『は〜い!どもども〜。今回も化け物退治行っちゃおう!今日新たに現れたのは、スライムでーす』
深夜3時。恵のお陰で絶好調な私は元気良く配信準備を済まし、死にそうな気持ちを押しつぶしながら配信を始めていた。
『え〜、今回のスライム。ある意味で過去一で危険だね。というわけでまずはこちらの資料をご覧頂こう!』
少し走り書きが目立つが、それだけ今回のスライムは色々と強敵だった。
『見たら分かる通り、このスライムの特徴は、決まったもののみを溶かす【酸】です。この酸は後で見せるけど、小さい金属なら一瞬で溶けちゃいます。体についたら、一瞬で骨まで溶けちゃうからほんっとうに危険です』
『というわけで今回はスライムの対処法をメインに教えていきます!危険だけど、対処法を覚えれば被害無しで逃れられます!さあ、じゃあ行ってみよう!』
そして、私は事前に用意していた場所まで行った。
『はい!スライムはここにいます。そう。このスライムの何よりも大きい特徴は、あまり動かないこと。私がこのスライムを見つけて一時間ぐらい経ちますが、まだ動いていません』
『…え?なら危険じゃない?分かる。その気持ちはよ〜く分かる。でも逆にこう考えてみよう。入ったら溶ける水たまりがそこら中にあるんだよ?ゴブリンとかと戦いながら後ろに下がってそのまま…とかもあるから、視聴をやめないで!』
ま、私は靴が一つ使い物にならなくなったので、マジで危険だ。
『特にスケルトン!昨日の倒し方をやろうとするあまりついついスライムに突っ込んじゃう…なんて絶対にやめよう!と、それじゃあ実践!スライムの酸の強さを見てみよう!』
そうして、ブラックジャックを用意する。
『ちなみにこの子は二代目!明日からは三代目を使うよ!』
その言葉を最後にブラックジャックを叩きつける。かなりの速度で叩きつけたのにも関わらず、地面につく音が響くことはなかった。そして心なしか大きくなった気がする。
『はい。このレベルです。そして、丁度いいからこいつでやっちゃおうかな。――というわけで、次は対処法!出来るだけ無視を推奨したいけど、住居スペースに来た時用だよ』
『このスライムは攻撃が通りません。武器はなんであっても溶けてしまうのです。というわけで、武器を使って倒すとは別の方法です。そのためにはこちら!』
そして、土の塊を見せた。
『さっき気づいた人もいると思うけど、このスライムがブラックジャックを溶かした時、膨らんだように見えなかったかな?それを利用するよ!』
その流れのままに、土をスライムの上に載せ始めた。
『このスライム。物を溶かした後吸収しちゃうんだ!だから、こうやって溶かし続ければ、すこーしずつ土色に濁っていくよ。そ〜し〜て〜?』
スライムは、透明な部分が無くなり、透明なぷるんとしたボディが茶色でぷるんとしたボディへ。そして、ボロボロと崩れ始めた。
『こうやって、かんっぜんに土に飲まれてしまいます!これで終わり!…でもね、一番注意してほしいのは、こうやってポロポロとならない限り、スライムの酸は無くなりません!なんなら茶色で保護色になって気づけないまであります。絶対に、絶対にやめましょう』
『このやり方は土に限ったものじゃありません。何でも出来るけど、処理したあとはその場にばら撒かれます。だからなるべく土にしましょう。多分それが一番マシ。わかったかな?』
短いけど、これで終わりだ。今回はなかなかに戸惑ってしまった。
『はい。本日はここで以上!ごめんなさい。これ以上は時間が許してくれませんでした。また色々と調べて、動画にまとめようかなと思うので、陽菜はまだまだ頑張ります!それでは!』
こうして、配信を終えた。
終わってからスライムとわちゃわちゃしようとしていると、電話がかかってきた。恵からだ。
「もしもし?」
『…お姉ちゃん?帰ってきて?』
「ごめんね。もうちょい調べさせて。皆それを求めてるだろうからさ」
『大丈夫。お姉ちゃんの視聴者さんに色々と聞いてみたから』
「!?待って。だめだよ危ないよ!」
『…お姉ちゃんの視聴者さんには軍人さんも研究者さんも沢山いるんだよ。むしろそういう人達を頼らなくてどうするのさ』
「え?」
『凄く積極的に協力しようって人が多かったからさ。1回その人たちの報告を待ってみようよ。ほら、帰ってきて』
「…分かったよ」
驚いた。そんな人達がいたんだ。
…また一つ。心が暖かくなった。
そして、帰ってくると、また恵に抱きしめられて―――。
( ˘ω˘)スヤァ