D×D 外道の悪魔   作:水飴トンボ

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本日ガンダムを見て、オリ主にこんな状態にして言うのもあれですが、やはり欠損って辛いですね。


第5話 強いチーム

 戦いや強さだけが悪魔のすべてというわけではない。一般的な悪魔の仕事は人間と契約して願いを叶える代わりに対価を求めるというものだ。

 あくる日、生島の店に大一、ロスヴァイセ、ゼノヴィア、イリナが集まって部屋の荷物整理や模様替えの手伝いを行っていた。

 

「お昼でも来てくれて助かるわ~。しかもきっちり人数まで揃えてくれてありがたいわ~」

「生島さんにはご贔屓にしてもらっているので」

 

 生島の言葉に、ロスヴァイセが笑顔で答える。本来であれば、夜での活動が主なのが悪魔ではあるが、個人で契約している以上は相手ごとに対応も変えるのは不思議ではない。

 

「しかも援軍の子たちがこんなに可愛いなんて…!京都で会った時も思ったけど、悪魔は顔レベルが高すぎよ!」

「そこまで言われるとむず痒い気もするな」

「私なんて悪魔でもないんですよね」

 

 ゼノヴィアは気恥ずかしそうに顎を撫で、イリナは苦笑い気味に頬を掻く。生島の依頼は掃除以外の雑務もあったため人手が必要ということになり、ロスヴァイセの手伝いにゼノヴィアが来ていた。イリナの方はその場に居合わせていただけなのだが。

 

「そういえば一誠はどうした?」

「釣りに行ったようだ。最近忙しそうにしていたから、リフレッシュも兼ねてだな」

 

 実際のところは、別空間にいるアザゼル達に「戦いを楽しむ」ことについて相談を持ちかけた際に、彼らからアドバイスとして「いつものメンバーとは違う者に相談してみる」ことを提案されて、ヴァ―リと匙を誘うことも目的であったのだが、それを彼女らが知る由は無かった。

 

「息抜きは必要だが、ひとりで釣りとはあいつらしくないな。いや、余計なお世話か」

「時間までは自由行動にしているんだ。レイヴェルはギリギリまで情報を収集しているが」

「だから私はゼノヴィアを特訓に誘おうと思ったんだけど…」

「巻き込まれて、手伝う形になったと」

「私はこんなに可愛い天使ちゃんと会えてハッピーだけどね!」

 

 生島はごつい拳を作るとぐっと親指を立てる。サムズアップひとつで覇気を感じられる彼が一般人であることを忘れそうになるほどの迫力であった。

 

「というか、悪魔と天使って仲良くしてもいいのね。なんか昔、炎駒さんからは悪魔、天使、堕天使は仲悪いって聞いたんだけど」

「それこそ昔だけですよ。去年の同盟の締結で、今じゃみんな仲良しですから!」

「なんでイリナが誇らしげなんだか」

「同盟前から仲良くしたいとは思っていたもの!ミカエル様への信仰心も忘れなかったうえでね!おかげでゼノヴィアとも交流は変わらないし、ダーリンとはぐんぐん距離を縮めているわ!」

「イリナちゃん、そのスタンスを私は全面的に支持するわ!男は度胸、女は愛嬌なんて誰かが言っていたけど、男であろうが女であろうが度胸と愛嬌は大切よ!」

 

 イリナを勢いづけるように、生島が合いの手を入れていく。彼女持ち前の天真爛漫な雰囲気は、あっという間に生島の心を掴んでいた。同時にゼノヴィアのちょっとした対抗心にも火がついた。

 

「距離を縮めているとは言うが、私もイッセーとはかなり近くなっている自負はあるがな。あいつの眷属になって共に仕事をしているし、時間的な関わりは増えている。実質的にハーレムに加わっていると言ってもいい」

「ちょっとちょっと、時間的なものを出すのは強いわね!時間を重ねるのは恋愛においても大事よ!やるわね、ゼノヴィアちゃん!」

「で、でもゼノヴィアだって生徒会で忙しいじゃない!私は部活の時間は一緒だから大差ないわ!」

「気になってきたわ、2人の恋愛事情!教えてちょうだい!」

 

 恋愛的にマウントを取ろうとするゼノヴィアとイリナについて根掘り葉掘り聞く生島と盛り上がっていく一方で、蚊帳の外となった大一とロスヴァイセは苦笑い気味に掃除を再開する。

