待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!! 作:一人称苦手ぞ。
怒られた。それはもう、盛大に叱られた。竜巻が起きてしまった原因が儂に有ると知った教師やくらすめえとに、次々とお説教されてしもうた。まさか被身子まで一緒になって叱ってくるとは……。
でもでもじゃって、竜巻が起きるとは思わなかったんじゃもん。じゃからほら、そんなに怒らなくても良いではないか。確かに危なかったかもしれんが、誰にも被害が無かったことじゃし。三
「廻道、個性を二つ持ってたのか?」
教師やくらすめえと達、そしてわいるど何たらとか言う
これは、素直に訳を話した方が良さそうじゃ。いい加減に誤魔化しては余計に不信感が募るじゃろうし。何より今の儂には人権が無い。気がする。常闇はともかく、被身子にまで白い目で見られるのは少し堪える……。
「いや、個性はひとつじゃ。回転と言っての、触れたものを回すことが出来る」
「廻道の個性は操血じゃないのか?」
「正確には赤血操術と言うんじゃけど……。まぁ要するに、個性とは別の力じゃ」
「え、個性じゃない……?」
ううむ。説明が大変じゃ。今まで術式の事については個性として語ってきたし、誰もがそれを疑わなかった。
個性は何でも有り、みたいなものじゃからのぅ。なので、儂が自在に血を操るところを見てもそういう個性として皆は受け入れていた。なのに今、実は個性じゃなかったと言われて誰もが困惑してしまっている。人前で回転を試すべきではなかったと、今では思う。
「儂が今まで使っていたのは、個性ではなく術式……。お主等に分かり易く言うなら、呪術じゃ」
「あぁ、だから呪術師とか言ってたのか。常闇みたいな趣味があるのかと思った」
「そんな趣味は無い」
常闇と同じ趣味じゃと思われていたのは、正直解せぬ。まっこと解せぬ。幾ら親友じゃとしても、儂に常闇のような趣味は無い。変な言葉は使わんし、変に格好付けてもおらん。真っ黒も別に好まん。儂は
それにしても、常闇の厨二病とか言う症状は一向に収まらんのぅ。そんな病気が有るとは、この時代は何とも恐ろしい。誰もが常闇みたいな趣味嗜好になると考えると……結構怖いな……。
「……とにかく、じゃ。儂の操血は実は個性ではないんじゃ。
別に、わざとではないんじゃ。試しに個性を呪力強化して、空気に触れてみたら竜巻を起こしてしまったというだけじゃ。訓練場に背を向けた形で試して良かった。もし逆の方向を向いて個性を使っていたらと考えると、背筋が冷たくなる。
「まぁ、反省してるなら良いけどさ。それにしても廻道、相変わらず無茶苦茶」
「ケロ。ポンコツなのか凄いのか、測りかねるわね」
「うーん、やっぱり円花ちゃんはポンコツや思う」
「実際ポンコツだよねー。でも、竜巻を起こせる個性なんて凄くない? 赤血……操術だっけ? それも十分凄い力なのに」
じゃから、ぽんこつ呼ばわりするな。何でどいつもこいつも、儂をぽんこつ扱いするんじゃ。ぽんこつって言う方がぽんこつなんじゃぞっ。たわけっ。あと葉隠、別に回転は凄い個性では無いと思うが。さっきの竜巻は呪力との組み合わせで起きてしまったことじゃからの。
「相澤先生、この場合はどうなるのでしょうかっ!? ひょっとして廻道くんは、個性の虚偽申告になってしまうのでは!?」
……。飯田。それについては、出来れば口にして欲しくなかった。じゃって、絶対面倒な事になるじゃろう? こう、法律的に。儂、もしかして犯罪者か?
それは……いかん。まっこといかん。
「あ、それなら実は問題無いのです。個性に関する法律の中で、個性以外の超常能力が発現してしまった場合はそれも個性として扱うそうなので。
そんな前例は超常が始まってから一度も無いそうですけど」
そう、なのか……? 被身子、それは
良かった。被身子が法律を勉強してくれていて。これを機に、儂も少しは真剣に法律を学んだ方が良い気がする。
「まぁ円花ちゃんの場合、回転や呪力が個性以外の超常能力として発現したことになっちゃうと思いますけど」
「飯田。渡我の言う通り、ひとまず問題は無い。ということには出来る。
……が、廻道。何故呪術について、早い内から申告しなかった? 周囲の大人に伝えることは出来ただろう?」
「……」
何故。と、聞かれてものぅ。その時は回転を使うつもりが無かったんじゃ。ふたつも登録するのはややこしそうな気がしたし、そもそも役所から貰ってきた書類に記入欄がひとつしかなかったんじゃけど?
……なんて素直に話すと、また睨まれそうじゃの……。何か上手い言い訳は……思い浮かんでもしない方が良いか。下手な事を言うと、また叱られてしまいそうじゃ。
「それと、いつ呪術に目覚めた?」
「四歳になった時じゃけど」
「……、はぁ。なのに個性を虚偽申告していたと?」
「う、うむ……。当時はこの時代の法など知らんし……」
いかん。これはいかん。相澤先生がご立腹じゃ。髪を逆立たせて睨まないでくれ。怒った被身子とは違うが、圧が凄まじいんじゃ。
「……役所に行って個性登録をし直すぞ。呪術や呪力についてしっかりと申告して貰う」
「おぐっ。き、貴様、生徒を縛るな……!」
首に捕縛布を巻き付けるなっ。後で被身子が何するか分からんじゃろっ。いい加減、この布を千切っても良いんじゃぞっ!?
「問題児の扱いなんてそんなもんだ。忘れたか?
……この件は想定外だったが、ひとまず全員訓練を続けろ」
「相澤先生、私も行って良いですか?」
「そうだな。道中、この問題児に説教するのを手伝ってくれ。マンダレイさん、後は頼みます」
……。……雲行きが怪しくなってきた。気がする。まだ説教が続くのは、勘弁して欲しいのぅ。これでも反省はしとるんじゃ。だいたい、後で被身子が説教を理由に何をしてくるか分からんじゃろ。儂の身が持たんから、手加減して欲しい。最近のこやつは、色々とやり過ぎになってしまう時があるんじゃ。ただでさえ今日は、一度不機嫌になっていると言うのに。
ところで、まんだれいとは誰じゃ? そこに居る変な格好の
何で全員して四角い猫耳……? 的な髪留め? をして……。どうして
「ほら、行くぞ廻道。市役所に着くまで説教してやるから、さっさと来い」
ぐえっ。おい、急に引っ張るな。そもそも首に捕縛布を巻き付けるんじゃないっ。さっきから被身子が冷たい笑みを浮かべとるんじゃ!
「円花ちゃん。後で覚えておいてくださいね?」
いや待て。待たぬか被身子。文句は相澤に言え相澤にっ。直ぐに生徒を縛り上げるこの体罰教師にその目を向けろっ。何で儂を睨むんじゃっ! おかしいじゃろっ!
三人称による補完は要りますか?
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欲しい
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要らん
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良いから一人称で突っ走れ