変わる世界で配信中   作:ありくい

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休息②

「ギィ!(この先がこの森の外だぞ!)」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「ギィギィ?(俺達はこれ以上外には行けないからな。後は大丈夫か?)」

 

「はい。お世話になりました」

 

ゴブリン達に森の外へ運んでもらい、一応お礼を言っておいた。複雑な思いが無いわけでは無いけど、こういった礼式は大事だ。それに、あの声が発したのも気になった。

 

『良好な関係』

 

少なくとも、好意を無下にするとか、敵対行為は良くないのがわかる。でも、良好な関係と言われれば、ちょっと悩む。人ならまだしも、ゴブリンに喜ばれる行為は分からない。

 

「お姉ちゃん、行こっか」

 

「うん。あっ、ファンさん。ごめんなさい」

 

「ああいえ、構いませんよ」

 

私は身動きがとれないので、全身を預ける形だ。本当に申し訳ない。

 

「あの、ファンさん。もう遅いと思われるかもですけど、お名前は…」

 

「…いや、大丈夫です。陽菜様に呼ばれるなんて、というよりは、私はもう故郷に帰って、妻の家族を守ろうと思いますので、わからないほうがいいかなと」

 

確かに、私の発言は結構広まってしまう。うん。それも、一つの選択なのだろう。

 

「お名前を伺えないのは残念ですけれど、わかりました。ありがとうございました」

 

「こちらこそ、感謝はいくらしてもしたりませんよ」

 

「はいそこまで。さっさと行きますよ!!」

 

恵に急かされて、私達はゴブリンの森を出た。

 

 

 

 

 

「こちらへどうぞ」

 

森を出たあと、自衛隊さんに迎えられ、少し離れたホテルに案内された。なんでも、今回のゴブリンの侵略によって、少し道路の確認作業が必要らしい。それに、

 

「ごめんね、祖谷さん」

 

「いえいえ〜、恵にはいつも助けられていますから〜」

 

出来るだけ体を傷付けないようにしたつもりだけど、それでも、手足が一切動かないレベルには傷付けた。だから、治してもらわないといけない。

 

…あの時、ここまでしたのは確実性が欲しかっただけじゃなくて、祖谷さんがいたからと言うのが大きい。本当に自己中で申し訳ない。

 

「そんな顔しないでくださいよ〜。そもそも、恵もそのつもりで私を連れてきたんですから〜」

 

「あ…バレてた?」

 

「うん。バレバレ〜。お姉ちゃんのこと大好きだもんね〜」

 

ものすごい失礼な気がするけど、見た感じは特に気にしていなさそうだ。掘り返すのもあれだし、好意に甘えよう。

 

「うぅ。…一緒にいてくれたら、家事でも洗濯でも何でもするから」

 

「そう〜?じゃあお菓子も食べたい〜!」

 

「…はーい」

 

仲睦まじく、二人がじゃれ合っている。あー。そういえば、友達にまったく会ってないや。元気かな…。

 

「それでさ、お姉ちゃん。これからなんだけど」

 

恵は、恐る恐るスマホを出した。画面どころか、全体がバッキバキに割れて、見ていられない。

 

「ごめんね。もう録画とか配信とか出来ないかも」

 

一応、パソコンなら家にもある。けど、配信やらなんやらは全部スマホでやっていた。だからこそ、今のままでは活動が、それに、パソコンもないから、皆に報告すら出来ない。

 

「いや、恵は悪くないよ。というか、仕方ないよ。うん」

 

「あの〜。ちょっといいですか〜?」

 

祖谷さんが声をあげた。

 

「三春?どうしたの?」

 

「いや〜、これ〜。もしかしてカメラつけっぱだったりしませんか〜?」

 

「へ?」

 

「あのですね〜?その髪留め、同じの持ってるんですけど〜。なんかレンズ見えませんか〜?それで映像撮ってたんじゃないんですか〜?」

 

………あ、

 

「ヤバいよ恵!!!カメラどうしよう!」

 

「え?なんのこと?って待って?ほんとにその髪飾り誰からもらったの?え?え?いつの間に?」

 

あ、そう言えば恵にはまだ話していなかった。カクカクシカジカとあったことを話した。

 

「あ、なんだ。ε-(´∀`*)ホッ  それはともかく、それは返さないとないとだね…あっ」

 

恵が、ハッとしたように目を見開いた。

 

「サイコミールさんって配信者だよね…。なら、もしかしたら…。よし。お姉ちゃん。私が返してくるよ」

 

「えっ、いや私が…行けなかったね。なら、お礼を言っておいて欲しいな」

 

サイコミールさんには感謝しかない。あの人には沢山助けられたし、サポートもしてもらった。恵はうんと頷き、

 

「ねえ三春。それって何日ぐらい?」

 

「ん〜。6日だね〜」

 

「じゃあそこらへんの話も自衛隊さんにしておくね!」

 

そう言って、恵は出ていった。

 

「…行っちゃいましたね〜」

 

「そうだね」

 

祖谷さんと二人きりだけど、特に話す話題が無い。自然と、二人揃って、治療の光をぼーっと眺めていた。

 

 

そして、うとうとしてきた頃。

 

 

「ふと思ったんですけど〜、サイコミールさんにこれまでの会話全部聞かれてたりしませんかね〜」

 

「…ありえそうで怖いね」

 

ぱっちり目が覚めてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

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