ありふれた職業で世界最強 白騎士と創世の龍 作:Als_EX
月曜日。世の人々が憂鬱になるだろうその日を俺、白浪 リュートも嫌っていた。
そのせいで毎週日曜日は寝るのが遅くなり、次の日は寝坊しかける。いつもなら___
「おはようリュート。こんな時間に登校なんて珍しいね」
「おはようハジメ。今日は起こしてもらえなくって」
と、挨拶をしてきたのは俺の親友の南雲ハジメ。中学の頃からの付き合いで、父親がゲームクリエイター、母親が漫画家という根っからのオタクである。
そのまま色々と話しながら教室へ入りハジメの席で駄弁っていると
「おはよう! 南雲くんは今日もギリギリだね。もっと早く来ようよ。 リュートくんも珍しいねこんな時間に来るなんて」
今挨拶してきたのが白崎香織。学校でハジメにフレンドリーに接する数少ない例外の1人で男女問わず人気が高い。なにやらハジメのことが好きらしい。
「あ、あぁ、おはよう白崎さん」
「おはよう白崎、ちょっと起きられなくて」
そんな人物が割と事あるごとにハジメに話しかけているのだからハジメはかなり大変だろう。
白崎の会話の対象をこっちにずらしてハジメへのヘイトを減らしつつ話の切り上げ時を探していると、3人の男女が近づいてきた。
「南雲君。リュート。おはよう。今日も大変ね」
「香織、また彼の世話を焼いているのか? 全く、本当に香織は優しいな」
「全くだぜ、そんなやる気ないヤツにゃあ何を言っても無駄と思うけどなぁ」
今1人だけ挨拶をしたのは八重樫雫。ポニテがトレードマークの剣道少女で熱狂的なファンが結構多い。
見当違いなことを言ってるのが天之河光輝。容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能とお花畑な頭を除けば完璧な奴。
最後のが坂上龍太郎。脳筋な天之河の親友だ。
ちなみに白崎、八重樫、天之河、そして俺は幼馴染だったりする。
俺の親と八重樫の親が仲が良く、八重樫のところで剣道をやっていた。
中学の半ばくらいで辞めたけど一応交流は続いてる。
「おはよう八重樫」
「おはよう、八重樫さん、天之河くん、坂上くん。まぁ自業自得とも言えるから仕方ないよ」
取り敢えず挨拶してきた八重樫には挨拶を返しておく。
八重樫も人気が高いが故に周りの嫉妬の目線がハジメに突き刺さる。
俺は幼馴染だから問題ないらしい。
「それが分かっているなら直すべきじゃないか? いつまでも香織の優しさに甘えるのはどうかと思うよ。香織だって君に構ってばかりはいられないんだから」
天之河がまた的外れなことを言い出した。そもそもハジメは甘えてるつもりなんてないだろうし。
「いや~、あはは……」
まぁこの状況じゃ笑ってやり過ごすのが最適だろうな。
ちなみに俺がさっきから喋らないのは天之河と話したくないからだ。
「? 光輝くん、なに言ってるの? 私は、私が南雲くんと話したいから話してるだけだよ?」
こいつまた燃料を投下しやがった。昼休みとかハジメ大丈夫かな。
「え? ……ああ、ホント、香織は優しいよな」
こいつはこいつでほんとにどうしようもねぇな。
「……ごめんなさいね? 二人共悪気はないのだけど……」
「謝るならどうにかしてよ。まぁどうにか出来ないのは俺も知ってるけどさ」
謝ってきた八重樫に軽口を叩きつつ心の中で軽く労っておく。頑張れ。
そうこうしてるうちにチャイムがなって先生が入ってきた。何事もないかのように連絡事項を伝える。そしていつも通りハジメが居眠りし始め、授業が始まった。
授業は順調に進み昼休みに。ハジメもそろそろ目を覚ますはずだ。
「やぁ、朝はごめんね」
「ほんとだよ、そのせいで遅刻ギリギリになっちまった」
「それはリュートの自業自得でしょ」
「おっしゃる通り」
こいつは中村恵里。家族が訳アリで今はうちで保護してる。その辺の話はまたおいおいするとして。気付いたらオタクに染まってた隠れオタクの1人である。
ハジメも起きたし昼飯を用意する。って言っても今日は2人ともコンビニのパンだけど。
「やっほー南雲」
「うん、こんにちは中村さん」
勿論オタクなので南雲とも仲が良い。昼休みはこうして3人で話しながら食べるのが基本になっており、あんまり人は近づいてこない。
すぐハジメに寄ってくる"例外"はいるけど
「今日それだけでいいの?」
「うん、大丈夫。これ飲んだら少し寝るね」
「了解、出来るだけ静かにしとく」
ハジメがゼリー飲料で昼を済ませようとするのを見てか、唯一の"例外"がニコニコしながら近寄ってくる。
今日教室で食べたのは間違いだったか…ハジメも顔がちょっと青くなってる気がする。
「3人とも珍しいね、教室にいるの。お弁当? 私も一緒に食べていいかな?」
教室の空気がどんどん重くなっていく。
今日はすこぶる運が悪いな、ハジメ。
「あ〜、ごめんね白崎さん。僕たちもう食べ終わっちゃったから天之河君達と食べたらどうかな?」
そう言って飲み終わったゼリー飲料のパックを見せるハジメ。
それ逆効果じゃないか…?
「えっ! お昼それだけなの? ダメだよ、ちゃんと食べないと! 私のお弁当、分けてあげるね!」
やっぱりこうなった。
ハジメへの圧力がさらに強くなっていく。南無。
「香織。こっちで一緒に食べよう。南雲はまだ寝足りないみたいだしさ。せっかくの香織の美味しい手料理を寝ぼけたまま食べるなんて俺が許さないよ?」
今の状況だと割と救世主だな。言ってる事キモいけど。
「え? なんで光輝くんの許しがいるの?」
「ブフッ…」
「ゲホッ…死ぬ……」
素で聞き返した白崎に思わず雫が吹き出し、恵里が咳き込んだ。
取り敢えず恵里の背中さすっとくか。
結果として誰も離れていかないのでハジメへの圧力は弱まりそうもない。
「僕ゴミ捨ててくるよ」
「ありがとう。助かる」
「ごめんありがと…ゲホッ……」
そう言ってハジメが立とうとした時だった。
天之河の足元に光り輝く円環と幾何学模様、つまるところ魔法陣が現れた。
魔法陣はどんどん大きくなり、光を増していく。
そうして魔法陣は教室全体にまで広がった。
生徒達は悲鳴を上げ教室はパニック状態に。
昼飯を食べに来ていた愛子先生が「皆さん!教室から出てください!」と叫ぶ。
それと同時に魔法陣は爆破したかのように強い光を放つ。
顔を手で覆い、目を閉じて光から目を守る。
しばらくして光が弱まったのを感じ、目を開けるとそこは教室ではなかった。
縦横10メートルはありそうな壁画、大理石のような素材で出来た大きな広間、その奥辺りの台座の上に俺達はいた。
そしてそれを取り囲み祈りを捧げるようなポーズをした少なくとも30人近い人達。
彼らは皆、法衣のようなものを着て、錫杖のようなものを側に置いていた。
その中の1人、一際豪華な衣装を着ている老人が歩み寄って来た。
そうして俺たちに対して落ち着いた声で言った。
「ようこそ、トータスへ。勇者様、そしてご同胞の皆様。歓迎致しますぞ。私は、聖教教会にて教皇の地位に就いておりますイシュタル・ランゴバルドと申す者。以後、宜しくお願い致しますぞ」
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