 

「相変わらずの仲の良さですね」

「ええ。クラスでもみんなを引っ張ってくれていますよ。体育祭も近いですから助かります。厳密にいえば、ゼノヴィアさんは生徒会チームの参加なんですけどね」

 

 高校3年生となった一誠、アーシア、ゼノヴィア、イリナ、祐斗は同じクラスであり、そこの担任をロスヴァイセが務めていた。いざという時に動けるように学園側が配慮したクラス分けであった。

 前年度の体育祭の思い出として祐斗のローテンションと一誠の金的ダメージが大一の頭をよぎったが、すぐに振り切って話を続ける。

 

「体育祭か。一誠達も3年生ですから気合入っているでしょう?」

「ええ、私含めてみんなやる気ですよ。ただ…」

「ただ?」

「アーシアさんが少し気追っているというか…部活や仕事の時も頑張ろうとしていっぱいいっぱいな雰囲気がしてちょっと心配ですね」

 

 思慮深く答えるロスヴァイセの様子は、心配な要素を充分に表していた。彼女の言う通り、ここ最近のアーシアは近い者から心配されていた。悪魔の仕事でもアンケートで契約相手からもそのような意見が寄せられており、仲間内でも気にしていた。

 元より心配性な彼女であるが、仲間内に心配されるような状態であるならば、何かしらの原因はあると思われる。かつてディオドラから求婚されていた時のように、なにか抱えているのは察せられるような人物だ。そして考えられることといえば…。

 

「もしかしてリアスさんのことを意識しているのかな」

「私もそうかなって思うんですよ。体育祭の話し合いをしていた時も、部長だからとか言っていて」

「うーん、リアスさんを尊敬しているがゆえにそのやり方を真似て…いや違うな。リアスさんの想いを聞いているからこそ、自分なりに上手にやろうとしているって感じだろうか。それでもあの人とは比べてしまう」

 

 アーシアの不安の強さ、リアスへの尊敬とそれ故に期待に応えようとする想い、彼女のもろもろを踏まえれば、思いついていることの原因を察するのは難しいことではなかった。そしてそれを察したからこそ、大一のとる行動は決まっていた。

 

「まあ、俺が口出しすることじゃないか」

「あ、あれ?大一くんならいい案があるかと…」

「アーシア自身が気づいていることをわざわざ言いませんよ。一誠がいるんです。あいつが気にかけてくれるでしょう」

「それで大丈夫でしょうか。私も仲間として教師として出来ることが…」

「しっかりとあいつがアーシアを見て、その想いを伝えれば大丈夫ですよ。弟はそれが出来る人間です」

 

 大一には確信があった。一誠はアーシアを見ている、かつて彼が弟と約束したことは盤石であることに疑いはなかった。

 

「むしろロスヴァイセさんが思い悩んでいたら、本末転倒な気もするんですけど」

「そうですね。仲間としてその辺りは信頼しないと…」

「…無責任な発言に思われるかもしれませんが、無理しないでくださいね。俺はあなたに一誠を支えて欲しいなんて頼みましたけど、それが負担にしてほしくないんです」

「大丈夫ですよ。どうしても無理になる前に皆とも話し合います。もちろん、大一くんにも」

 

 真面目さと思慮深さが入り混じった大人っぽい笑顔で、ロスヴァイセは答える。その雰囲気が大一に妙な胸の高鳴りを感じさせたが、同時に申し訳なさを抱かせた。

 

「すいません。俺の頼みを無理に聞き入れてもらって…」

「もともとリアスさんは私をイッセーくんの方に行かせたと思いますよ。あの人はあの人でアザゼル杯のために、自分のチームで出ることを決意していましたので。大一くんもそんなことで悩みすぎないでください。だからこの話題はここで一旦区切りましょう」

「本当にいい人ですよ、あなたは」

 

 大一の口から零れ落ちた本音は、ロスヴァイセの耳には届いていなかった。それが幸か不幸か、2人ともわからないのは確かだろう。それが深まることもなく、話題はここ最近の「燚誠の赤龍帝」チームの連勝について移っていく。

 

「そういえばアザゼル杯の調子よさそうですね」

「まだ神クラスのチームにこそ当たっていないのもありますが、それでも上級悪魔のチームにも勝てています。油断は禁物なので、手放しで喜ぶことは出来ませんけどね」

「それこそ次はデュリオのチームですからね」

 

