『はーい!皆さんこんばんわ〜。今日からはまた配信をしっかりと続けていきますよ!今回は前回とは違い、きっちりと倒し方を見つけてきました!というわけで、まずは図をどうぞ!』
制作時間1分の雑な絵を見せる。しかし今回は結構理解しやすい。それもそのはず。今回の敵は、本である。
『皆さん、見えますか?こんな感じで、今回の敵は空飛ぶ本です!
ちょっと恥ずかしくなり赤くなった顔を隠すように、声を大きくして戦いに行く。この空飛ぶ本は、正直な話厄介ではあるが、単体で負けることはかなり少ないと思う。
『いました!あれですね。あの、バサバサと羽ばたいてる分厚い本が、今回の化け物です。目とかそういうのは一切なく、本当にただの本です。では、行きましょう!』
固定カメラに映るように、空飛ぶ本を相手する。空を飛ぶ分厄介ではあるのだが、こいつらの攻撃は魔法とかそういうのではなく、
『はい。こんな感じでこの本達は紙を飛ばしてきます。切れ味はまあいいんですけど、言っても皮膚を少し切るくらい。痛いですけど、我慢出来ないほどではないです。避けるとするなら、この攻撃は向きが固定で、しかも発動前に光るので、それを目安にしていきましょう。あっ!この本のページは戻るので、それにも気をつけてください!』
ちゃんとカメラから外れるように誘導して、空飛ぶ本の攻撃を見る。その間に、倒す準備だ。
『でも、見ている人はこう思ったんじゃないかな?空飛ばれてたからどうしようもないじゃん!ってね。安心してください。ちゃんと対策は見つけてきました!』
そう言いながら、一度地面に刺さった紙を手に取った。マッチを擦り、紙に近づける。
『じゃあ、これに火をつけましょう』
そして、手放す。その他のページとともに火の付いたページも本体へ戻り、空飛ぶ本は完全に燃え尽きた。
『…まあ、こういう感じです。一応、それ以外にも方法はあります。やってみますね』
新たな空飛ぶ本を見つけると、また、同じように攻撃を誘導して、落ちている紙を手に取った。
『この紙も、当然これまで同様戻ろうとします。なので、それを出来なくさせてあげましょう』
地面に置いて、踏みつける。こうするだけで、
『はい。ページが戻らないなら、自ら行こうと空飛ぶ本は近寄ってくれます。近寄れば近寄るほど引き寄せる力は強くなり、もうここまで来たなら…』
私の足をスルッと抜けて、紙が元の場所へ戻る。その本の上から、ナイフで貫くと、ぼとりと魔石となった。
『ここまでくれば、手も届くので関係ないですね。うーん、倒すのはかなり楽なんじゃないかな、と思います』
これで、ひとまず、単体の説明は終わり。再び、さっきの絵を取り出した。追加で、オークやスケルトン、オーガなど、別の化け物の絵も取り出す。
『ここで配信を見るのをやめないで!まだ、最も大切な事が残っているんです』
今回の空飛ぶ本。単体のスペックはかなり低い。正直、小さな子供でも、痛みに耐えられたら逃げることは可能だと思う。しかし、
仲間と共に行動するとき、厄介さは段違いで跳ね上がる。
『こんな感じで、空飛ぶ本は、オークやスケルトン等と戦っているときに、よく出現します。それが、すっごくだるいです。一応こんな感じ…と図で説明してますけど、見てみたほうが早いかなとは思います。というわけで、視点移しますね』
髪飾りのカメラに視点を移し、また、新たな化け物を探す。道中の化け物は、配信中だからと無視せずに、きっちりと倒す。オーガは、大きめのゴブリンの魔石を前回のイベントで大量に手に入れたので、質量作戦でどうにかした。
『あっ、いました。ただのオークの群れですが、そこに空飛ぶ本が加わればどうなるのか、よく見てみてください』
オーク達の前に立つと、オークの叫びに呼応して、空飛ぶ本が近寄ってきた。
オークに近寄ろうとすると、紙が、視界を遮った。
『はい、まずはこんな感じで、これが紙だからというのも相まって、視界をめちゃくちゃ邪魔します』
まあ、それだけなら要注意で済む。サイドステップすれば済む話…とはいかないのだ。
空飛ぶ本はふよふよと地面へと近付き、
『こんな感じで、本は、化け物の頭に引っ付いて、攻撃をしてきます。しかも、化け物の首の回転によって、照準が動くことになっちゃうのです』
こうすることで、オークがこちらを向くだけで大量の紙が視界を覆い尽くす。そして、オークが接近すればするほどその頻度は跳ね上がる。
『もしこうなってしまったら、無理せず逃げてください。それが難しい、あるいは出来ない場合…魔石を上手く利用しましょう』
適当にオークの死体を出して、紙への肉壁として働かせる。もちろん、オークが近寄ってくればそれは跳ね除けられるのだけれど、そこまで近づいて貰えれば大チャンスだ。
『このとき、出来れば質量のある武器で、遠心力を活かしましょう』
オークの足音に合わせて、ブラックジャックを振るう。大量の紙に無意識的に体が後ろに下がってしまいそうになるけど、ブラックジャックは止まらないのだ。
ブチっと、オーク諸共潰された。
一度、安全な場所まで行き、締めに入る。
『今回の化け物は、比較的、単体では弱いです。でも、いわゆる、化け物の武器としての役割を持ってしまい、それを持った化け物には、中々に勝つのが難しいです。倒すときには、絶対に、遮蔽物は必要です』
『また、細かくても、ちゃんと痛いです。犠牲ありきはやめて、なるべく火で倒すのが安全かなと思います。それに、何より…
今回で、これまで以上に外が危なくなりました。窓も絶対に閉めましょう。…いいでしょうか。それでは!今回の配信は終わります!おいおい動画にもするので、是非、見てくださいね!』
「んっ!疲れた〜!」
久しぶりの配信は、中々に羞恥に来るものがあった。それに、ちょっと緊張しちゃって変なことを口走ってしまった。
「あ、そういえば、コメント見れるんだっけ…」
新たなカメラに新調したおかげで、今でも、コメントが見れる。
ちょっと怖いけど、恐る恐る、反省会も兼ねて見てみることにした。
【空飛ぶっく厄介!】
【空飛ぶっくやばっ!】
【空飛ぶっく怖い!】
【空飛ぶっくの対策が急務…しかし、火でなんとかなるなら希望はあるか…?】
( ゚д゚)
「うぅ…」
「お、お姉ちゃん!大丈夫だよ!皆今だけだって!」
ご飯もお風呂も後回しにして、眠れるときが来るまで頭を抱え続けたのだった。