陰の実力者ってこれでいいのか? 作:ソフトクリーム
ガンマとの訓練を繰り返す日々。最初は何度も転ぶ子だったが、どうも姿勢と歩幅の相性が良くなかったようだ。僕が転生する前では学ぶ部分も、この世界では魔力のごり押しで出来ることが多い。そのごり押しが当たり前とされているから、前提部分で間違えていたガンマのことを指導するのも難しかったということだ。
最初は何度も転んだ。しかし補助道具を付けて何度も歩き続けることで、感覚が掴めてきたらしく、転ぶ回数が減った。そして補助道具を外して歩かせると
「やった! やりましたよシャドウ様!」
なんと一度も転ぶことがなかった。まぐれではない。現にこれで10往復させたが、よろけることすらなかったのだ。ガンマは笑顔だ
「あぁ、おめでとうガンマ!」
ガンマのことを褒める。今まで褒められることが少なかったガンマは褒められるとすぐに顔を真っ赤にしながらもはにかんでいる。勉学も訓練も、今までのアルファやベータと比べれば、歩みは遅いし転びながらだが、少しずつ転ぶ回数を減らし、何度も試行回数を重ねることで、顔を下げることも少なくなった。良い傾向だ。
「シャドウ様! 今日もお金についてのご教授、お願いします!」
「うむ、いいだろう」
ガンマが特に学びたいと言ったのはお金についてだ。どうしてお金なのかと聞いてみると
「こちらで相手のお金を操れるのなら、仲間割れを起こすことは容易いし、通貨に価値がある間はほとんどの相手の動きを封じることができるからです!」
なるほど。自分が賭場にいたことがきっかけなのか、かなりお金に意識を向けているようだ。ガンマは何か特定の物を買いたいように買うのではなく、何がどれだけの価値があるかを考えるための勉強だ。
そこらで適当に人のお金を使って満足している人達とは違う姿勢
見事だ
僕?
僕は適当に人のお金を使って満足している人だよ?
盗賊からよく奪って使っているし。何に? それは陰の実力者になるための資金だよ! あいつらが、酒や食べ物で一瞬に消える資金を、僕が有効に使っているし何も問題ない!
話を戻して…
今日は一緒に街で買い物することになった
男女2人で街を歩く
人はそれを
「シャドウ様! こちらの商品は今後売れると思います。あぁでも、こっちも…」
デートという
「そうだね。これとこれを組み合わせると…」
「!? その発想はありませんでした! 流石シャドウ様!」
ガンマは手元のメモ帳に何か書き込んでいる。少し覗いてみると、僕の言ったことのほとんどが要点を絞って書かれている。
君秘書とか向いているかもね
「ガンマ、何か食べたい?」
「そうですね。お腹もすきましたし…あのお店とかどうでしょう」
適当にカフェに入り、お茶タイムを楽しむ。ガンマは味よりもメニューの料金を見て楽しんでいた。人の楽しみ方に口を挟むつもりはないが、ここは一言言った方が…
「あ、これ美味しいです。シャドウ様もどうですか?」
「頂こうかな」
その必要はなさそうだ
「はい、どうぞ」
口を開けると、ガンマはスプーンで掬った果物を入れてくれた。ふむ、中々美味しいけど、アルファの料理と比べるといまいちかな。
「おいしいよ」
「良かったです」
ガンマはニコニコだ。ここ最近ニコニコ顔が増えている。正直もう利息分も払い終えているくらいの笑顔を見せてくれるので、一度もう借金は返済できたねと言ったら
「借金返済できていませんよ?」
「え、でも」
「出来ていませんのでもっと私を指導してほしいです」
「でもかなり君の笑顔を見れたことだし、もういいかなって」
「私突然人を殺してしまうかもしれません。そうなったら誰が私を止めるんですか?」
「自警団の人かな」
「そういうことが起きないように、シャドウ様は私のことをしっかりと見張らないとダメですよ?」
おかしい
シャドウ様と慕ってくれるのに、なぜか脅されているように感じるのは僕だけかな?
「そういうわけで、これから先もずうっぅっとよろしくお願いしますね!」
でもあんなに魅力的な笑顔を見せられたらな…うん。もう少し関係を続けようかな。
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