『は〜い!久しぶりの配信となるわね。サイコミールよ。今回は、ゴブリンの王を討伐した場所に現れた、ゴブリンの森に行ってみようと思うわ!でもやっぱり、この森は未知で危ないかもしれないわよね。だから、特別ゲストもいるわ!来ていいわよ!』
サイコミールさんがカメラの前で手を振ったので、一抹の不安を抱えながらも、カメラの前へ出た。
『ど、どうも。モンスター退治専門チャンネルの陽菜の妹、恵と申します。あのチャンネルでは主に動画の編集担当です』
今口に出して思ったけど、このチャンネル名どうなんだろうか。まあ、今更変えるのもおかしいか。
『は〜い!というわけで恵ちゃんよ!…じゃあ早速ゴブリンの森に行こうと思うけれど、その前に、恵ちゃんからお知らせがあるわ!』
これは、事前にお願いしていた事だ。パソコンが無い今、少なくとも今日は家に帰れないだろうから、この場を借りるしかお知らせする方法がないのだ。
『あ、はい。私の姉の陽菜は、ゴブリンの王との戦いで傷を負ってしまいまして…何事もなければ、6日後には復活出来ると思います。それまで、いつものような事は出来ないと思います。何卒ご理解の程よろしくお願いします』
こうは言っても、もしお姉ちゃんを即座に治療する方法が見つかれば、多分明日にでも活動を再開すると思う。
お姉ちゃんが壊れてしまわないか、心配でたまらない。
『じゃあ、早速行きましょうか!今日と明日は化け物は出ないから、危険は少ないだろうけど気をつけましょう!』
『おー』
もちろん、ここまでは台本通りである。
ゴブリンの森に入って、やはり目に留まるのは摩訶不思議な木々達だ。紫や黄色というだけでなく、所々発光し、中々に見応えがあった。
『やっぱり、すごいですね』
『ほんとねぇ…。物凄くキレイだわ。やっぱり森だから、この静寂な雰囲気もたまらないわよねぇ…』
会話しながら、歩いていくが、やけに歩きやすかった。というのも、サイコミールさんが地面に落ちている落ち葉や小石を事前に能力で払っていた。でも、視線が揺れることはなくて、しっかりと前を向いている。
なんというか、この人の配信時、話しているときはやけに敵との遭遇がなかったけど、その理由がよくわかった気がする。あんまり見ていないけど、サイコミールさんが会話を中断したのは、オーガと、大量のスケルトンと遭遇したときだった気がする。
『あ、そうそう。恵ちゃんに聞きたいんだけど、普段の陽菜ちゃんってどうしてるの?』
『普段ですか?』
『ええ。陽菜ちゃんといえば、やっぱり日本の化け物退治の代表でしょう?配信時以外のことも気になると思うの』
確かに、お姉ちゃんの動画は数多くの人を救い、そして一人の化け物に対する戦力をあげている。化け物一体一体の弱点、倒し方を明確にして、戦いに向かない能力を持っている人ですら、化け物を倒せるようにしているのだ。
それ故に、尊敬されることも多く、そして、無謀にも挑戦し、家族を失った者から恨まれている。本当に意味が分からない。とまあ、それは今考えることではないか。
『そうですね。お姉ちゃんはちょっと抜けてるところがある、ふ・つ・うの高校生です。でも…こうやって世界がおかしくなってから、お姉ちゃんはずっとずっと頑張ってて…。すごく心配なんです』
こうでも言えば、お姉ちゃんに対する期待が少しは減らないかな…あとアンチ。そもそも、お姉ちゃんはいつも命がけで頑張っているんだから…ってああ。ダメだ。すぐにこうなっちゃう。
『ふーん。ってあ、見えてきたわね』
サイコミールさんがそういうように、またもや独特な建物が見えてきた。いや、独特とは言うが、多分アレはツリーハウスの一種だろう。素材が違いすぎるだけで、かなり別物に見えた。
そこでは、少なくとも好意的に見ることのできないゴブリン達がのどかに暮らしていて―――。
『ごめんなさい。サイコミールさん。先に行きます』
『えっ??ちょっと!!』
静止の声を無視して、私は駆け抜ける。ゴブリンの村には、ざまざまな服装のゴブリンがそれぞれの生活を営んでいる。そんな街から横に逸れ、薄暗い森の
「…ご無事でなによりです。剣さん」
「ん?おーお嬢ちゃんかぁ」
刀を担ぎ、薄暗い小道に立った剣さんの眼の前には、倒れ伏すゴブリンがいた。その周囲には、別のゴブリンが武装して、立ち向かっていた。
「ちょっと待ってな。後もうちょいやから…!」
そうして剣さんはその刀を振り降ろした。
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「ねえねえ、恵遅くない?」
「そうですね〜。多分サイコミールさんのところでお茶してるんじゃないですかね〜」
「そっかぁ…寂しい(´・ω・`)」
「お菓子食べますか〜?」
「いいの?ありがとう」
「あ〜ん〜」
「おいしい」