陰の実力者ってこれでいいのか?   作:ソフトクリーム

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黒茶色エルフが連れていかれた

「腐敗を治した少年を捕獲したら大金が出る。これは誰が彼を探しているのかしらね」

「アルファ様」

「あらベータ。イプシロンはどうかしら」

「順調です。無事課題を達成しています。もしかしたらアルファ様よりも魔力の扱いが上からもしれません」

「あら。本当にそうなら、とても頼もしい限りね。ガンマの方はどうなっているかしら?」

「ある商会に話をしたところ、課題を出され、その課題を取り組んでいるところのようです。あの様子なら心配ないかと思われます」

「そう。デルタは?」

「デルタは周辺の縄張りは全て自分の物にしたと言っていました。ただ1つ気になることを言っていました。なんでも雌猫がいるとか」

「雌猫?」

「泥棒猫とも言っていましたね。自分に挑発をしてきた奴がいるから、そいつを探しに行くと本人は言っていました」

「分かったわ。そこはデルタに任せましょう」

「よろしいのですか?」

「えぇ。他に報告は?」

「シャドウ様は最近あるエルフと話をしているそうです。なんでもこのエルフは、非常に高い技術と知恵を持っているそうです」

「彼から接したの?」

「シャドウ様がエルフのご両親と接触した後に、何度か手紙を送り続け、直接話したそうです。手紙の内容は、場所と時間が書かれていて、そこにいるから良かったら来てという内容でした」

「なるほど。よく見えたわね」

「シャドウ様とアルファ様に鍛えられましたから」

「その子は?」

「はい。おそらく我々と同じかと」

「じゃあ回収しましょう。準備するわよ」

「はい!」

 

 

 

 

 

 

「ここを…ん。でも…音…うるさい。材料…足りない…彼…頼る?」

 

そこはある研究室で試験管を持ちながら悩んでいる黒茶色のエルフがいた。彼女の目元に隈が出来ており、徹夜をしていることが分かる。部屋の前には机が置かれており、そこにはラッピングされた食事があった。しかし彼女は手を付けることに無く、机の上にある紙の計算式や本を散らかしていた。

 

今研究しているのは自分のではなく、両親が昔から取り組んでいた腐敗を止める研究だ。もし本当に腐敗を止めることが出来る研究が出来れば、それを売り出して大量の資金を得ることができる。そうなれば、もっと沢山実験が出来る。そういう理由で、彼女は研究を手伝っていた。

 

彼女は非常に賢く、腐敗解呪の方法を思いついているが、それを具体的に形にするのに四苦八苦していた。それで何か他にアプローチは無いかと考えていると、ある日両親から手紙を貰う。その手紙は、彼女が以前書いた論文に関する意見が書かれていた。普段ならそんなものはすぐに捨てるのだが、何故か今回に限ってはやけにそれが気になった。

 

手紙を受け取り、内容を確認する。書かれていた内容は、彼女が思いつきもしなかった発想の数々。しかもここはこういう理由で良かった、ここはこういう理由で違うとかなり詳しく書いてあった。この書き方は、ただ本で知った内容を丸写ししたり、少し言葉を変えた程度では書けない。沢山の知識と経験、それからこちらの意図を把握した上で書かれている。

 

彼女が今までの人生で、寝る暇も食事も誰かと交流することも出来る限り減らし、研究に当てていたからこそ感じ取れたものだった。読み終えると、気が付いたら紙とペンを取り出し、文字を書いていく。それを両親に渡す。

 

これを相手に渡して

 

もしかしたら両親の研究、なにより私の研究に役立つかもしれない。それなら逃がしちゃだめだ。だけど、実は相手ではなく、他の人が代筆している可能性も無いわけじゃない。両親は学会でも有名な方ではあるから、地位や名誉のためにそういったことをしてくるかもしれない。だから、何十回か手紙を渡すことにした。

 

もし相手が本当に有能なら、2人の研究に役立つかもしれないから、かなり本気で相手を見張っていたと思う。両親が言うには、相手に全部その場で手紙を渡して、その場で書かせたらしい。代筆の可能性は限りなく0になったということだ。

 

