陰の実力者ってこれでいいのか?   作:ソフトクリーム

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金髪エルフを安心させる

最近手に入れた実験対象…もといアルファを小屋に案内した

 

「初めて見る小屋ね」

 

そこにあったのはこの世界では、見た事も聞いたこともない形状の家があった。それは転生する前の世界の建築を利用しているから見慣れないのも無理ないと心の中で思う。

中に入ると、2人掛けのソファー、小さな台所、トイレ、小さな円形の机などがある。これらの大半はこの世界にあったものを使っている。

 

視線をあちこちに向けているアルファに声をかけて、部屋の説明をしていく。特に驚いていたのはトイレの説明だった。とても感動しているように見える。転生前のトイレ技術は、ここよりも最先端技術だったようだ。実際、公衆便所はあるけど、あれ転生前よりも匂いとかキツイからね。

 

小屋の周りには花畑や川があり、中々良い場所だとアルファは喜んでくれた。時間はお昼を過ぎて少し経つ。僕はお腹が空いたので、何か食べないかと聞くと、アルファもお腹が空いていたようだ。

 

「何か食べたいものある?」

「シャドウが作ってくれるものならなんでも」

「食べられない物はある? 身体が痒くなるとか」

「ないと思うけど…」

「わかった! そこのソファーに掛けて待っていてね! アルファが元気になる料理を作るから」

 

さて、何を作ろうかな。衰弱してからまだ時間が経っていないし、風邪を引いている時に食べる感じのご飯にしようかな。そうなると…おかゆかな。

 

ササっと料理を終えて、アルファの前に出来立てほやほやのおかゆを置く。見たことが無い食べ物らしい。

 

「これはおかゆという食べ物なんだ。風邪を引いた時に作られる料理の1つでね、水分と栄養を胃に負担を少なくして食べることが出来るんだ」

「そうなの…頂きます」

「召し上がれ」

「…」

「ん? どしたの?」

 

アルファは一口食べてから固まっていた。味見したけど、僕は美味しいと感じたが、エルフでは不味かったかと焦っていると

 

「…」

 

無言でアルファはお粥を食べ続ける。これはどれだろう…言葉が出ないほど美味しかったのか、普通過ぎて何も思わないのか、不味いけど助けてくれた恩人の顔に泥を塗らないように我慢しているのか…。この子だとどれもありえるからなー。

 

普通なら美味しいかと聞くところだが、僕はそんな真似はしない。この子の場合、美味しくなくても美味しいと言ってしまいそうな雰囲気があるからだ。この子の表情や、筋肉の動きを注視する。

 

ある人が言うには、悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しいといった。もしかしたら、アルファは今の感情が自分でもどういうものなのか分かっていない可能性があるため、先に食事を終えると、お茶を出す。完璧だ。飲み物を飲みたそうにしている感じの中、即座におちゃを出す僕。決まったな。スタイリッシュさを出そうとしたが、何かを考えているようなので、静かに出す。思考中の雑音は嫌がるだろうしこれが正解だ。

 

あれ!? いつの間にお茶が出てる! いつ出したんだ! という実力ムーブも決まった! 僕は満足だよアルファ

 

見ていて思ったが、アルファはとても品性が良い。食べ物を全くこぼさないし、器に残っているカスも全く無い、食器をガチャガチャと音を立てることも無く、食べ始めに頂きます、食べ終わりにご馳走様としっかり僕に言ってくれたこと。僕は大変嬉しいよアルファ。

 

僕は孫娘が家に遊びに来た時に迎え入れるおじいちゃんおばあちゃんの気持ちはこんな感じなのかなと思いながら、アルファを見つめる

 

「なに? 顔に何か付いているの?」

「君の顔に見惚れていた」

「!?」

 

食べる時の顔も、今までよりかなり明るくなっていたし、青い瞳に、金髪とどれも綺麗だ。今もこうして見つめ合っていると、アルファは視線を逸らしてしまう。少し耳が赤いように思えたが、僕は分かってるよアルファ。

 

料理に興味を持ったけど、それを指摘されるのは恥ずかしいんだろ?

 

転生前の世界には漫画というものがあった。漫画とは、コマ割りのある絵を主体にして、セリフ・擬音語などを補助手段にして、出来物や物語を娯楽的に表したものだ。その漫画の中には、様々な物語がある。魔法や銃を使った戦闘系、音楽や芸術などの美術系、恋愛心をくすぐる恋愛系などがある。僕は転生前には漫画を良く見ていた。なぜかというと、思いつかない発想が沢山あるからだ。実際に小説などで想像するのも悪くないが、あの時の僕は質より数重視の考えだったので、すぐに理解できるよう絵が付いている漫画の方がコスパが良かった。中でも笑ったのが料理漫画の作品で、美味しい料理を食べると、服が脱げる、絶頂して身体をビクンビクンとさせるという技を持つ人達がいる。

 

アルファはそういう漫画のような美味しい料理を作りたいと思っているが、同時にリアクションを取る側にもなりたいと考えているに違いない。これは僕でも迷う。実力者なら料理を作る、モブならリアクションを取る側になるからね。ぼくはどっちでも良いと思うんだアルファ君

 

「大丈夫だよアルファ」

「え」

「僕は君のことを全て受け入れるよ」

 

いっそのこと両方やるのもありだよね! わかるよ〜、何かを選ぶこと自体が間違いで、選ばないでやるのも立派な選択肢だから、恥ずかしがることもないんだよ!

 

そう思いながらアルファを見つめると、またアルファが泣いてしまう

 

えぇ!? なんで?

 

「貴方は私のことを本当に受け入れてくれるのね」

 

当然だよ、一緒に陰の実力者について学び合おう!

 

「嬉しい…こんなに嬉しいのはいつぶりかしら…。初めてこんなに大きな感情が…私は…」

 

何かブツブツと言っているが、思考を口に出しながら考えるタイプかもしれない。僕は音を立てないように食器を洗って片付けた。

 

それからアルファには沢山教えた。文字や文化、この小屋にある物の使い方、通貨の概念などを教えていると、もう空が暗くなっていた。今日くらいは一緒に寝ようかな。

 

湯浴みを終えて寝室に案内する。アルファは寝付けていないようだったので、僕はアルファの手を握った。

 

「大丈夫だよアルファ。僕が隣にいるからね」

 

そう言うと、アルファが強く手を握ってきた。

 

うんうん、分かるよ~。僕も以前寝る時間を惜しんで修行していたことがあるけど、一人だとどうしてもダレる時があるからねー。僕がしっかりと見張るから、思う存分鍛錬をしていいからね!

 

アルファは安らかな顔をして眠った

 

僕も寝よう

 

夢の中で会おうね。一緒に修行しよ!

 

おやすみ!

 




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