ありふれた職業で世界最強 白騎士と創世の龍 作:Als_EX
現在俺たちは場所を変え、大きなテーブルが並んだ大広間のようなところにいる。
こっちも凄く豪華な作りをしている。
晩餐会とかするような場所なんじゃないだろうか。
上座のあたりに先生と天之河たち4人が座り、その他は適当に座っている。
俺とハジメは最後方の辺りだ。
ここに来るまで皆があんまり騒がなかったのはまだ混乱しているからだろうか?
天之河が落ち着かせたのもデカそうだ。教師よりカリスマがあるって先生が涙目だったな。
全員座ったタイミングでカートを押したメイド達が入ってきた。
メイドは皆に飲み物を給仕していく。
凄いな、たまに夢に見てたやつだ。所作が綺麗だ。
色々考えながらメイドを見ていると全員に飲み物が行き渡ったのかイシュタルとかいう老人が話し出した。
「さて、あなた方においてはさぞ混乱していることでしょう。一から説明させて頂きますのでな、まずは私の話を最後までお聞き下され」
そうして語られたのはファンタジーでよくある、所謂テンプレというやつだった。
俺たちが来たこの世界はトータスというらしい。
まずトータスには人間族、魔人族、亜人族の3つの種族がある。
その内人間族と魔人族の2種族間で何百年も戦争をしてきた。
戦力はずっと拮抗していたが、最近それが崩れたらしい。
魔人族が魔物と呼ばれる特殊な野生動物を使役しだしたことが原因だとか。
その結果、現在人間族は絶滅の危機に瀕しているのだそうだ。
「あなた方を召喚したのは〝エヒト様〟です。我々人間族が崇める守護神、聖教教会の唯一神にして、この世界を創られた至上の神。おそらく、エヒト様は悟られたのでしょう。このままでは人間族は滅ぶと。それを回避するためにあなた方を喚ばれた。あなた方の世界はこの世界より上位にあり、例外なく強力な力を持っています。召喚が実行される少し前に、エヒト様から神託があったのですよ。あなた方という〝救い〟を送ると。あなた方には是非その力を発揮し、〝エヒト様〟の御意志の下、魔人族を打倒し我ら人間族を救って頂きたい」
イシュタルが恍惚とした顔をしている。
ジジイがそんな顔してもなぁ…
イシュタルによると人間族はほぼ全てがエヒトを崇めており、神託を聞くと聖教教会の高位の地位が確定するとか。
なんの疑いもなく、喜び勇んで神の言葉に従うのであろうこの世界の人々に言いようのない気持ち悪さを感じる。
ハジメも似たようなことを考えているのかすこし顔が青い気がする。
すると突然先生が声を上げた。
「ふざけないで下さい! 結局、この子達に戦争させようってことでしょ! そんなの許しません! ええ、先生は絶対に許しませんよ! 私達を早く帰して下さい! きっと、ご家族も心配しているはずです! あなた達のしていることはただの誘拐ですよ!」
威厳ある教師を目指しているらしい先生が理不尽な召喚理由に対して怒りをあらわにする。
生徒はその姿にほんわかしていたが、次のイシュタルの言葉に凍りついた。
「お気持ちはお察しします。しかし……あなた方の帰還は現状では不可能です」
は……?
今こいつ帰れないっつったか?
「ふ、不可能って……ど、どういうことですか!? 喚べたのなら帰せるでしょう!?」
聞き間違いじゃなかったらしい。
「先ほど言ったように、あなた方を召喚したのはエヒト様です。我々人間に異世界に干渉するような魔法は使えませんのでな、あなた方が帰還できるかどうかもエヒト様の御意思次第ということですな」
「そ、そんな……」
生徒達がどんどん騒ぎ始める。
「うそだろ? 帰れないってなんだよ!」
「いやよ! なんでもいいから帰してよ!」
「戦争なんて冗談じゃねぇ! ふざけんなよ!」
「なんで、なんで、なんで……」
どんどんパニックなる生徒達。
俺はというとそこまで焦ってはいなかった。
一応まだマシなパターンだったからだ。
しばらくパニックは続きそうだな…
なんて思いながら皆を眺めていると、天之河が立ち上がってテーブルを叩いた。
その音に驚き天之河に注目が集まる。
それを見て天之河が話し出す。
「皆、ここでイシュタルさんに文句を言っても意味がない。彼にだってどうしようもないんだ。……俺は、俺は戦おうと思う。この世界の人達が滅亡の危機にあるのは事実なんだ。それを知って、放っておくなんて俺にはできない。それに、人間を救うために召喚されたのなら、救済さえ終われば帰してくれるかもしれない。……イシュタルさん? どうですか?」
「そうですな。エヒト様も救世主の願いを無下にはしますまい」
「俺達には大きな力があるんですよね? ここに来てから妙に力が漲っている感じがします」
「ええ、そうです。ざっと、この世界の者と比べると数倍から数十倍の力を持っていると考えていいでしょうな」
「うん、なら大丈夫。俺は戦う。人々を救い、皆が家に帰れるように。俺が世界も皆も救ってみせる!!」
何を言ってるのかわかってるのかコイツ……
だが天之河の力は絶大で、皆が少しずつ落ち着いてきた。
「へっ、お前ならそう言うと思ったぜ。お前一人じゃ心配だからな。……俺もやるぜ?」
「龍太郎……」
「今のところ、それしかないわよね。……気に食わないけど……私もやるわ」
「雫……」
「え、えっと、雫ちゃんがやるなら私も頑張るよ!」
「香織……」
いつもの面子が天之河に賛同する。その流れでクラスメイトがそれにどんどん賛同していく。
そのまま戦争は全員参加になった。
皆はその意味が分かっているんだろうか?
チラッとイシュタルを見ると、彼は笑みを浮かべていた。
こうなるように天之河を誘導したんだろうか。
俺はコイツを絶対に信じないことにした。
今回も読んでいただきありがとうございました。
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次回も早めに出ると思うのでよろしくお願いします。