ああ、因果応報とはこの事を指すのだろうと、心から思うさ。
あの時、何気なく開いた新聞には馬鹿でかく
【恐怖!街中で起きた殺人未遂事件!被害者はあの世界最強の弟!?】
と書いてあり、余計にぼくを不快にさせる──いや、自分のせいだけど。流石に病室まで取材に来られると迷惑だ。そんなことを考えたのは、今でも覚えてる。
ぼくは、姉の栄光を己のものかのように誇り、傲慢に生き。そして恨みを買い、そして刺された。お陰で下半身が全く動かない──所謂、下半身不随になった。
そうなってからぼくはやっと、自分の行いに後悔をした。ぼくの行いを知った姉からは勘当され、行く当てもなくなって。何故か推薦で入れていた名門私立高校からも『もう利用価値はない』と、追い出された。
今となっては諦めはつく。全て己の行いのせいだった。あんなことをしなければ、そんな幼稚な考えが頭をよぎる。──過ぎたこと、『遅かった』のさ。
なんとか口座に残っていた金をやりくりして、貸し出されている車椅子と共に病院で過ごせていた始まってすぐ日々の方がよっぽど楽だったさ。
突如として、どうせ迷惑をかけているだろうから、そう言って姉から車椅子が送られ、病院からは出ていかされた。
そんなクソッタレな日々を送り、腐り果てたぼくでも、弟の試験くらい、勇気づけてやりたかった。
思えば、それがぼくの『再生』への一歩だった。
──インタビュー記事より抜粋
◆◆◆◆
カタカタと音が鳴る。車輪を回し、邪魔をして申し訳ないと思いながらも、人を探す。試験前、緊張をほぐそうとしきりに話しかけている人、落ち着こうと静かに、目を瞑っている人。そんな喧騒と静寂の狭間にあるような空間の中で、ぼくはようやく弟を見つけた。
「『一夏』、元気だったか?」
そう声を掛ける。彼は振り返ると同時に笑みを浮かべ此方へと近付いてくる。
「『
「…まあ、おまえが気にすることじゃあない。これから高校試験だって言うおまえに一言ガツンと気合いをいれてやろうと思ってな。ま、まだ時間があるんだろ?ぼくと一緒にそこの展示会にでも行こうじゃあないか。」
「ああ、行こう!久しぶりに話せるなら、俺も嬉しいぜ!」
そうしてぼくたちは、IS学園によるIS展示会場へと入る。
IS──インフィニット・ストラトス。無限の成層圏を冠するそれは、宇宙空間での活動を前提とした、マルチフォームスーツで、パワードスーツという部類に入る。前述した通りに宇宙空間での活動を前提としている物なのだが、製作者の意向通りには行かずに良く言えば競技用、悪く言えば軍事用のパワードスーツとして扱われている──大人のどす黒い謀略と欲望に踊らされた、あわれな機械。
「これが──IS。」
そこに並んでいた無数の機械甲冑に目を輝かせる弟に、すこし微笑ましさを感じながら、車輪を回す。近付いて、指先が微かに触れる。金属特有の冷たさを持つそれを前に、──ああ、姉さんがコイツさえ動かせなければ。そんなたらればを語って責任を押し付けている自分に、吐き気がした。
そんな時だった。
突如として脳に流れ込んでくる情報。空間のデータから現在の気温、湿度。次いでぼくのバイタルデータ。そして最後にウィンドウが表示されたかと思えば視界が開ける。この間コンマ数秒。
目の前には、ISを纏う一夏。驚愕に目を見開き、口はパクパクと動くだけで声もでない。一夏も気付いたようで自分の身を何度も見ては目を瞑りを繰り返している。ようやく理解が追い付いたのか、ぼくの方を見た──その後、一夏が叫んだ。
「IS──兄さん、も?」
その言葉を聞いて、自分の体をもう一度見ると、そこにはISを纏い、二足で立つぼくがいた。