待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!! 作:一人称苦手ぞ。
ぷりくら、とやらは微妙じゃった。使えん機械め。こんなもので写真を撮って、いったい何が楽しいのやら。まぁ機械に被身子の良さを分かれと言う方が無理難題かもしれんが。結局のところ被身子の写真が欲しいのであれば、儂が
ともかく、ぷりくらはもう良い。しばらく利用することは無いじゃろう。何なら二度と使わんかも知れぬ。じゃって、出来映えが微妙じゃし。
「円花ちゃんが楽しめるもの……となると、やっぱり体を動かす系が良いですよね?」
「いや、よく分からんから任せる。それにしても変なところじゃの、げえむせんたあ」
「若者は割りと好きだと思うんですけど……。ほら、円花ちゃんってたまにお年寄りですし」
「……」
実際、年寄りじゃからの。見てくれは子供じゃが、中身は立派に爺いじゃよ儂は。前世を含めれば七十を越えとる。この辺りの事情は、多分いつまでも被身子に話すことは無い。言ったところで信じて貰えるような話でも無いし、儂も何でこの時代に産まれ直したのか分からん。わざわざ話す必要も無い。ただ、性自認の事についてはいつか話しておくべきかのぅ?
いやしかし、素直に告白したとして被身子が顔をしかめる可能性は高い。儂に女物の洋服を着せたがるこやつとしては、性自認を理由に変な遠慮をしてしまうじゃろう。本気で儂が嫌がるような事は、基本的にはしないからの。牛乳を飲ませようとするのも、結局は儂の体を気遣っての事じゃし。それにまぁ、別に
「んー、じゃああれをやりましょう。あれ」
ぷりくらから離れた被身子が指差したのは、大きな四角い板じゃ。何じゃあれ? 誰も遊んでいないように見えるが、何をする機械じゃ? 何か書いてあるが、英語じゃから分からん。唯一分かることが有るとしたら、おおるまいとを題材にした何かと言うことじゃ。
じゃってほら、見覚えのある触覚が板の上に取り付けられておるし。色も、おおるまいとっぽいと言うか何と言うか……。
「これ、何をする機械じゃ?」
「動体視力を測定する感じのゲームなのです。多分」
「ほう?」
「やってみます?」
動体視力を測定する機械か。何で遊び場にこんなものが有るのかはさっぱり分からん。何なら意味不明じゃ。けどまぁ、有るならやってみるとするか。他のげえむと比べたら、まだ目的と言うか内容が分かりやすい。どのように動体視力を測定するのかは知らんが、何事も経験じゃ。せっかくだから遊んでみよう。
「うむ。被身子、小銭」
「はーい。……あ、難易度調整出来るみたいですけど、どうします?」
「……?」
難易度? 動体視力を測るのに難易度も何も無いとは思うが。げえむとやらは、よく分からんものばかりじゃ。
まぁ、難易度なんてものはどれでも良いんじゃが……簡単なのは、きっとつまらん。であれば……。
「一番難しいので頼む」
「言うと思ったのです。はい、じゃあ始めますから板の前に立って」
「うむ」
「ちなみにやり方は……多分ですけど点灯したところをタッチする感じです。光ったところから順に、片っ端から触ってください。
じゃあ、始めますね……?」
「相分かった。任せろ」
何だかよく分からんままじゃけど、とにかく光ったところを触れば良いんじゃな? 何じゃそれ。それのどこが楽しいんじゃ? ……謎じゃ。
『ハーッハッハッ! 私の記録に挑戦するのは誰かな!? 見事クリア出来た者には、特別な景品を用意してある! 頑張ってくれたまえ!!』
うわ、板が喋りおった。この場に居ないおおるまいとの声が聞こえるのは、何とも変な感じじゃ。もしかしてこれも
確かにまぁ、
『3……2……1……START!!!』
お、始まった。どれ、やってみるとするかの。取り敢えずの目標は……勝つか、このげえむに。
◆
勝ったわ。嘘か
終わってみてから、思う。げえむとはつまらんものじゃ。これなら雑魚呪霊を祓っていた方が、まだ楽しいかもしれぬ。体を動かすこと自体は楽しいんじゃけど、げえむせんたあに来てまで運動したいとは思えん。運動したければ、外でするしの。散歩の方が、儂は楽しい。
ただまぁ、ひとつだけ。げえむせんたあに良いところが有るとするなら。
何だかんだで、被身子が喜ぶ。この一点だけじゃ。ぷりくらも喜んでいたし、動体視力のやつも儂が結果を残すと笑ってくれた。それだけで来た価値がある。要するに、儂は被身子が笑顔なら何でも良いってことなんじゃけど。
まぁ、それはそれとして。げえむせんたあには、もうひとつ文句がある。
「何か、見られてますね?」
そう。動体視力を測り終えた後ぐらいから、見知らぬ奴等から視線が集まっておる。何で誰も彼もが、儂等を見るんじゃ。人によっては
今、儂と被身子は目についた
「……お主、何かしたか?」
「何もしてませんよぉ。強いて言うなら円花ちゃんのせいです」
「何故? 儂は何もしとらんが?」
「んー。これです、これ」
そう言って、被身子はさっきから弄っていた
……。……、次の
「円花ちゃんの可愛さに世界が気付いたのは良いんですけど、有ること無いこと書かれるのは苛つくのです」
「何て書いてあるんじゃ?」
「……オールマイトの愛弟子。隠し子。次の平和の象徴、同性愛者、大和撫子、体育祭で見せた特徴的な笑顔。デストロイガールにブラッディ。他にも色々です」
ううむ。ろくでもない事を書かれているらしいの。しかも幾つか訂正したい内容も有る。が、……まぁ儂が誰にどう思われようと構わん。変なあだ名さえ付けなければ、別に勝手にすれば良い。と思う。
ただのぅ、こうも儂が注目されるとなると……被身子まで変に注目されてしまうのではないか?
それは嫌じゃ。気に入らん。こういう状況を対処するにはどうすれば良いか、相澤かおおるまいとに聞いておくべきじゃった。
まったく。今日はどいつもこいつも
「よし被身子、逃げるぞ。良いな?」
「はい。じゃあトガを何処かに連れ去ってくださいっ」
笑顔で何を言っとるんじゃこやつ。また訳の分からん事を……。今日のお主は何でこう……。いや、良い。笑ってるなら何でも許す。
とにかく、じゃ。人目が集まるのは面倒じゃから、被身子を連れてこの場から逃げることにする。取り敢えず目指すべき場所は、人目の付かない場所じゃ。そんな所が何処にあるかは分からぬが、歩いていれば見付かる筈。こんな事になるなら、くらすの連中とばあべきゅうでもするべきじゃったかもしれん。
いやでも、学友との交流よりも
「んふふっ。なんか円花ちゃんにリードされるのって、新鮮なのです。たまには追い掛け回されるのも、悪くないですね」
いや、じゃから何を言っとるんじゃ貴様。喋ってないで足を動かせ足を。まだ何人か付いて来とるんじゃから。あと、もっとしっかり儂の手を握らんか。はぐれたらどうするんじゃっ。
三人称による補完は要りますか?
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欲しい
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要らん
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良いから一人称で突っ走れ