「じゃあ、お姉ちゃん。おやすみなさい」
「おやすみぃぃぃ…( ˘ω˘)スヤァ」
よし。寝付いた。まずは、お姉ちゃんの配信から要点をまとめて、動画にしないといけない。三春はまだ爆睡中。集中出来る。
カタ…
「っ!」
……体が当たっただけ。うん。決して、幽霊なんてものはいない。そう。いない。
「はぁー。ふぅー。よし」
動画編集は後。まずは、今回の現象について、徹底的に調べ上げよう。私が気になった、既に故人となったカトレアと、お姉ちゃんが今日会った、カトレアという子。その二人は、たまたま同じ名前で、たまたまどっちもお姉ちゃんのファンというだけなのか、それか、彼女達は同一人物なのか。それに加えて、あの、言語の話も気になった。
お姉ちゃんの話を聞く限り、私の思うカトレアとの共通点は名前と、お姉ちゃんのファンであることのみ。なんなら、私が知っている方のカトレアは死んでいる。だけど、物凄く気になってしまったのだ。
まず、真っ先に疑うべきは、彼女が死んだことが本当なのかどうか。…これは、正しいかな。情報源がその国の警察機関で、また、彼女はその国内では尊敬されていたから、大々的なニュースとなった模様だ。
容姿、分かるね。家族構成、いける。名前、ちゃんと分かる。そして能力。これは、彼女ではない第三者の投稿を見るに、ほぼ間違いなく接続だ。…可能性は低いけど、ゴブリンの攻撃に対して、カトレアは顔を強くしかめているのに対し、お姉ちゃんはいった…くらいで済ませているから、痛みが違うのかもしれない。
「でも、容姿がわかるならいけそう。えっと、配信アーカイブっと」
高台に登り、お姉ちゃんが辺りを見回した瞬間、
「あった…」
一瞬しか見えないけど、髪色と髪型だけは辛うじてわかった。水色の髪に、お団子が2つ、上の方に作られている。ああ…うん。
取り敢えず、もうこれは同一人物と考えてもいいかな。確証を得たいのであれば、お姉ちゃんに海外の方のカトレアの動画や写真を見せれば済む話。今は寝ているから、起きてから。
で、本当にカトレアという少女が生き返ったとして、その原因となるものは…不明。
少なくとも、今の状態において、死体を操るとかのネクロマンサー系の能力は確認されていない。…多分これは、倫理的にアウトな面と、宗教的な面が絡む可能性はあるから、隠しているだけという線もあるだろう。
とはいえ、それだけでは説明できないのは、お姉ちゃんとカトレアとの会話における違和感。お姉ちゃんのファンだから、カトレアが多少の日本語がわかるかもというのはある。
でも、お姉ちゃんの英語のリスニングは結構ひどい。カトレアが聞き取りやすく話していたとしても、全部は聞き取れないんじゃないだろうか。それに、
だから、結局はやっぱり、能力かなんかによるものなんじゃないかと思ったりする。そして、カトレアの発言的に、そのことを、カトレアはわかっているし、
「…死者蘇生」
様々な言語で、それに近しい言葉を検索にかける。…良さげな記事や投稿は見られない。
「なら、言語、能力」
見つかったのは、一本の動画。日付は、昨日。再生する。
「…うわ」
凄い。全く持って知らない言語が、するりと脳内に、意味を持って侵入してくる。なんというか、ちょっと気持ちが悪い。
でも、これで分かった。おそらく、この動画の人物と、カトレアは確実に何かの共通点がある。そして、この二人の出現場所は離れているから、同じような人が、世界中に現れても不思議じゃない。
で、こういうことができるのは、やっぱり、あの存在しかあり得ない。
「また、新たなイベント…?」
まだゴブリンのイベントが終わったばっかりである。でも、イベントは一回のみなんて事はないだろうから、確実に次もある。そして、これは…準備、いや、予兆?
「やっぱり、お姉ちゃんに聞くしかないか」
なんの因果か、お姉ちゃんはカトレアの連絡先も知っていて、声も、容姿も、会う手段すら持っている。お姉ちゃんを通せば、彼女が同一人物かどうか、能力は何なのか、さっきの人物との共通点等、いろんなことを知れる。
…あー。やっぱり、お姉ちゃんに聞くのを最初にすべきだった。時間の無駄だったな。いや、でも、幽霊じゃなさそうというのが分かっただけでもいいや。これで、動画編集に集中できる。
頭を切り替えて、要点とかをまとめ始める。字幕をつけて、無駄な部分は省いて…。あ、そういえば、電気とかどうなったのかな?
検索してみると、自衛隊の方でダークナイトに対する検証があがっている。どうやら、スタンガン等の電気も効いたらしい。あ、でも流石に、スライムは試していないそうだ。
まあ、電気が効くというのはかなりいい情報だから、注釈を入れて…っと。
「恵ちゃん〜おはよ〜」
眠そうに目を擦りながら、三春が起きてきた。切り上げて、ご飯の用意しないと。
「おはよ。三春。ご飯何がいい?」
「パン〜」
「はーい」
そのまま、三春がニュースをつける。
『――のニュースです。世界中で、謎の現象が相次いでいます』
「え?」
テレビには、先程と同じく、知らない言語なのに、するりと脳内に意味を持って侵入してくる言葉を話す人がいた。そして、そのような人達の出現地域を世界地図に点で表している。
大量の誤字報告ありがとうございますm(_ _)m