「…お姉ちゃん。取り敢えず寝よっか。私も寝たい」
「いいの?」
「うん。どうせ期間は一週間あるわけだし、焦らなくてもいいよ。それに、多分今回は面倒なことになると思うし、世論も、もうちょい落ち着いてから見たいかな」
心配そうにしているお姉ちゃんを押して、部屋に向かう。
「一緒に寝る?」
首を傾げながら尋ねられたので、少し悩んだ末に了承した。さっき軽く書き置きも書いたし、もし三春が早起きしても多分起こしに来ないだろう。
「お姉ちゃん。どう思った?」
眠るまでのつなぎに、ふと、お姉ちゃんに尋ねてみた。
「それは、カトレアちゃん?次のイベント?」
「えっと、どっちもだけど、先にイベントについて聞きたいな」
「あー、そうだなぁ…」
しばらくの沈黙の後、お姉ちゃんはゆっくりと口を開いた。
「残酷だと思うなぁ」
「…それって、敵になっちゃうから?」
「うん、そうだね。でも、それだけじゃなくて、例えばの話だけど、もし私が死んじゃったら、こうやって敵になったとしても、恵と一緒にいたいなって思う。そういう人って、今生きている人にも、死んでいる人にも、いっぱいいると思うんだ。大切な人を失った人なんていくらでもいるだろうし」
少し声のトーンが落ちた。
「そうなったら、結局のところ生きている人も死んでいる人も関係なくなると思わない?二つか三つか、それがどれだけ増えるかわからないけど、沢山分かれて、大切な人を守るために、助け合ってきた仲間に刃を向けるんだよ?私は嫌だなぁ」
「そっか。じゃあカトレアさんは?」
お姉ちゃんはあくびをして目を瞑り、眠そうな声で呟いた。
「えっとねぇー。気にしなくてもいいんじゃないかな?」
「え?」
なぜ。お姉ちゃんは勝負を吹っかけられている当人な筈なのに。
「だって、あの子は絶対にいい子だよ」
「いや、それはまあ、分からなくもないけど…」
一応少しだけだけど話したわけだから、人柄が悪そうには感じなかった。それでも、そんなものいくらでも取り繕えそうだ。
「しかも、死ぬ前はヒーローだったし、
「じゃあもし、イベントが対人戦だったら?」
「んー…私の能力って、何かが強くなるわけじゃないから、複数人で囲ったら何も出来なくなるよ。この前なんて木が倒れてきただけで身動きが取れなくなったし」
そうなのかな…?
「はいはいおしまい。じゃあ寝よう。おやすみなさい」
「あっ、おやすみなさい」
…色々とお話したけど、そっか。生きている人が寝返る可能性というのがあるのか。気付けなかった。まあそれなら、なおさら死者を、それに追加で、今名前をあげている人も再度情報を集める必要がありそうだ。
味方に来てくれれば最大限活かせるように。敵になれば有効的な対策をうてるように、ちゃんと考えよう。
…それと、お姉ちゃんの考えって楽観的なのかな。それとも、私の考えが悲観的過ぎるのかな。まあ、どっちがいいなんて分からないし、何にせよ、必要になればお姉ちゃんをサポートできればいいや。
すーすーと寝息をたてるお姉ちゃんを見て、私も考えるのをやめて目を閉じた。
いや、どうせなら抱き着こうかな…。
う〜ん…
「…ふわぁ〜。おはようございます〜」
「ってあれ〜?誰もいない〜?」
「ん〜。恵ちゃんいないのかな〜?もしかしてお出かけ〜?って、何あれ〜」
「ええっとなになに〜?『お姉ちゃんと寝る。起こさないで。後、朝ご飯は自分で作って』」
「…もう一回寝ますか〜!」
三春は、布団に戻って四度寝した。