陰の実力者ってこれでいいのか?   作:ソフトクリーム

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銀髪エルフを助ける

ヒャッハー!!

 

次々と切り刻まれる盗賊団。うん、スライムスーツの機能も良い感じだし、もうやることは無いかなー。最後の1人も倒して戦利品を探そうとすると、何か人影が。なんだなんだ、生き残りがいたのかな~と剣を持ちながら近づくと、そこは半身…8割くらいが腐敗していた人の姿だ。

 

かろうじて女ということが分かった。残っている部分に男の物がないからね! しかも…綺麗だ。

 

全身腐敗しており、下半身の股間部分だけが人の形をしている。これはとてもニッチだ。アルファよりはマシだが、それでも酷く腐敗が進行している。

 

何か身体がモゾモゾしている。こちらを攻撃するつもりかと思ったが、僕はそれに見覚えがあった。それは、ここに来る前に魔力を見つけたときに、声を出しながら全身で魔力を求めていたあの時の自分だ。あの時の気持ちを思い出すと、僕は即座に助けることを決めた。

 

「絶対に死なせない! 君を助ける!」

 

目の前に何が何でも欲しかったものがあるのに、目の前で気絶するあの絶望感! 僕は知っている! 待っていて! 絶対助ける!

 

アルファの時よりも、素早く確実に魔力を操作すると、そこには泣きほくろの銀髪のエルフが現れた。す、すごいぞこの子! アルファよりもスタイルが抜群だ! しかも顔もかなり可愛い。アルファが綺麗形なら、この子は可愛い系だ。

 

「ん…あれ…私」

 

僕はすぐにその辺の陰に隠れる。

 

この前は解呪して直ぐに姿を見られたから、世話をすることになったけど、流石に2人はねー。少しきついかなー。というわけで、名も知らないエルフさん、僕はここで去ろうかなと思ったら

 

「あ、あの」

 

声が聞こえた。僕は聞こえなかった振りをして去ろうとするが

 

「ま、待ってください! 私を助けてくれたのはあなたですか!?」

 

声の方向が僕のいる方向だ。ちなみに僕の周りには草がある。ということは、誰かが隠れているのだろう。出てきてあげなよ、その子が呼んでいるよ?

 

あ、ここでカッコよく退場して、隠れている人とエルフを会わせるのも実力者っぽいかも? 

 

じゃあ、そうだねバク転してここから去ろう

 

僕はバク転をすると、何かにぶつかる

 

「ふげっ!」

 

どうやら大木にあたったようだ。ゆ、油断していた。盗賊を倒すことと戦利品を漁ることと、あのときの絶望感を味合わせないように必死になっていたせいで、ここの地形を完全に忘れていた。当然引き殺されたカエルのような断末魔をあげる僕が見つからないはずがなく

 

「あ、あの!」

 

完全に目が合ってしまった

 

話を聞くと、どうやらこの子も身体が腐敗して村どころか国から追い出されたらしい。いや、村くらいの小規模ならともかく、国からも追放を受けるってどんだけなの。アルファと同じように頼れる人も、行く場所も無いという。これは間接的に僕に助けを求めていますね。

 

さて、どうしようか。アルファがいる小屋と僕が拠点にしている場所からここは離れている。僕の拠点を中心とすると、同じくらいの距離がある場所がアルファとこの子を見つけた場所だ。

 

「助けてくれてありがとうございました! 私は…どこかに…」

「待ってくれ」

 

どこかにと言う彼女の瞳には絶望が浮かんでいた。その目には覚えがある。あれは、僕がやってもやっても出来なくて苦労していたときの目だ。訓練しても僕自身が納得できるクオリティを出すことが出来ず、諦めた時の目をしている。

 

これはこのままじゃダメなやつだ

 

僕は彼女に声をかける

 

「もしよければ家を用意しようか?」

「家?」

「その辺に、良い感じに家を作れそうな場所があるんだ。行く当てがないなら、それまでの寝床としてどうかな」

「でも、それだとあなたの迷惑に…」

「その辺で倒れる方が僕にとっては迷惑だ。時々、様子を見に行くから、どうだい?」

「でも…」

 

僕は彼女の腕を掴んで、歩き始める。さっき言った良い感じに家を作れる場所なんて見た覚えがない。

 

でも見つける!この子が安心して自分の理想を求める場所を見つけてあげたい!こんな良い子が死ぬなんて僕は僕を許さない!

 

魔力で周囲を探知していると、時々彼女自身に魔力をぶつけてしまう

 

 

「!」

 

彼女は少し驚いたような顔をしている。何故か口をパクパクとして、少し頬を赤くしているが気にしないで探索だ!

 

どこだー! ここは…ダメだ ここも…ダメだ

 

あった! この辺なら、うん、良い感じに条件が揃ってるし。

 

僕は彼女から手を離して、全神経に意識を向ける。周囲の木を切断し、魔力で建築を始める。本当は図面を引いて、確認を取りながらするのが良いが、少しの間だけ寝床を確保するなら、最小限に済ますことができる。出来上がったのはアルファの小屋よりも小さいが、設備はほとんど変わらない感じの、良い感じの小屋が出来た。

 

エルフは驚いた顔をしている

 

「す、すごい。これは一体どうやったんですか?」

「ふ、僕に掛かればこの程度余裕なのさ。とりあえず、今日はここで過ごしてくれ。すぐに生活出来るものを整える」

「は、はい」

 

そんな感じで生活出来るように、最低限の設備を整えた。僕に頼りすぎにされるのも困るからね。食事を与えて、スライムスーツを身に付けさせる。

 

「これ、何で出来ているんです?」

「スライムだ」

「ひぃ!」

 

彼女は怯えたようにするが

 

「僕が操っているから大丈夫だ」

「そ、そうなんですね」

 

まだ怯えているようだが、少し安心してくれた。やはりアルファより身体がいいねこの子。一緒に食事をして、寝室に入る。

 

寝付けていないようなので、僕は絵本を読み聞かせるように、思いついた昔話をしてあげる。寝付けない赤ん坊に絵本を読み聞かせるように、ゆっくりと、やわらかい声を意識して、時々この子に魔力で優しく暖かく包み込んであげたりとしていると、いつの間にか寝てしまっていた。その顔は初めて会った時の怯えた顔でもなく、安らかに眠っている。

 

彼女が赤ん坊みたいだと思っていたら、自分が転生した直後のことを思い出した。あのときはおじさん声でうおぉぉと産声をあげてしまったが、この子は、そんな声をあげることもない。

 

この子には物語と変声を中心に教えようかな

 

そんなことを考えながら僕も眠った

 

夢の中で物語の続きを聞かせてあげるよ

 

おやすみ!

 




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