変わる世界で配信中   作:ありくい

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最悪の推測

「お姉ちゃん!!」

 

目が覚めてリビングに行くと恵が飛びつかんばかりに寄ってきた。

 

「何々!?どうしたの!?」

 

「見て!」

 

バッ!と私に見せつけてきたのは、水色の髪の女の子。2つのお団子が上の方に作られていてとっても可愛らしい。というか…

 

「カトレアちゃん?」

 

「ほんとに?ぜっったいに見間違いじゃないよね!!!!」

 

「え、うん」

 

「ありがとう!」

 

突然どうしたのだろう。恵の焦り用が凄まじい。知りたいことはそれだけだったのか、ドタバタと持ち場に戻っては、パソコンを叩き始めた。傍らでは三春ちゃんがふわ〜としている。

 

取り敢えず、三春ちゃんにちょいちょいと手招きして、原因を探る。

 

「えっと〜よくわかんないですけど〜、このニュースが原因ですかね〜」

 

スマホを通じて、三春ちゃんはニュースを見せてくれた。内容は不思議な言葉を話す人達の特集。ニュース内で再生された音声では、言語は全く知らないけれど、意味が理解出来る。あのカトレアちゃんと全く同じだった。

 

「…不思議だね」

 

「不思議ですね〜」

 

昨日までは、カトレアちゃんが能力を隠していただけだと思っていたけれど、そうじゃないみたいだ。でもそれなら、原因となるのは、かなり限られてくるだろう。まあまず間違いなく、あの、声の主だと思う。

 

「…ああ、恵は次のイベントの予兆だと思っているのかな?」

 

「う〜ん。そうなんですかね〜?」

 

それなら、辻褄は合うし、恵の焦りようは理解できた。ゴブリンの例を見るに、イベントは絶対に被害が出る。完璧に予測できれば被害は減るだろう。まあ、少しでもズレがあれば、逆効果なこともあるけど。

 

とはいえ、

 

「恵。ちょっといいかな?」

 

「ちょっっっと待って。私もお姉ちゃんにお願いしたいことがあるんだけど、これだけまとめさせて!」

 

「はいはい」

 

多分、既に用意されていたのであろう朝ごはんを三春ちゃんが持ってきてくれたので、それを食べながらのんびりと待つ。食べながらも恵を見るけど、全然終わる気配がない。

 

「あ、そうだ。三春ちゃんも手伝って〜」

 

「はい〜。私も心配ですから〜」

 

そのまま、恵が調べているであろう範囲を避けながらニュースや記事を確認していると、ふらりと恵が立ち上がった。

 

「お姉ちゃん…!カトレアの連絡先を教えて!」

 

「…それは、調査に必要なんだよね?」

 

「うん」

 

「それって、今じゃないとだめ?」

 

「だめ!…じゃないけど、はやくしたいな。確証が生まれれば、一気に仮説が進むし」

 

「わかったわかった。じゃあさ、」

 

「わ」

 

言葉を切って、ふらつく恵の手を引いた。そのまま、倒れるように飛び込んでくる恵を受け止める。

 

「恵、ちゃんと寝た?寝てないでしょ?隈もすっごいし」

 

「…そうだけど、もし、最悪の想定通りに進むなら、軽く見積もっても被害が跳ね上がる」

 

んー、思ったより深刻っぽいなぁ。でも、

 

「なら、なおさら自分を追い詰めながら考えるのは良くないよ。視野がすっごく狭くなるし、休もう?ほら、ベッド行こう?」

 

しばらく、何かを考えていたようだが、観念したかのように力が抜けて、完全に私に体を預けてきた。

 

「ふふふ。偉いよ〜」

 

そうして、ゆっくりと恵を部屋のベッドで寝かして、寝息をたてたのを確認してからリビングに戻った。

 

「どうでした〜?」

 

「可愛かった。久しぶりに恵の写真フォルダが潤ったよ」

 

「私にも見せてくださいね〜」

 

あははと笑いながら、恵がまとめていたページを確認した。ニュースで取り上げられていた資料も軽く纏めてあるけど、それよりも大部分を締めていたのは、別の視点だった。

 

「これまでの犠牲者…?」

 

そこには、名前がわかるものにはびっしりと、そして、顔写真もついている。また、能力を使っていた痕跡がある者。中でも、ヒーローと呼ばれるほどに活躍したものの命を落とした者はこれ以上ないほどに強調されていた。

 

「どう思う?」

 

「ん〜。恵ちゃんのことですから〜、関連付けてるんでしょうけど〜?」

 

そうして、ページをスクロールしていくと、時折、変なマークがついている人がいた。それ単体の人もいれば、活躍した人プラスでそのマークがついていることもある。そして、そのマークの横には、必ず日付がついている。

 

「このマーク…ん?え、ちょ、まって」

 

「はい〜」

 

ついさっき、恵に念押しされたカトレアちゃんの写真があった。そして、その日付は、今日ではなくもっと前。ちょうど、ゴブリンイベントの時あたりだ。

 

「な、なるほどね~」

 

じわりと、背中を汗が伝うような感覚が走った。

 

「どうかしたんですか〜?」

 

「あ、うん。えっと」

 

気付きと推測を三春ちゃんと共有する。話を聞き終わり、顔を引き締めながらものんびりとした口調を崩さずに話す。

 

「えっと〜、もしかしてさっきの恵ちゃんの最悪の想定って〜」

 

更にスクロールすれば、恵の推測がメモされていた。その一つが、やけに目にとまる。

 

「死者が敵になるってことなんですかね〜?」

 

「…カトレアちゃんとか、現状確認出来る動画的にそれはなさそうだけど…ね」

 

今のところ、そのような事を仄めかす人はいない。なんなら、カトレアちゃんに至っては私に対して友好的だ。

 

だからどうか、そうなりませんように。

 

 




感想とか、とても嬉しいです!ありがとうございます!でも、しばらく投稿頻度は落ちるかもです…
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