変わる世界で配信中   作:ありくい

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作戦会議

「あー、今回、皆様には知恵をお貸しして頂き、なるべく早期でのゴブリンの王の討伐についての作戦会議を始めます。司会の近藤です。どうぞよろしくお願い致します」

 

丁寧な口調っぽいが、やけに投げやりそうな思いを感じる。取り敢えず剣さんがパチパチと気のない拍手をしたので、次いで拍手をする。

 

「あのー、ちょっといいですか?」

 

早速とばかりに、恵が手を挙げた。

 

「あ、はい。どうぞなんでもお申し付け下さい」

 

「どうして、早期で討伐する必要があるのですか?どう考えても焦る場面じゃないと思います」

 

まだ始まったばかりといえばそうだが、確かに今は安定している。無理して攻める必要はなく、このまま相手の戦力を削り、万全の状態でゴブリンの王を攻めるのがいいんじゃないかと言うことだ。

 

「それについてですが、余りにも不確定要素が多すぎる為というのが一つ。そして、自衛隊の備蓄装備には限りがあるのがもう一つと言ったところです」

 

なるほど。装備の備蓄か。確かに銃弾も銃自身であっても無尽蔵にあるわけではないか。それに、もしかしたら長引き過ぎるとゴブリンの王を倒せないまま他の化け物が沸き始めるかもしれない。

 

「…ちょっとええか?そこの陽菜が能力を特に必要とせずゴブリンを倒せているんやから銃弾は使わんでもええんとちゃうか?魔法と自衛隊さんらの近接戦でなんとかなるやろ」

 

「…ふむ。参考にさせて頂きます」

 

確かに、さっきの自衛隊さんは誤射を恐れてなのか銃剣での切り裂きをメインとしていた。援護射撃が弱くなると考えれば歓迎すべきではないのかもしれないが、その分前線の兵士が増えると考えるとアリだ。

 

「あの、不確定要素の話をするなら、ゴブリンの王を倒したとしてもそれは付き纏ってきませんか?本当にそれだけが理由なんですか?」

 

「…」

 

恵がそう言うと、近藤さんは黙った。しかし、恵は何が言いたいのだろう。最初の理由でも特におかしなところはなかった。

 

「近藤さんって、何処か不満げな様子があるので、その理由をお尋ねしたくて…」

 

(まあ確かに、そういう様子は感じたけど)

 

問い詰めるポイントなのかな?と疑問を抱いていると、近藤さんはゴシゴシと頭を擦る。

 

「…あー」

 

ダラッとした声をあげ、近藤さんは唸る。

 

「分かってる分かってる。こっちとしても、正直じっくりと攻略していきたい。少なくとも、他のところが王を仕留めてくれるまではな。だが上はそうでもないらしい。さっさと殺せと急かしてくるんだ。…一旦、急がないと行けないと仮定して考えてくれないか。実際、ゴブリンの王を無視して沸き始めることもなくはないからな」

 

「ふーん。まあ私は速く帰りたいし、さっさと決めちゃおー!!」

 

「私も、勉強があるので」

 

サイコミールさんと風野さんがそれぞれ同意を示し、今度こそ作戦会議が始まった。…しかし、

 

「情報なくないですか?」

 

恵の一言。それが、会議に生まれた沈黙を理由付けていた。そうだ。私達はあのゴブリン王に対する情報が何もない。

 

「…一応だが、銃や爆弾は効かなかった」

 

近藤さんが手渡ししてきた書類には、何枚かの写真が時系列ごとに並べられている。それぞれ、何で、何をして、どうなったのか、事細かに示されていた。

 

「ヘリコプターを使った偵察ですか…。しかし、これを見るなら頑丈というだけで、あの緑のオーラみたいな物はないみたいですね」

 

効かないとはいえ、弾かれた際アクションを起こしていたらしく、くすぐったいのか掻くような動作をしていたため、当たった感覚があると推測されている。それなら、私達の能力が聞くかもしれない。

 

「ん〜。じゃあ、各々能力言ってみる?」

 

サイコミールさんの提案に全員が頷き、それぞれ能力を紹介していく。

 

剣さんの能力は刃の切れ味をあげる。どこまでも、そして、やろうと思えば爪もいけるらしい。

 

サイコミールさんは地面のものを浮かせて、操れる。生きていると難しく、動いていないならいけるらしい。

 

風野さんはシンプルな風の魔法。不可視の刃で切り裂いたり、地面の砂を巻き上げたり出来るらしい。

 

そして、私のファン?の人の能力は拡大と縮小。あの岩は小石で、何倍にも拡大して潰していたらしい。

 

全部らしいであるが、疑う必要はない。私と恵とファンさん以外は、配信という場で誰もが知れるようになっている。そして、ファンさんは私がさっき見た。私視点は全部分かった形だ。

 

でも、私の能力は説明がちょっと難しい。なんとか説明してみたけど、伝わったのか不安だ。

 

「…じゃあ、皆の能力は分かったけど〜、どうするよ?」

 

「俺がスパーンは決まりでええんとちゃうか?オーガ殺れたん俺だけやし」

 

そう。今のところ、風野さんの魔法では、オーガは切れなかったらしい。そういうわけで、火力だけで見れば強いのは剣さんだ。オーガより同等かそれ以上と予測できる硬さのゴブリンの王には、剣さんが一番だろう。

 

「そうね、で、援護射撃は私と風野ちゃん!後はそこの男の人も入れてでどう?いいんじゃない?」

 

「はい」

 

「分かりました」

 

後は、剣さんのサポートだろうか。

 

「確か、恵ちゃんは触らないといけないのよね?」

 

「あ、はい」

 

「触ったら眠るなら恵ちゃんは必須ね。そこを剣ちゃんがゆっくりと。そして、その恵ちゃんを陽菜ちゃんが守る、と。これがいい気がするわ」

 

そうして、近藤さんそっちのけでサイコミールさんによって全てが決まった。

 

 

 

―――そうして、その日のお昼。ゴブリンを倒し、前線を押し上げていると、時間にして、作戦会議から数時間後。一つの情報が更新される。

 

『ゴブリンイベント、残り2日!』

 

停滞は許さないと、そう言われているようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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