D×D 外道の悪魔   作:水飴トンボ

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ちょっと牛歩気味ですが、今後のための地盤固めとしてお願いします。
しかしキャラクター多くなってきましたね…。


第14話 身内の話

 プール開きを中止して、一行はすぐに兵藤家に戻った。リビングには兵藤両親に加え、リアスの両親、バラキエル、レイヴェルの母、グリゼルダとそれぞれの保護者が集まっていた。

 あまりにも急なことに驚きつつ、一誠が父になにかを言おうとするが、それを遮るように黒髪の女性がテンション高く声をかけた。

 

「あらあらあらあら、イッセーくん。久しぶりね!試合をテレビで見ていたけど、間近で見ると大きくなったわ!大一くんもこんなに立派になって!傷の方は大丈夫?」

 

 兵藤兄弟にまくしたてるように話しかける女性は、イリナの母親であった。外国に住んでいたようだが、夫と共に帰国していたらしい。これにはイリナも目を丸くするものの、彼女の方は特に気にした様子も無く話し続けた。

 

「小さい頃、うちのイリナの将来をよろしくねーって冗談半分で言っていたけど、本当に貰ってくれるなんてね!孫は男の子でも女の子でもOKよ!」

 

 思いのたけを一気に話しきった彼女の言動に、イリナと一誠は真っ赤になりつつすっかり照れていた。すでに羞恥を抱くような状況であったが、間もなくリアスの父親であるジオティクスが口にした言葉が、それ以上に心身を熱くさせるものであった。

 

「式のスケジュールを話し合っていたのだよ。そろそろ、各家の都合をすり合わせておこうかという話になってね」

「…し、式?」

 

 どういうことか分からずに、皆が間の抜けたようなポカンとした表情を浮かべていた。これに対して、彼は豪快に笑いながら言葉を続ける。

 

「ハハハ!決まっているではないか、リアス。一誠くんからプロポーズを受けたお前やお嬢さんたちの結婚式の日取りだよ」

『…け、結婚式ィイイイイッ!?』

 

 一瞬の静寂の後、状況と発言の意味を理解した一行が、大声で驚きを表明する。これには当事者だけでなく、仲間全員が混乱と衝撃の渦に陥っていた。

 リアスの母であるヴェネラナが夫を軽くたしなめると、娘たちに説明を始める。

 

「正確にはまだ先のことよ?けれど、あなたたちが正式に婚約をしたというものだから、一誠さんやリアスたちのスケジュールを考えると、いまのうちから日にちを決めて動き出さないといけなくなってきているのよ」

 

 保護者たちの計画は想像以上にトントン拍子で進んでいた。立場や宗教の違いなどもあるため合同では難しく、家ごとにひとつずつ行っていくことに話がまとまっていた。一連のスケジュール調整はフェニックス家がまとめており、すでにレイヴェルの予定まで調整中だ。

 

「困ったわね…式ごとに着ていく服を変えた方がいいのかしら…」

「あら、それならグレモリーにお任せくださいな。いろいろとご紹介致しますわ」

「まあ!助かります!」

 

 母もすっかり馴染んでおり、父の方も嬉しそうに他の保護者と話し込んでいた。両親の慣れた様子に軽いめまいを覚えつつ、大一はなぜかこの話し合いに参加しているバラキエルへと視線が移る。

 

「あ、あの…バラキエル様はどうして…?」

「どうしてとは聞き捨てならないな。朱乃とキミの結婚式を被らせるわけにもいかないだろう。だから私の方も参加している。どのような結婚式にするかもご両親と話し合っておきたいからな」

 

 バラキエルはあっさりとした調子で答える。いつもの厳格な雰囲気は残されていたが、先日の決闘とあいさつのおかげで、彼が大一に対する信頼は間違いなく高まっていた。

 たしかに彼の言う通り、兵藤家である以上は大一も弟の結婚式には出席しなければならない。一誠のハーレムの様子や多忙さを踏まえると、予定を組み立てるのは間違っていない。それでもバラキエルまでもが出張って、本気で考えてくれることには、身体がむずがゆくなるものがあったが。

 恥ずかしさを感じながらも納得する大一であったが、同時に仲間たちから驚きの視線を向けられていることに気づいた。一誠やリアスの表情から、先ほどの結婚式の予定を聞いた際と同じくらい驚いているのが見られる。唯一、朱乃だけは戸惑っているが、それは大一と同じような視線を受けているからにすぎなかった。

 

「な、なんだよ…」

「私たちおかしなことしたかしら…?」

「いやだって…大一と朱乃もそういう約束…」

「「…あ」」

 

 リアスの途切れるような声に、2人はハッと気づいたように声を出す。そもそも将来を誓った約束は2人きりの時に行ったものだ。バラキエルや兵藤両親は耳に挟んでいるものの、仲間たちにはその報告をしたことは一度も無かったのだ。

 