それから相手と直接会った。男の人間だった。実際に話してみると、彼は本当に有能だ。多分自分より彼の方が研究者として上だろう。人と話すのが億劫だが、彼と話すときはとても楽しかった。最近腐敗を治している少年がいるからそれを捕獲すると賞金が出ると言う話をしてみた。そしたら彼は捕まえたら賞金をこちらにくれると言った。研究者なのにお金にあまり執着しないのかなと思ったら、自分の研究を楽しみにしていると言ってくれた。

 

……初めて研究を楽しみにしてくれると聞こえたかもしれない

 

今までそう言う人は沢山いたが、そのどれもが、金や地位や名誉になるから研究を楽しみにしているという雰囲気があった。事実、全員それが目当てで私に声をかけてきた。両親はそうではないと思うが、あれは自分達の研究に役立つかもしれないから楽しみにしているという意味だ。だから私の研究をそういった理由無しで、純粋に楽しみにしていると聞いた時は、なぜか胸がどきりとした。

 

なんでだろう

 

そんなことを考えながら腐敗止めの研究成果をまとめる。

 

これでいいかな

 

うん出来た。

 

2人に渡す

 

2人は喜んでる 

 

2人は何か話した後に、資料を纏めている。最終調整を終えると、2人は意気揚々に学会に向かった。これから発表するのだろう

 

 

なんか身体が痛い?

 

これは…

 

彼女が痛む場所を見ると身体の一部が腐敗していた

 

治さないと…

 

力はいらない

 

そういえば何日もご飯食べてない

 

徹夜で寝てない

 

痛い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一番高い建物から景色を見渡す僕! 決まったな

 

探し物は高いところから探すのが基本だよね。だから周囲で一番高いところに昇った。やりたいことも終わったし、どうしようかなと思いながら景色を見渡す。なんか向こうで面白そうな感じがするな。ここは陰の実力者の腕の見せどころ。僕は高く飛び上がり、あっちこっちに高速移動しながら、面白そうなところに飛んだ。真っ直ぐ飛ぶだけじゃ芸が無いからね。

 

とうちゃーく! ここはなんかの研究所か

 

あーそういえば、この研究所の名前、あの黒茶色のエルフが言ってた気がするぞ。こういう突撃にも応対してくれるのかな? チャイム鳴らそうかな

 

チャリーン

 

返事がない ただの門のようだ

 

むむっ? 面白そうな匂いが奥からするぞ! これはメインシナリオが進行している感じだ! そろそろ潜らないと陰の実力者ムーブを見せられない。一体あいつは誰なんだ? とか言われたい! よーし、お邪魔しまーす!

 

僕は魔力で大きな輪っかを作り、その中に入ると、門の内側に入ることが出来た。

 

うぉぉ! 僕を呼んでいるのはどこだ! 

 

足音を消して走る僕

 

決まった

 

 

何か声が聞こえる

 

「どこだ!? あれはどこだ!?」

 

何か部屋を漁っている人がいる! なんで!? まぁいいや! 大人しく斬られてくださいよぉ!

 

「ぐああぁ!」

 

動かなくなった

 

さぁ何かイベント起きないか? 一定人数倒したら起きる感じのイベントでしょ? 

 

 

あれぇー? 何も起きない…ふむ?

 

まぁいいか

 

しかし人の部屋を漁るとは何て危ない人なんだ。僕が助けてあげたからね研究所諸君。さてさて戦利品を回収しますよっと。あれ? 論文? しかもいくつもある。

 

内容を見ると、どうやら腐敗者の特徴を探していた報告書のようなものだ。軽く流し見する。どうも腐敗するのは女だけで、エルフ、獣人、人間の順番でなりやすいとのこと。場所は、勇者の血族が確認された場所に集中されている可能性がある。

 

そういえば僕が確認した腐敗者は全員女性だ。しかもエルフがアルファ・ベータ・ガンマ・イプシロンの4人で、獣人がデルタ・ゼータの2人。人間は…見た事が無いような…あぁいや、姉さんがなってた気がする。もう治したけど。ほんとだ、4・2・1だ。でも母数が少ないからなんとも…。

 

それでそれで? 教会が隠蔽? 本当の歴史を誰かが捻じ曲げた?

