嘘でしょ?非常識すぎるって!この前の私を燃やした人と同じかそれ以上だよ!
『カブトムシっ!』
採ったばかりの魔石を使って、縦にする。このカブトムシの外骨格はちゃんと硬いし、デカいし、重量もまあまああるので悪くないはずだ。
「無駄ぁ!」
『ぐぇ』
吹き飛ばされはしないが、それでも衝撃が腹部にはしる。威力たっか…!
「まだ終わらんぞ!」
『もー!!、見てる皆!通報よろしく!』
「舐めた真似を!」
激昂した相手の攻撃を、何もせずに受ける。カブトムシ越しに感じただけあって、馬鹿みたいな威力の攻撃は、私を大きく弾き飛ばした。
胴体消えたと錯覚するぐらいには痛いけど、まだ大丈夫。すぐに立ち上がって、逃げ出す。
『ちょっと逃げるね!酔うかもだから、閉じてもいいよ!』
「まぁぁてぇぇぇ!!!」
逃げれそうな場所…山、かな。ここの畑は山沿いにあるから、そっちに逃げるのが一番良さそう。遭難しないように、深入りは厳禁だけど。
『山に入ります!…足おっもい』
今になってか、疲労が溜まってきて足が痛い。とはいえ、変な人はそうでもないみたいで、
「逃がすかァァァ!!」
『オーク!オーガ!ダークナイト!』
体大きめの化け物の死体を木に引っ掛けて即席の壁にする。撒けばいい。変なことは考えなくてもいいんだ。
『はぁ、はぁ…。この山斜面きついよぉ』
必死で登っていると、そこそこ後ろの方から重いものが砕けた音がした。お、なんか律儀に砕くまで攻撃してたらしい。
死体とはいえ、オーガとダークナイトを砕いたっぽいのは戦慄してしまうが、迂回という選択肢を取らないタイプなのはわかった。
『出来たらもっと奥に走りたいけど、これ以上行くのは…』
正直、月明かりも入らないから完全な闇だ。いや、ライトはあるけど今はバレないように切ってるし…。
いや、よくよく考えたらこの暗闇で山なんだからバレるわけなくない?あ、でもカメラ光っちゃう。なら髪飾り型カメラを取ってポケットに入れればヨシ!
「どこだぁ!!」
案の定、さっきまでの爆速の鬼ごっこはなくなり、向こうはガサガサと周囲の様子を気にすることなく私を探し、歩き回っている。
「はやくっ!でてこいっ!逃げるな!俺と勝負しろ!」
ガサガサと、物音が増えた。
(あ、これはやばい?)
当然ながら、化け物共は私達を殺しに来ているのだから、人の声に反応して近付いてくる。それより優先事項があればそっちを優先するだろうけど、こんな山奥で、そんなものがあるわけがない。
はじめに、それぞれ複数体ずつ、スケルトン、オーク、化けガエルが集まり、群をなして襲い掛かる。
「邪魔者はさっさとしねぇい!!」
変な人は回し蹴りを繰り出して、ヒットした化け物は、爆発が起きたかのように弾けとんだ。
(なにあれ!?あの人の能力!?)
「グオオオオオ!!!」
「オーガか!はじめてお相手する!」
遅れて、オーガが現れる。その大きな図体に容赦なく変な人は蹴りを叩き込む。しかし、流石はオーガと言うべきか、少し傷がついただけで怯む様子を見せない。そしてすぐに、その棍棒を振り回した。
「なんという硬さ!であれば、こちらも本気を出そう!」
棍棒を避けて距離を取り、そして、瞬きの合間に、変な人の足に、膝からスネまでを覆う鉄のプレートがつけられていた。
「覚悟ぉ!」
瞬間、さっきのより鈍く、素早い攻撃が、爆音とともにオーガを襲った。それを腹部で受け、超頑丈なオーガの腹筋も、半分ほど凹んでしまう。
「2. 3. 4!!!」
そこへ何度も追撃を繰り返して、ついに、オーガの顔が地面についた。
「ふむ。さてと、…!!明かり見つけたり!」
『え!?』
明かり!?そんなのほんとにどこにもないはず!!ってあれ?え?何あれ?
変な人は、私を普通に通り過ぎて、白く、発行している場所へ一直線に向かう。
『あれは―――接続』
羽音と、空気を大きく切るような音。そして、変な人が吹き飛ばされていった。
えーと、間に合った?間に合ったかな?多分血が吹き出てないからいけたはず。ただ、もし気絶しちゃってたら接続がきれちゃうから落下のダメージは防げない。応急処置のことも含めて急いで駆け付けないと。
ただ、カブトムシに見つかったらマズいから、それは気づかれないようにしないと…。
そーっと、そーっと…
『大丈夫ですか?』
なんとか近付けたので、ひとまず声をかけてみる。症状の悪化を防ぐためにも、接続はしたままだ。こういう使い方をすれば、自らへの攻撃に気をつければ人を助けられるのはいい。
「う、うぅ…」
『あ、痛いところありますか?』
「お前は…」
『あ、静かにしてもらえますか?静かにしないとカブトムシ来ちゃいますよ?』
「あ、す、すまない」
そうして、突然パッと目を見開いて。
「じゃない!!!」
『わぁ!?』
「なんのつもりだ!!というかなにをした!!何故俺は生きている???何故お前は俺を助けようとしてるんだ!!」
『ちょ、静かに』
バキっ
「ん?」
『あ』
バキっ
「なんだ?」
『急いで逃げますよ!!!』
ブウウウウウンンンン!!!
じゅんぱくのかぶとむしが、おそいかかってきた!!!