待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!! 作:一人称苦手ぞ。
ん、んん……。あぁ、朝じゃ……。ぐっすり寝てしまった。と言うか、気絶しておったの。体が怠い。しんどい。昨日の事は……。
うむ……、まったく覚えておらん。何じゃったけ? いまいち頭が回らん。
ええっと……、あぁ、そうじゃそうじゃ。生理なのに無理して動いて、林間合宿に来たんじゃった。思い返せるのは、乗り物の中で相澤先生の言葉に不満を抱いたことか。それ以降の記憶は無い。かなりの長時間、気絶していたようじゃ。やたら喉は乾いているし、腹は空いとるし、体は汗で気持ち悪いし、何より……血の臭いが濃い。
これは被身子には毒じゃ。いつ理性が飛んでしまってもおかしくないの。早く臭いを消さねば。じゃから、風呂に入りたい。
被身子に抱き枕にされているのはいつもの事じゃから気にしないとして……、ここは何処じゃ?
何かの建物の寝室ということだけは分かるが、何も分からない。と言うか、覚えていないんじゃ。
取り敢えず、被身子の腕から抜け出そう。で、荷物を焦ってから着替えを抱えて風呂場を探す。出来れば朝食を摂りたいところじゃが、まぁこれは後回しで良い。とにかく、まずは風呂じゃ風呂。色々とべたべたして、ただただ気持ち悪い。
「よっ、と……」
「んん……」
いかん。被身子の腕から抜け出したのは良いが、起こしてしまったか? もう少し慎重に動くとしよう。周囲にも敷かれた布団の上で、くらすの
……。ふと思ったが、葉隠は何処じゃ? 何処にもそれらしい姿が見当たらない。まさか、裸で寝ているのではあるまいな? 気を付けて歩かないと、うっかり踏み付けてしまうかもしれん。いやしかし、気を付けたとしても葉隠の姿は見えないんじゃ。
ううむ、こういう時に透明人間が居るのは困るのぅ。仕方ない、踏んだら踏んだじゃ。その時は謝ろう。
「っ、と……」
周囲の者を起こさぬように、静かにゆっくりと立ち上がると目眩がした。生理は収まったが、本調子にはまだ遠い。もう少し強く
……ふぅ。よし、大丈夫そうじゃ。体は回復しきった。下腹部の痛みも無い。生理は完全に収まってくれた。また来月ぐらいには同じ苦しみを味わうと思ったら、とてつもなく嫌な気分になってしまうが。
で、鞄は何処じゃ? 部屋を見渡してみるがそれらしい物は……。……あぁ、有ったわ。部屋の隅に、全員分の荷物が積み上げられておる。儂と被身子の鞄は、上の方に積んであるのぅ。どれ、さっさと着替えの用意をして、風呂に入ろう。この建物の何処に風呂場があるかは知らんが、まぁ適当に歩けば辿り着けるじゃろ。
さて、風呂じゃ風呂。ゆっくり湯に浸かりたいとこじゃけど、最悪
「……ん、あれ……。おはよぅ円花ちゃん。調子はどう?」
「すまん、起こしてしまったの。まだ寝てても良いんじゃぞ、麗日」
壁に吊るされた時計を見るに、まだ朝の四時になったばかりじゃ。起きるには少し早い時間じゃから、もう少し寝ていたって誰も咎めはしないじゃろう。静かに部屋を抜け出すつもりじゃったが、麗日を起こしてしまった。適当に寝かし付けて、風呂に行こう。出来れば被身子が起きる前に、体を綺麗にしておきたい。でないとまた人前で噛み付かれてしまうかもしれん。
「んん、朝の四時は眠いねぇ……。でも、起きなあかんから……」
「? 何でじゃ?」
「五時半に集合なんよ。だから、そろそろ起きとかんと……ふわぁ」
五時半に、集合?