 

資料を全部読み終えた

 

なんか面白そうな話だね。最初は逃げようと思ったけど、ベータすぐに僕を見つけるんだよね。もう逃げるのは諦めて、いっそ彼女と楽しむのもありだなと僕は考えたのだ。これベータに教えれば良い感じの物語描けるんじゃないかな? これは持って行こう! 

 

次の部屋は…研究大好きエルフおるやん。しかも腐敗が進行しているし、痛そうにしているし、僕が治さないと!

 

エルフは僕に気付くと、助けを求めてきた

 

もちろん! えぇ! 助けますとも! 君の研究はこんなところで終わっていいものじゃないからね!

 

うおぉぉ!

 

はい治った!

 

「大丈夫?」

「ん…まだ痛い感じ…ある」

「時間が経てば収まるから。それよりご両親は?」

「…でかけた…はず」

「自分が腐敗したんだし、両親に告げれば何か研究の足がかりになるかもよ?」

「…多分…それは…ない。腐敗の…真実…気付いた」

「ご両親が?」

「そう…それ…学会…発表…してる頃」

「へぇー! 謎が解けて良かったね!」

「賞金…出る…これで研究…続けられる」

 

何かドタバタと音が聞こえる。ノックも無しで扉が開けられた。そこには知らない人がいた。エルフを見ると、彼女も首を傾げている。なにやら慌てた説明だったが、エルフの両親が亡くなったそうだ。誰かに殺されたらしい。

 

 

エルフはそれを聞いて…あまり驚いていない

 

「それで?」

「娘さんにも話があるそうです」

「…ん」

 

エルフは僕を指さした

 

「え」

「この人が…全部…やる…私は…寝る…zzz」

 

彼は戸惑っている。僕も戸惑っている。なんのこっちゃ

 

というか本当に寝てる 肝が据わってるね~

 

「あなたが代理人ということですか?」

「いいえ」

 

代理人とか嫌な言葉が聞こえた。これはメイン主人公がやる話だろう。僕は陰から見守るよ。

 

「でも彼女が貴方を指名しましたし、ここはっ…!?」

 

グサッ

 

「彼を困らせてはダメでしょう?」

 

男の背後から声が聞こえたかと思えば、貫かれた刃が出てくる。男はそのまま地面に倒れ首を切り離された。長くて綺麗な金髪に青い瞳に整った顔。出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいる身体。そして声を聞いたら10人中20人振り返るくらいに美しい声。ちなみに全員二度見してる。

 

そう、アルファだ

 

「久しぶりねシャドウ」

「久しぶりアルファ。なんでそいつ殺したの?」

「こいつが少し厄介者でね。消しておきたかったのよ」

「ふーん」

「シャドウ。時期にここは火の手が回るわ。すぐに逃げて」

「火の手? なんで?」

「彼女と両親と3人の研究が狙われているからよ」

「アルファ様、資料と道具の回収、全て完了しました」

「ご苦労様イプシロン」

「はい」

「イプシロン?」

「お久しぶりです主様。ピアノの時以来ですね」

 

イプシロンはシャドウの姿を目に移すと、アルファにキリっとしていた態度から一変し、大切な人に出会えたように、軟らかい笑顔を浮かべている

 

「私はイプシロンです。これからよろしくお願いしますシャドウ様」

「そうなんだ! これからよろしくねイプシロン」

「はい!」

「…ごほん。じゃあこの子は回収するわ。じゃあねシャドウ。また会いましょう」

「シャドウ様! 今度は2人でお茶を…」

「イプシロン?」

「はい! 今行きます!」

 

…2人はエルフを連れて出て行ってしまった

 

あれ、メインシナリオは? もしかしてもう終わった!?

 

部屋を見ると、書物や実験道具や紙や筆など一通り持って行ったらしい。空っぽだ。戸棚を調べると、全部空っぽ。最初から無かった可能性もあるが、あの短時間でこの部屋の物を全部回収したとしたら

 

イプシロン…とても手際が良くなってる

 

ただ楽器を弾くのではなく、何か手品をしながら楽器を弾くのかな?

 

いいねぇそういうマルチタスク。僕はそういう何かを同時にやるのは苦手なんだ。君の上達した演奏を楽しみにさせてもらうよ。

 

なんか煙たい…

 

本当に火の手が回ってるじゃん! 

 

僕も逃げよう!

 

逃げるんだよぉぉ!!!!

 




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