ほぼ確実に味方の誰かに接続するという状況になるはずだから、それにも慣れたい。
なんせ、連携がきっちりと求められる、ゲームで言うレイド戦に近い戦いが控えていると予測できるからだ。そして、その場合ボスへは皆が四方八方から攻撃するだろうし、ボスへ接続なんて出来るわけがない。
「じゃあ…あ、そっか」
走りだそうとして、止まる。私一人だけ先行したってダメだ。少なくとも、一番の難敵となるであろう1万規模のゴブリンと距離が離れている限り、それは今じゃない。
特殊能力は残念にも程がある短刀を手にする。まあ、短刀としてだけ見るとかなり優れものであることは分かった。ゴブリンの処理が楽になったことは実証済みだ。
「あ〜、待ってください〜」
おっと、また先行しすぎたみたいだ。
「ごめんね、三春さん」
「違うよお姉ちゃん。これは三春が遅すぎるんだよ」
謝罪は恵に即座に否定されてしまった。恵。友達に対してその反応はどうなの?
「いや、お姉ちゃんよく見て。まだ10メートル」
この1万規模のゴブリンと戦い始めてはや10分。確かに、進んでなさすぎる。この速度はあんまり好きじゃない。
「ごめんなさい〜」
…慣れろって、そういうことね。
さあ、もう何時間たっただろうか。
3体目の千人規模のゴブリンを切り捨てて考える。なんとか、目前に迫っている。それにしては数が少なくないかと思われるが、その理由は、おそらく、別の場所でも戦闘が始まっていることにある。
時折聞こえてくる銃声。自衛隊だろうか。もし、私が活動しなかった分、自衛隊が倒してくれていたとすれば、おかしな事ではない。
まあそれならそれでいい。今の問題は正面のゴブリン。1万規模のゴブリンである。
動画を見た感じ、こいつ自体になにか特殊能力があるというわけではない。ただ、防具によるオーク並の硬さと力強さ。それがとにかく厄介となる。特に、このゴブリンの大軍を処理したあとでは。
また、その情報から察するに、部下全滅からの離れるという手段は取れない気がする。理由は単純明快で、倒しきれるかわからないから。
以上を踏まえ、戦っていくのだが、
「はい〜回復です〜」
ふわりと緑の光が体にまとわりつき、疲労を取っていく。
三春さんの回復。どうやら疲労回復の効果もあるみたいだ。お陰で、かなり時間が経っている今でも私は動き続けられている。
「お姉ちゃん。このまま行く?」
どこへ、と問えば、当然あのゴブリンの元へであろう。それもいいけど、でも、それはキツイ気がする。というのも、今は守るべき対象がいるからだ。
「三春さんがいるから今はパス。私だけ出るよ。でも、その前に周りのゴブリンを片付ける」
残り少なくなってきたスケルトンの魔石を惜しみなく消費して、数を減らしていく。
「はえ〜、すごいですね〜」
なんというか、こんな状況なのに声の特徴を変化させないのは凄いな。
ちょっと感心しつつ、近くの千人規模のゴブリンを倒した。これで、近くのゴブリンはかなり減った。後は恵でも対処できるはず。あの格好いい刀の扱いが凄く上手かったし。
「じゃあ、行ってくる。恵。ヤバそうなら私は置いていってね」
「…そんなことはしないよ。お姉ちゃん。速く帰ってきてね」
「任せて!」
恵の信頼には絶対に答える!
私は巨体へ飛び出して行った。
「さあ!一瞬で倒す!」
「ギィ」
静かだが、重厚感のある声だ。のっしりと起き上がり、武器を構える。―――その頃には、もう懐へ潜り込んでいた。
首を短刀で斬りつける。ゴブリンなら首を落とせていただろうに、薄皮一枚しか持っていけない。
反撃の前に引く。反撃なんて喰らわないのに越したことはないのだ。
「っ、と」
危ない。後ろのゴブリンに足を掴まれかけた。自由を失うのはどうしても避けたい。自由がなくなれば、最後の手段も使いづらくなる。
取り敢えず短刀で後ろのゴブリンを倒して、適当なゴブリンの魔石を投げつける。死体に変わるそれは、威力は相手にとって気にすることでなくても、視界の妨げにはなる。
「足っ!」
首よりは深く刺さる。でも、致命傷とまでは行かない。うん。一旦ここで終わりだ。時間は有限なのだから、ずっと渋っていた物の使いどき。
振り下ろされた棍棒を伝い、腕、肩。そして、ゴブリンの真上へ飛ぶ。
さっきは大丈夫だった経験からか、盾を構える様子はない。まあ、どっちにしろ意味はないけど。
「オーガっ!」
オーガ4体の死体は、積み重なり重量を増していく。そこに、私も乗っかる。
自分の体ほどの大きさの物体が、上に4つも乗ってくるのだ。到底、耐えられる筈もない。
ズシン
鈍い音をたてて、潰れた死体は魔石へ変わった。
【間違えて投稿してしまったことへの謝罪】
本当に申し訳御座いませんでした。楽しみにしてくださった方には大変不快な思いをさせてしまったと思います。
そして、指摘して下さり本当にありがとうございました。もしかしたら明日まで気付かなかったかもしれません。
本当に、申し訳御座いませんでした。出来る限り、同じような、事が起こらないよう気を配っていきます。