待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!! 作:一人称苦手ぞ。
「愛してるゲームをしましょう」
暖房が効いた心地良い儂の部屋で、座布団に座った被身子が人差し指を立ててそう言いおった。
あのなぁ。儂、受験勉強中。来年の今頃は受験会場におるのじゃぞ? 昨日受験に合格したお主のように、暇じゃ無いんじゃ。だから人の勉強を邪魔するでない。
と、言ったところで被身子は儂に話し掛け続けるじゃろう。ちょっと勉強も疲れてきたし、ここらで雑談でもしておくかの。で、なんじゃ? 今何と言ったのじゃ?
「愛してるげえむ?」
「はい。愛してるゲームです」
「なんじゃそれ? 何の遊びじゃ」
「お互い交互に愛してるって相手に伝えて、照れた方が負けって遊びなのです」
……。くだらん遊びがあったもんじゃな。なんじゃその勝負は。愛してるって言われただけで照れる輩がどこに居る? 現代の遊びはよく分からんのぅ。
まぁでも、勝負って言うなら受けてやろう。これなら対等じゃろ。腕力の勝負じゃ儂は負けんし。
「良いぞ。受けて立つ。被身子が負けたら、今宵は添い寝無しじゃからな」
「良いですよ。どうせ私が勝つので」
言ったな? そんな挑発的な笑みを浮かべてまで、儂に勝つと断言したな?
ならば後で儂に負けても言い訳するなよ!! 今日と言う今日は叩きのめしてくれる!!!
勝負じゃ!!!!!!
「円花ちゃん」
「なんじゃ?」
「……ありがとうって言いたいのです。円花ちゃんは私の笑顔を褒めてくれて、いつも私の側に居てくれて……チウチウだって好きなだけさせてくれます。指輪も、くれました。これはトガの宝物です。大事な思い出です」
まだその指輪を首からぶら下げてるのかお主。まぁもうとやかくは言わんが。好きにせい。
「私が困ってる時は、助けてくれました。まぁ私のクラスメートを残らずボコボコにしちゃったのは良くなかったですけど。でも、それだけ大事にしてくれてるんだなって思えて……嬉しかった」
さっきからなんじゃ急に。止めい止めい。儂が勝手にやってることじゃ。あの日感情のまま、お主を縛り付けたのが儂じゃ。礼を言われたくてやったわけじゃない。被身子が不幸で見てられなかっただけなんじゃよ。
だからお主が言うてることは、全部儂の勝手じゃ。わがままじゃ。そこに恩を感じる必要は……。
……こうも真っ直ぐ感謝を口にされると、こそばゆいの。どうにもくすぐったいんじゃが? あーもう、見てられん。そんな真っ直ぐ見詰めてくるな。顔が熱くなってきた。
「円花ちゃん、愛してます。心の底から、底の底から、……愛してます」
「っ……いや、その……じゃな……? 被身子よ……」
「あっ、照れてる。私の勝ちです!」
「照れとらんわ!! どこが照れてるんじゃ貴様ぁ!!!」
こ、こやつ……っ! 急にしおらしい態度で感謝を伝えて来たと思ったら、悪どい笑みを浮かべおって!!
「どう見ても照れてるのです。顔がまっかっかですよ、円花ちゃん」
「うるさい。こっちを見るなたわけ」
あー、無理じゃ。今は無理じゃ。被身子の顔が見れぬ。心臓が喧しい。もう勉強に戻ろう。受験までそんなに時間は無いからのぅ。一年なんてあっという間じゃ。受験勉強に呪霊狩り、術式操作の鍛錬に
あんまり被身子ばっかりに構っていると、何かが疎かになってしまうじゃろう。それも悪くない気はするが、堕落は望むところではない。
構ってやったんじゃから、少しは静かにするじゃろう。しろ。してくれ頼むから。
「……まーどか、ちゃん」
「おぐっ」
後ろから急に抱き付くな。体重をかけるな。急に来るのは止めろと何度言えば分かるんじゃっ。
「私にだけ言わせといて、円花ちゃんは言ってくれないの?」
「……お主なぁ」
さては儂に愛してると言われたいから、このげえむを持ちかけたな? 別に口に出して言わなくても良いじゃろうが。お主の気持ちは伝わってるし、儂の気持ちだってそうじゃろう?
お主とは、何年一緒に過ごしてきたと思っとるんじゃ。時間の流れは早いものでなぁ。もう十年じゃぞ、十年。十年も経っとるんじゃぞ?
「……」
「……」
「……」
「……」
おい、なんとか言え。無言で人様の首に顔を埋めるな。体を締め付けるな。くっ付くな。勉強の邪魔をするなら出て行かんか貴様。
「……」
「……」
あーー、もう。分かった分かった。言えば良いんじゃろ言えば。気恥ずかしい事を求めおって。儂、そういうの慣れて無いんじゃよ。まっこと仕方ない許嫁よのぉ。
「……ぁ、あい……」
……。…………。………………。
「……」
やっぱ止めじゃ。止めじゃ止め! 言えるか馬鹿!
言えば間違いなく調子に乗るじゃろ貴様!
と言うかじゃな、前に一度言うただろうが。何度も言わせようとするな! 一度言えば十分じゃろうが!! 物分かりが悪いのぅお主!!!
……ああもう分かった。言うから。ちゃんと言うから気分を沈めるな貴様。儂の横にいるなら笑わんか。
「……ぁ……ぃ、し…とる、……ぞ」
ほら、これで満足か欲しがりめ。卑しい女め。満足したならさっさと離れんか、たわけ。いや待て、離れるな。今は離れるな。しばらく儂の顔を見てくれるな。熱いんじゃ。火が出そうな程に熱いんじゃ。
いかん。いかんぞ。呪術師が感情を抑え込めぬなど。呪力が乱れる。と言うか、自己補完の範疇で回し続けてる
顔の火照りは
いやでもこれ、とても落ち着けそうにないのぅ。
ええい、誰ぞおらんか!?
感情を消せる術式をここに持ってこさせい!!
儂がご乱心じゃ!!!
何度でも言うぞ。続きなど無い。(挨拶)
こういうバカップルがするようなイチャイチャゲームは一通りやらせたい次第です。後何回負けるんでしょうね、この子。
三人称による補完は要りますか?
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欲しい
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要らん
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良いから一人称で突っ走れ