「あ、兄貴が…!朱乃さんと…!めちゃめちゃショックだ!」

『んだと、赤龍帝!大一じゃ釣り合わないってのか!だいたいエロいだけのお前に言われたかないわ!』

「お兄さんがついに…ああ、主よ!ありがとうございます!」

「アーシア、俺に向かって祈るな!頭痛くなる!」

「しかし先輩や朱乃さんがそういう約束をするのは時間の問題だったと思うな、私は」

「ゼノヴィアったら、すごい冷静だわ…!私はびっくりして、顔が熱くなっちゃったのに!」

 

 弟や後輩、相棒の神器によって軽い騒ぎになりかけている中、朱乃は顔を少し伏せてぷるぷると震えていた。感情をため込んでいるような様子で、まるで噴火前の火山のようであった。

 

「父さま!」

 

 間もなく意を決したように顔を上げると、バラキエルをハッキリと見据える。まさに恥ずかしさから来る文句のひとつでも出てきそうだが…

 

「私、白無垢が来たいですわ!」

「ふぐぅ!任せろ、朱乃!立派な服を用意してやる!私に任せるのだッ!」

 

 まさかのリクエストに、バラキエルは感涙し、大一はがくんとコントのようにずっこけそうになる。

 

「いや受け入れ早すぎるだろ!?」

「あら、いつまでも隠し通せるものじゃないし、いいタイミングですわ。それにこれでリアスたちの前でも遠慮なく甘えられるもの」

 

 人前でいちゃつくのは避けたい、そんな想いを大一はぐっと飲みこむしかなかった。なぜなら朱乃の宣言を皮切りに、他のメンバーも次々と話が展開していき騒がしくなったからだ。

 

「パパ!ママ!私!天界で式を挙げたいの!」

「そう言うと思って、パパは上に報告済みだ!」

「さすがね、パパ!イリナちゃんの気持ちをよくわかっているわ!」

 

 紫藤家はテンション高く、あっという間に意見がまとまっており…

 

「アーシアちゃんも好きな会場を言ってくれていいのよ?こういうときこそ、イッセーの稼ぎがモノを言うんでしょうから」

「はい、お母さん!わ、私、日本で挙げたいです!」

「アーシアちゃんのウエディングドレス、キレイなんだろうな…」

 

 アーシアの言葉に兵藤両親は希望を抱いたような顔になっている。

 

「やはり、私の出自を考えると、ヴァチカンなのか?」

「好きなところで構いませんよ。あなたの大事な一日なのですから」

 

 ゼノヴィアがグリゼルダの隣に座り、静かに打ち合わせをしていると…

 

「お父様!お母様!京都で式を挙げたいです!」

 

 リアスもすっかり感化されて、自分の希望を訴えるのであった。

 暴走列車のごとく話が突き進んでいくものの、親たちの喜びを抜きにしても、この件は話し合うに越したことはなかった。赤龍帝、おっぱいドラゴンとしての今後を踏まえれば、一誠がより多忙になることは目に見えている。まだ余裕ある段階で、ざっくりでも予定を仮押さえしておくのに越したことは無い。ましてや彼らの知名度や繋がりであれば、VIPクラスのメンバーが参加することも予想されるのだから。

 他の仲間たちからの助言も受けつつ、一誠の頭は切り替わって前向きにこの状況を捉え始めていた。同時に兄への驚きも落ち着いていた。そもそも彼自身がリアスたちとの関係性が深くなった場面を誰かに見られていたので、兄たちの関係に無意識に驚愕していた節はあったためか、区切りがつけば冷静になるのも早かった。もっとも兄について今も武骨な印象を抱いているため、ずば抜けた美貌と仲間内でもトップクラスの豊かな胸を持つ朱乃とのアンバランスと思っていたのも否定できないが。

 そんな中、リビングにがっしりとした体格の長身の老人が入ってくる。豊かな白髪に顔には多くのしわがあり、それとは真逆な服の上からでも分かるはちきれんばかりの筋肉が印象的であった。

 

「ほうほう、式を挙げるとな。そのときはぜひとも私が神父として祝福できれば幸いですな」

「ストラーダ猊下ッ!!?」

「ごきげんよう、赤龍帝ボーイ。いい試合をしているようだ」

 

 ストラーダは笑顔で一誠の頭をわしゃわしゃと撫でる。この登場にはゼノヴィアやイリナは驚きつつも素早く跪き、シャドウは大一の頭の中で「げっ!」と声を上げていた。前デュランダル使いであり、教会屈指の戦士であるヴァスコ・ストラーダ…彼の登場には、一誠のチームや大一は完全に面食らっていた。

 しかし一方でリアスたちの反応は小さく、むしろしてやったりとした表情を浮かべていた。この様子にレイヴェルはすぐさま察して、リアスの方に視線を向ける。

 

「そうよ、レイヴェル。私のチームに猊下を招き入れたの」

 

