「ど、どういう意味…?」
私は、恵には大体話しきったはずだ。確かにちょっとややこしいけど、意味がわからないなんて言われる程だっけ…?
「ああ、違うよお姉ちゃん。お姉ちゃんの説明が足りなかった訳じゃなくて、お姉ちゃんがいざ誰かと戦う時に、検証が足りないって思ったの」
恵は、そう言いながら、紙を取り出した。ペンを持ち、メモしながら話し始めた。
「まず、お姉ちゃんの能力、
「うん。でも、痛みはくるけどね」
「あ、それ本当に気になってたんだけど、その痛みってどういう感じなの?えっと、例えば私に接続を繋げたとするじゃん。これで、お姉ちゃんをつねると?」
「痛いけど、皮膚が赤くなったりはしないね。あと、痛みを引きずることはないかな。サッとなくなる」
「ふんふん」
サラサラっと紙にペンをすべらせる。
「じゃあ、私をつねると?」
「えっとね、つねられたって感じはしないんだけど、皮膚は赤くなるし、ジンジンするかな。こう、じわぁ〜って」
「はいはいなるほどね。オッケー」
それを書き取り終わると、今度は洗濯バサミを用意した。そしてそれを、指先に挟む。
「…何してるの?」
「まあ良いから良いから。お姉ちゃん。私に接続してみてよ」
「え、あ、うん」
取り敢えず、言われたとおりに恵に接続した。
「あっ!痛い痛い痛い!」
「えっ、それほど!?」
恵の驚いたような声に、一旦冷静になる。
「あ、いや、洗濯バサミで挟まれてる痛みだね。これ」
「あ、そうだよね。…まあそっか、お姉ちゃんからしたらこの洗濯バサミの感覚がないから、突然ぎゅ〜!って痛くなっているんだよね。そりゃ驚くよ。でももうちょい我慢して。三春!」
「え〜?私〜?いまから寝ようと思ってたんですけど〜」
(・∀・)ジーッ
「…そんな目で見ないで〜恵ちゃん〜」
肩を落としながら、三春さんは立ち上がった。
「三春から見て、今のお姉ちゃんってどういう感じ?怪我とかしている扱いなの?」
「え〜そうだね〜」
顎に手を当てながら、眉をひそめる。
( ・ิω・ิ)フム~
多分、三春さんの能力の都合上わかるのだろう。
「特には〜、怪我とかではないですね〜」
「おっけ、ありがとう」
そうして洗濯バサミを外して、メモ。今度は私の手に洗濯バサミをつけた。
「どう?」
「一瞬だけ痛いな」
「そっか。なら、挟まれてるって感じはする?」
「するよ。でも、不思議な感じだね。痛みとかはないかな」
「はいはい」
満足したのか、恵は洗濯バサミを外した。そしてメモ。更にはハサミを取り出した。
「待って、なにするの?」
即座に手を出せるようにする。私ならいいけど、恵のすべすべなお肌に傷なんてつけるわけにはいかない。
「え?髪を切るだけだよ。一本だけ、いいかな?」
そうして、シュバッと背後に回られる。
「いいけど、なんで?」
「知りたいことがあるんだよねぇ。あ、でも、接続は切らないで」
「ん、わかった」
そして、後ろでチョキッと音がした。
「あっ」
さらに、チョキッ、チョキッと音がする。
「え?え?え?」
「…うん!これで実験できそう!」
目を白黒させていると、突然、恵が喜びだした。その様子を見兼ねてか、三春さんが声を上げた。
「今のは〜、恵ちゃんが陽菜さんの髪を切ったんです〜。ちゃんと刃が通ったのに切れてなかったので〜、多分〜、能力の範囲内だとわかって〜、陽菜さんを傷付けずに済んで喜んだんじゃないんでしょうか〜」
「あっ、ごめんねお姉ちゃん。三春が言ったとおりだよ」
「な、なるほどね」
良かった。そういうことなら安心だ。…それに、今は邪魔だからまとめてるけど、せっかく伸ばした髪を切るのは勿体ないしね。
「…ちょっとだけ頭抑えるね」
ガシッともたれ掛かられ、恵を全身で感じ…ちょっと気持ち悪いや。変なことを考えるのはやめよう。
「…………よしっ!」
ちょっとだけ髪にチクッとした痛みを感じたな〜と思っていると、恵の口から喜びの声が出た。
「いや〜、良かった!!えっとねえっとね!絶対にちゃんと聞いてほしいんだけど!!!」
食い気味に恵は図を書きながら私に説明し始める。
「まずね!私が気になってたのは、接続している状態で体のどこかを切られたとして、その一部がそのまま刺さってたりしたらどうなるのかなってところなの!もし、刃物の一部が残ってたらその部位は怪我しちゃうなら、刃物を振り抜かず指したままにすればお姉ちゃんでも傷つけられるってことになっちゃうからね!」
…なーる。確かに考えたことがなかった。確かに、もしそうなるなら、私の体を押し潰すぐらいの重さの奴に挟まれれば死ぬことになる。
いつぞやのオーガの時みたいに、木の下敷きになったりとかがこれからもないとは限らないもんね。
「でね!もうわかってると思うけど、大丈夫だったの!何回も髪の断面に刃を止めたまま引っ張ってみたけど、ちぎれなかったし!ほんとに良かった!」
「そっかぁ。ありがとうね。恵。私も考えたことなかったけど、この能力、こんな感じだったんだね」
「えへへ~。あ、まだ終わってないよ!えっと、今度は私じゃなくて三春に接続して!」
「え〜?私〜?」
「あ、じゃあ、ちょっとだけ失礼するね」
そうして、接続すると、恵に合図を送った。
「うん!準備万端だね!じゃあ失礼!!!」
恵は、物凄い自然な動作で三春さんに触れた。目を閉じて、崩れ落ちる。
「( ˘ω˘)スヤァ」
「どう?お姉ちゃん。眠い?」
「( ˘ω˘)スヤァ」
「あっ、なるほどね。これは要注意だね…」
さらさらとメモをして、
「あ、いつか、三春の回復も試さないと…取り敢えず、二人をちゃんとした姿勢で寝かそう」
そうして、ソファーに眠るお姉ちゃんと床に眠る三春を見ながら、晩ごはんをつくり始めた。