「儂は風呂に入ってくるから、被身子が起きたらそう伝えておいてくれ」
「あ、じゃあ案内せんと」
「いや、勝手に探すから案内は……」
「一人で出歩いたらあかんよ? 迷子になるんやから」
いや、ならんて。建物の中で迷子になる阿呆が何処に居るんじゃ。まったく、何でどいつもこいつも儂を方向音痴扱いするのか。そんな過保護になられても、どう反応したら良いのか分からん。
……いい加減、直すべきか? いやしかし、直し方など分からんし直す必要も無いと思うんじゃが。道に迷ったって死ぬわけじゃあるまいし。出掛ける時は誰かを連れ回せばそれで良いと思う。
「ん、ふぁ……。何してるんですかぁ……?」
む……。被身子が起きてしまった。出来ればもう少し寝ていて欲しかったんじゃけど、目を覚ましてしまった。まだ目蓋が半分以上閉じているし、寝惚けている。寝起きだからか、少し機嫌が悪い。が、寝惚け眼のまま儂を見ると小さく笑ってくれた。
「風呂に入ってくる。お主はもう少し寝てても良いんじゃぞ?」
「……ふわぁ。もう起き、まひた。おはよぅございます、円花ちゃんにお茶子ちゃん……」
「おはよう渡我先輩。何だか、凄く眠そうやね……?」
「眠いですよぉ。昨晩は寝にくくて、結局日付が変わるぐらいまで起きてましたし……」
何でそんな時間まで起きて……? いや、儂のせいか。普段とは違う環境で寝にくかったというものも有るかもしれんが、それ以上に儂が生理だったのが原因じゃろう。それは申し訳ないことをした。後で何をされても、文句は言えぬのぅ。
「欲求不満なのです。だからぁ、トガとお風呂行きましょうか……」
「う、うむ。一緒に入ろう……」
これは大変な事になりそうじゃ。けど、昨日は散々甘えた上に我慢させてしまったからのぅ。今度は儂が被身子を甘やかす番じゃ。くらすめえとや先生が居る林間合宿じゃけど、どうにか人目を盗んでやる事をやらねば。
それに、ほら。儂も……噛んで欲しいと思っとるし。
生理は嫌いじゃ。被身子に我慢させてしまうし、儂も欲求不満になってしまう。昨日はあんなに噛んで欲しかったのに。結局一度も、甘噛みすらしてくれなくて……。
……。……いや、待て。落ち着け。何で噛まれないのが不満だなんて思った? これでは日に一度は噛まれないと物足りないみたいで……。
つい、自分の首筋を指で撫でてしまった。同時に被身子の目が、妖しく輝いた。気がする。あぁ、もう……。これは長湯になるのぅ。別に構わんけど。と言うか、そうなった方が嬉し……、い……。
と、とにかくっ。風呂じゃ風呂っ。被身子と風呂に入るっ。着替えは何処じゃっ!?
◆
「お、おぉ……!」
余裕の無い被身子に引っ張られるような形でやって来た風呂場は、何と温泉じゃった。いや、これは露天風呂か? どちらでも構わんっ! 久しぶりの大風呂じゃ! 良いのか!? 生理明けにこんな所で湯に浸かって良いのか……!?
いかん、わくわくしてきたっ。これは是非とも長湯して、堪能しなければ! そうと決まれば体を洗おう。髪も!
「んふふっ。すっかり元気なのです。良かったですね、円花ちゃん」
「じゃって、好きなんじゃもん。やはりこういう風呂を見ると、気分が上がる……!」
「知ってますよぉ。大好きですもんね。でも……その前にぃ」
「っっ、ん……っ。ぁ、被身子……っ」
急に、噛み付かれた。後ろから抱き締められて、思いっきり牙を突き立てられた。
貴様、楽しみを前に何をするつもりじゃっ!?
とは、流石に言えぬの。ここは風呂場。お互いに裸。儂等のように朝から風呂に入ろうとする者は、恐らく居ない。他に誰の姿も見えぬし。とくれば、もう被身子が我慢する必要は無い。……良いぞ、好きにして良い。儂も、その……されたいと思っていたところじゃから。
「っ、ん……」
じゃけど、その。これは……何じゃ? いつもより、いつもより噛まれることが心地好く感じてしまう。真後ろから抱き締められているからか、落ち着きの無い荒い鼻息が聞こえるからか、それとも昨日はこやつが何もしてくれなかったからか。
儂は別に、生理中でも噛まれて良いのに。その方が楽なのに。でも被身子は儂が生理じゃと、絶対に手を出そうとしない。実はそれが、結構不満じゃ。いつもは躊躇いなどこやつとは無縁と思う程、手を出してくるというのに。
「っ、ぅ……。んん……」
……っ。いかん、気恥ずかしくなってきた。変な声が出る。おい被身子、ついでに体をまさぐるな。変なところを撫で回そうとするなっ。今は他に誰も居なくても、急に人が現れるかもしれないじゃろっ。
「ん、ふふ……っ。円花ちゃん、円花ちゃん……っ」
……。仕方ない。好き勝手にさせてやるとするか。今回は、と言うか……今回もご褒美じゃ。我慢させてしまったからの。その分今日は甘やかしてやらないと。こんな状況を人に見られたら大問題になると思うが、儂だって欲求不満になっているのは確かで……。
じゃから、その。色々してくれると……嬉しく思う。
あぁ、また顔が熱い。そのうち顔から火が出そうじゃ。あと二年が遠く感じる。何であと一年早く、儂は産まれ直さなかったんじゃろう? 被身子を待たせるのが忍びなくて……。じゃから、という訳でもないが……その。
……良い、よな? このまま求めてしまっても。
※この後、滅茶苦茶チウチウされた。
三人称による補完は要りますか?
-
欲しい
-
要らん
-
良いから一人称で突っ走れ