 不敵な笑みを浮かべるリアスが放った言葉に、一誠のチームで驚かなかった者はいなかった。教会関係者であり、老体ながらも圧倒的な実力を誇るストラーダの加入は、立場的にも戦力的にもインパクトは十分であった。彼ほどの実力者を引き入れた辺り、リアスの手腕が見事に発揮されたと言える。

 ストラーダが保護者たちとあいさつを交わしているのを見て、大一も静かに息を吐く。教会でも地位の高いイリナの両親は畏敬の念を見せており、バラキエルとはかつて敵対していた間柄でありながらしっかりと握手をしている。目の当たりにするほど、彼の凄さを思い知らされる気持ちであった。そして同時に大一の中ではひとつの想いが膨れ上がっていた。

 

(チームメンバーか…)

 

 

 

 

 その後、結婚式の話がある程度続いたところで、兵藤母が少し悩んだように漏らす。

 

「田舎のお義母さんも呼ばなきゃいけないけれど、どうやって事情を話したらいいのかしら…」

「親父がいれば、そういうの『ま、そういうこともあるだろ!』の一声で納得してくれそうだったんだがな…」

 

 首をひねりながら話す父に、一誠は納得するように頷き、大一は低く唸るような声を出す。祖父の豪快さを見れば受け入れることも考えられるが、悪魔としての奇妙さを見ればひと悶着ありそうと考えることも当然であった。

とはいえ、祖母も妖怪や山の神などは信じている方であるため、小猫や黒歌といったその国に馴染んだ存在から慣れさせるという結論に至った。何人かの視線がソファーに座っている小猫と、先に戻ってきていた黒歌に向けられる中、アーシアがふと疑問を投げかける。

 

「おじいさまって、どのような方だったのでしょうか?」

「エロかったぞ。まずはそれが先に出る」

 

 間髪入れずにハッキリ答える一誠に、他の兵藤家3人もうんうんと頷くと、連鎖するように口を開いていく。

 

「イッセーのエロさとハーレム思考は絶対にウチの親父の影響だろうな。なにせ、若い頃は女のケツを追いかけまわしていたって母ちゃんが言っていたし」

「あら、私には、年を取ってからもずーっと若い娘のお尻を追いかけまわしていたってお義母さんが言っていたわよ」

「というか、俺はじいちゃんと出かけるたびにそんなところを見ていたよ…」

 

 兵藤家の祖父は全員が認めるほどエロかった。エロ本は大量に持っているわ、外出先では美人がいればスケベ顔で見るわとその手の思い出には事欠かなかった。事あるごとに一誠同様におっぱいへの興味はすさまじかったし、父については祖父の若い頃の遊びようも知っていたため、何度か隠し子が出てくるんじゃないかと思っていたほどだ。

 気づけば祖父のエピソードが展開され始めており、部屋に居る者たちの多くは父の話を聞き入っていた。

 

『なあ、大一。こんな話聞いても意味ないぜ。部屋に戻って眠った方がいいよ』

(わかってはいるが、さっき一誠がこっそり立って飲み物取りに行ったから、ここで俺が立つのもな…。あいつが戻ってきたら離脱しよう)

 

 シャドウの疲れたような声に、大一は抑えるように答える。ただ正直なところ、彼もシャドウの言うことを全面的に支持したかった。

 父が中学時代に見た祖父の話をしている中、隣に立っていたロスヴァイセが小声で話しかける。

 

「大一くんのおじいさま、だいぶ豪快ですね」

「父さんも言っていましたけど、かなり一誠に影響を与えてますからね。弟があんなふうになったのは、間違いなくあの人と近所にいた変な紙芝居屋のせいですから」

「…あまり大一くんは関わらなかったんですか?」

「まあ…そうですね」

 

 大一としては祖父のエピソードは耳あたりの良いものではなかった。祖父のさっぱりとして豪快な性格は、子どもながらに気難しく神経質な大一にとっては心労を抱かせたし、弟と一緒にエロいことを好んでいた様子には何度もため息をついていた。女性の胸について言及していたのも、一度や二度ではない。要するに、大一は祖父が苦手であった。

 もはや祖父の話はほとんど聞いておらず、彼が気になっていたのは小猫と黒歌のことであった。祖父の話が盛り上がる前、一誠よりも先に2人は席を外しており感知でキッチンに行っていることに気づいていた。

 

(配慮が足りなかったか…)

 

 幼い頃からの2人の経緯を踏まえれば、両親のことを覚えているかは定かではない。そんな彼女たちの前で家族の話を展開させるべきではなかったという後悔が生まれていた。もっともいつもの彼女たちであれば、そこまで気にしないだろうが、試合が近づいている状況では思うこともあったはずだ。

 彼の陰りある感情とは裏腹に、目の前では祖父の話で笑いが起こる光景が繰り広げられるのであった。

 




こういう場合、母方祖父母とかどうだったのだろうかと気になります。
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