 一誠が次に戦う「天界の切り札」チーム…デュリオをリーダーとした一行は、御使いの集大成と言っても過言では無かった。D×Dのメンバーであったデュリオやグリゼルダに加え、四大熾天使のAやメタトロン、サンダルフォンといった最高峰天使の懐刀もメンバーにいる。先日にはチーム同士の主要メンバーの顔合わせも行っていた。

 

「こちらも戦力は増えていますが、相手が相手ですので気をつけないといけません。最上級悪魔も監督についていますし」

 

 ロスヴァイセの言葉に、大一の瞳がピクリと動く。1週間以上前に、偶然出会ったリュディガー・ローゼンクロイツの声が脳内を反芻して刺激してきた。

 

「…この前、リュディガー様に会いましたよ。上層部への報告の際に偶然ですけど」

「え!?な、なにかありましたか?」

「いや、特別なことは。もちろん一誠達の情報だって漏らしてはいませんよ。…ただ、今からでもどこかのチームに入って、アザゼル杯に出た方がいいってアドバイスは受けました」

 

 リュディガーの言葉が間違いないことは、大一自身がよく理解していた。すでに一誠のチームにはかつて協力した吸血鬼のエルメンヒルデやタンニーンの息子であるボーヴァといったメンバーが協力している。いずれも一誠には思慕の感情を抱いており、レイヴェルの話だとさらに戦力増強の当てがあるらしい。

 それを踏まえると、自分のチームで大会に出たいという考えがいかに見通しの甘いものであるかは明らかであった。

 わずかに考え込んでいるような彼の表情を見て、ロスヴァイセは遠慮がちに口を開く。

 

「あ、あの…大一くん。今からでも私たちのチームに来ませんか」

「一誠のチームにですか?」

「そうです。大一くんほどの実力者がいてくれれば、みんな助かりますし、戦略の幅も広がります。私も…その嬉しいですし…」

 

 赤面するロスヴァイセは消え入るような声で言葉を締めていく。彼女の反応は先日、朱乃に抱いたようなむず痒さを大一にもたらしていた。

 

「ロスヴァイセさん、俺は…」

「よっし!とりあえず当面の目標は決定よ!」

 

 大一が答えるよりも先に、生島の雷のように轟く声が店内に響き渡る。彼はその筋肉質な腕をゼノヴィアとイリナの肩に回していた。2人の方もうんうんと頷いており、イリナの方はどこか涙ぐんでいた。

 

「聞いてちょうだい!ゼノヴィアちゃんとイリナちゃんは、イッセーちゃんのお嫁さんになるための決心をしてもらったわ!あとはどこかでその勇気を奮ってくれればパーフェクトよ!」

「うむ、生島さんの恋愛経験は学べることが多かった。私ももっと踏み込んでいかなくては!」

「生島さんと奥さんの話、私ちょっとうるうるしちゃったわ…!生島さん、私も頑張る!」

「それでこそ、我が弟子よ!大一ちゃんとロスヴァイセちゃんも応援よろしくね!」

「…あの話が見えないのですが」

「ロスヴァイセさん、深く聞かないでおきましょう。じゃないと、時間内に終わらないような気がしますので」

 

 結局、この後は生島の恋愛経験の話を聞きながらの仕事となり、大一とロスヴァイセが2人だけで話す機会はほぼ皆無であった。

 

────────────────────────────────────────────

 

 生島の仕事が終わった後、ゼノヴィア、イリナ、ロスヴァイセは大会関係者用の観戦ルームに向かい、大一の方は貰い物のチケットを片手に見ていた。しかし今回の一戦の規模はどこで観戦しようが、凄まじい迫力を感じさせた。

 リアスのチームととある最上級悪魔チームの試合、蓋を開けてみればリアス達の圧勝という形で幕を閉じた。リアス、朱乃、祐斗、小猫といつものメンバーの実力もさることながら、回復を行うヴァレリーや紫炎を操るリントの活躍も目覚ましい。

 だがチームでもっとも目を引いたのは、謎の兵士とギャスパーの存在だろう。チームの兵士枠で出場したミスター・ブラックことクロウ・クルワッハは、この試合で初めてその全貌を現した。前もって聞いていた大一ですら、その破壊力は衝撃的であり、なんとフィールドひとつを消し飛ばすという神クラスの一撃を放った。

