深夜零時から2時間調査をし、そこから1時間で準備、配信をして帰る頃には朝の5時になっている。
まだ二日目。いや、二日目だからこそキツイ。でも、私がどれだけキツかろうがやるしかない。
でも、そんな私には癒しがある。
「ただいま」
「お帰りなさい。お姉ちゃん」
私の
背中まで伸びたウェーブのかかった金色の髪とゆるふわの雰囲気を持つ彼女は私のこれ以上ないほどの癒しである。
「ねえ恵。撫でていい?」
「いいけど、お風呂入ってからね?」
「一緒にはいろ…?」
「お姉ちゃん…?」
「ごめんなさい」
怪しげな雰囲気を感じたのでそこで話を切った。わざわざこんな時間に早起きしてくれてお風呂も用意してくれるマイエンジェルに嫌われたくないので、さっさと入る。
「あっ、お姉ちゃん!」
「ん?」
「配信お疲れ様!」
ああ…さいこう…。
お風呂からあがったら、恵の用意してくれたご飯を食べて、恵をじっくりと撫でた後にパソコンを立ち上げた。
「あれ?お姉ちゃん?寝なくていいの?」
おそらくは昨日の配信の後、死んだように眠っていたからこう言われているのだろう。しかし、まだ寝るわけにはいかない。
「昨日は忘れちゃったけど、配信を動画にしないといけないからね。いらないとこは全部切って、大事なところだけ見返せるようにしないと」
一々アーカイブなんて見ていたらすぐに情報を得られない。それに、ゴブリンやオークとの比較を入れるとか分かりやすくする方法はいくらでもある。偶に来る軍隊?っぽい人の参考にもなるかもだし、やらない手はない。
「そのくらいは私がやるよ。お姉ちゃんは寝てて!」
ああ、恵は優しいなぁ。
「でも大丈夫だよ。私がやることなんだから」
「いいから寝なさい!」
むう。なかなか強情だなぁ。…でも嬉しいや。恵がこんなに心配してくれるなんて。
「ふっふっふっ。安心してよ。最近ね、コーヒー飲めるようになったんだ」
これで眠気もバッチリ(≧∇≦)b。
恵は『は?』と言わんばかりの顔をしてから、無言で携帯を開いた。パシャ、と撮った後に見せられた写真には、私によく似た隈の凄い女の子がいた。
「お姉ちゃん」
「ほえ〜。私にそっくりだね。でも寝不足みたいだね。隈が凄い」
「…お姉ちゃん?」
「いやー。こうはならないようにしたいね」
「お姉ちゃん!」
「わ!?なになに?」
突然恵が抱き着いてきた。私より発育のいい胸にむりやり顔を埋めさせられ、なんだかよく分からないが取り敢えず癒やされる。
「―ごめんね」
ぷちっと、私の意識は落ちた。
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《恵視点》
「はぁ」
別にこれまでブラックで働いていましたとかでも無いただの高校生でしかないお姉ちゃんがやっと寝た。いや、寝させた。
「始めて使うのがお姉ちゃんになるとは…」
私に与えられた能力は対象を眠らせること。凄いなと思いつつ、でも使う機会はそんなにないだろうと思ってた。世界を騒がせた化け物も、今は自衛隊さんや警察さんが対応してくれているしね。
「この様子だと、多分もっといっぱい使うんだろうな」
想定より多用することになりそうだ。ま、取り敢えず念の為敷いといたお布団に載せてっと。
「ふふ。かわいいな」
お姉ちゃんはとってもかわいい。多分お姉ちゃんの動画をリピートする人の半分ぐらいはお姉ちゃんを見に来てると思う。流石にそれは身内贔屓がすぎるかな?でもコメント的に絶対いることは間違いない。同士よ。推すのはいいがお近づきになろうとするなよ。
さらさらの銀色の髪を噛んでいるので、優しく払う。
いっつも思うけど、なんで私もお姉ちゃんもこんな髪色なんだろう…。お父さん黒髪なのに…。黒髪って顕性だよね?
ま、それはそれとして一旦お姉ちゃんの仕事を代わりにやろう。学校が無いので時間は沢山あるのだ。オークも一緒に動画にしちゃお。
と、そこでお姉ちゃんの動画を見ると、昨日の時点でも凄かったのに、再生数がさらに意味がわからないほどに増えていた。チャンネル登録者もエグい。
「あ、そっか。海外か」
アメリカとか、ヨーロッパとかは私達よりかなり遅れてから化け物が出てくるのだ。多分その人向けの翻訳をしてくれている人も沢山いるだろうし、それのおかげかもしれない。
お姉ちゃんの動画はめちゃくちゃに転載されている。メディアでは英雄視されながら、政府の公式サイトでも公式の動画ができるまで取り敢えず乗っけてるぐらいにはだ。全部お姉ちゃんは許可してるんだけどね。優しい。
「よっし。じゃあ頑張ろう!」
お姉ちゃんへの期待に泥を塗らないように頑張ろう!
「むにゃ…あ、…れ?」
「まだ1時間!」
「( ˘ω˘)スヤァ」
「…ここでやろうかな」
私は、効果時間は一時間というメモをとってから、編集を始めた。