 一方でギャスパーは海上を覆うほどの闇とそれによって形作られたモンスターの集団で、瞬く間に相手を飲み込んでいった。バロールとクロウ・クルワッハ、神話を想起させる組み合わせと噂にたがわぬ実力は、会場全体を盛り上げさせた。

 試合を見終えた大一はゆっくりと会場を出ていく。先日、リアスが話していた言葉が間違いでなかったことが実感させられる。彼女の溢れた自信に違わない光景を見せたのだ。

 なまじ興奮が冷めやらない状態の大一のポケットには通信用の魔法陣が描かれた紙が握られていた。試合終了後にアジュカから通信があったのだが、これもまた彼の興奮を加速させるのに一役買っていた。そんな状態の彼が会場から出たところで一誠達と合流する。

 

「一誠、どうだった。リアスさん達の勢いは?」

「ひとつ質問。兄貴はクロウ・クルワッハがメンバーだって知っていたのか?」

「まあな。と言っても、一緒に訓練はしなかったが。そんな俺でも先ほどの試合は衝撃的だった」

「そうか…いや、驚いた。同時にもっと戦力を増強しないとって実感したよ」

 

 一誠は頼もしく言い切る。1チームのリーダーとして、どうやって対抗するかを彼なりに考えていることは明白であった。

 曲がりなりにも上級悪魔として頑張っていることを目の当たりにした大一は静かに息を吐く。

 

「それくらい言えるなら、次の試合は楽しみにさせてもらうよ」

「もちろんだ。俺だっていろいろ考えているしな。…そうだ、兄貴。ちょっと聞いてほしいんだけど」

 

 周囲を見渡しながら、一誠は露骨に声を落とす。近くにいる仲間達にしか聞こえないくらいの声に、訝し気に眉をひそめるのは当然の反応だろう。

 

「リアスさん達の情報は言わないぞ」

「そんなことしねえよ。試合の方とかじゃなくてさ、実はさっきまでヴァ―リや匙と一緒に釣りをしていたんだよ」

「なんだ、そのメンバー…。情報の探りでも入れていたのか?」

「ただの相談だよ。いやそうじゃなくてさ、その時にヴィーザルさんとアポロンさんが会いに来たんだよ」

「「「「「「「えっ!?」」」」」」」

 

 一誠の衝撃発言に、彼のチームメイトと大一は驚きによる素っ頓狂な声を出す。ヴィーザルとアポロンと言えば、北欧神話とギリシャ神話の次世代を担う神様だ。オーディンやトール、ゼウスといった主神がトライヘキサとの戦いに向かったため、彼らはそれぞれ次の主神に決まっていた。そして現在ではテュポーンをリーダーとした若い神のメンバーで構成されたチームに参加している。大会の優勝候補の一角であり、その中核メンバーがわざわざ会いに来たということには驚きを隠せないのは当然だろう。

 

「ま、まあ、いろいろ聞きたい気もするが、話の腰を折るのもあれだしな。続けてくれ」

「ああ。それで2人がハーデスに気をつけろって忠告してくれたんだ。後日、親書を送るみたいなんだが、兄貴にも伝えておこうと思って」

「…どうして俺に?」

「兄貴って冥界でいろいろ仕事しているからさ」

 

 一誠なりの気遣いと同時に、もしもの時は情報共有を求めているのかもしれなかった。彼がどこまで意図していたのかを大一は図りかねたが、ひとまず小さく頷くだけでこの話題は終結した。

 さらにレイヴェルが大一に視線を向ける。

 

「あの大一お兄様、明後日辺りに戦力増強のために人に会うのですが、一緒に来てくれませんか?私たちも試合が近いので、特訓に付き合ってもらいたいのですが」

「明後日…すまない。その日は予定があって、どうしても無理なんだ。試合前のどこかでは特訓するから、それで勘弁してほしい」

「それはありがたいですが…少し残念です」

「ちなみに兄貴、その予定ってどんなことなんだ?」

 

 わずかに肩を落とすレイヴェルをなだめるように背中を撫でながら、一誠が質問する。これに対して、大一は先ほどの弟よりもさらに声を落として答えるのであった。ポケットの中で魔法陣の紙を握っている拳が奇妙に汗ばんでいた。

 

「お前がさっき教えてくれた神様に関してだよ」




ぼちぼち話も動き始めてこれた気がします。
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