待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!! 作:一人称苦手ぞ。
げほっ、ごほっ。く、臭い……! あやつ、訳の分からん個性を使いおって! 人の喉から臭う液体を出す個性とは、どんな嫌がらせじゃ!?
何が「良く考えると良い。従うか、失うか。賢明な判断を待っているよ。返答が有るまで、話し合いは継続と言うことにしておこう」じゃ、あの背広男っ! よし決めた、あやつは殺す。さっき殴り損ねたし。嘘か
「廻道?」
「んん゛ーーっ! ん゛ん゛ーーっ!!」
……。まことに? まことに誘拐されたのかこやつ等。二人して何をやっとるんじゃ。被身子はどうした? この場には居ないようじゃが……。と言うか、ここは何処じゃ。さっきまで儂が居た場所とは違う。周囲を見たところ、この時代の酒場のようじゃ。
で、
……。よく考えなくても、儂のせいじゃの。事が解決したら、後で二人にも謝るとしよう。
ひとまず、人質の確認は出来た。周囲には、こちらの様子を窺う輩が多数。
「マジで来たのかよ。何考えてんだこいつ……」
「死柄木弔。彼女はお客様です。丁重に扱わねば、面倒なことになりますよ」
「は? 客? こんなチビが?」
手小僧……と、黒霧は相変わらずのように見える。以前と変わったことと言えば、やたら周囲の人数が増えていることか。常に二人で行動しているような印象じゃったが、どうもそうではなくなったらしい。
それはそれとして、なんじゃこの火傷面。儂を見るなり、ちび呼ばわりじゃと? よし決めた。こやつも処す。ぽんこつだのちびだの、
「まぁまぁ待てって。せっかく可愛いお客さんが来たんだから、もてなしてやろうぜ! 仲間にはしねえけどな!」
「あら、しないの? こんな可愛い子だったら大歓迎だけど」
「JKと会話かぁ、ちょっとオジサン緊張しちなうかも」
火傷男に続いて口を開いたのは、覆面を被った変な男と化粧をした変な口調の男。……男じゃよな? 儂みたいに性自認が違う可能性があるかもしれんが……。そしてもう一人は……これまた珍妙な格好をした奴じゃの。帽子に仮面に覆面て。被身子が見たらどんな反応をするのやら。あともう一人、壁に寄り掛かって一言も発しないトカゲみたいな奴がおる。
取り敢えず、全員の顔は覚えておくことにしよう。顔を隠してる奴ばかりじゃけど。ついでに名前も聞いておくとするか。
「廻道円花じゃ。どうせ知ってるとは思うがの」
「あらやだ、この子丁寧だわ……! 誰よバーサーカーなんて言ってるのは!」
「ヒーロー志望に名乗れる名前は持ち合わせてねえ! 俺、トゥワイス!」
「マグネよ」
「で! こっちがMr.コンプレスでこっちが荼毘! あと、そこのトカゲみたいのはスピナーな!」
「ヤモリだ! トカゲじゃないっ」
ううむ、やたらと騒々しい奴等じゃの。
それと当たり前じゃが、誰一人本名を明かしていないようじゃ。名乗ったのは、
「まぁ短い仲じゃとは思うがよろしく頼む。ここは茶のひとつも出してくれんのか?」
警戒を怠るつもりはないが、客として招かれているのなら相応に振る舞うとしよう。ほら、さっさともてなせ。牛乳と珈琲以外で頼む。
「ん゛ーーっ!!」
堂々とそふぁに腰掛けると、舎弟が吠えた。喧しい。人質なんじゃから、少しは大人しくしろ。儂が何もしないのは、貴様や常闇が人質になっているからじゃ。そうでなければ、とっくにこの場を離れている。
「図太い奴だな。この状況でそんな態度取るか?」
「客らしく振る舞ってるだけじゃ。礼儀が欲しければまず貴様等が振る舞いを正せ。揃いも揃って間抜けか?」
「……トゥワイス。こちらをお客様に」
「オーケー任せな。自分でやれ!」
「あ、私にも頂戴。プロテイン入りで」
「白湯寄越せ」
「コーヒー」
騒々しい。まっこと、騒々しい。こんな奴等が未だに捕まっていないことが不思議じゃの。
「はいお嬢ちゃん、ミルクお待ち! 牛乳飲んで大きくなろうなっ! 縮め!」
おい、机に中身が入った
まぁ良い。今はそれで我慢してやろう。変な弱味を見せたくはないし、牛乳が飲めないのを良いことにぽんこつ扱いされるのも癪じゃ。別にその気になれば、牛乳くらい飲める。おい常闇、儂を見詰めるな。何じゃその目は。人質のくせに随分と余裕そうじゃな?
「んぐ……っ」
ま、不味い。牛乳不味い。危うく吐き出すところじゃ。何で世の中にはこんなものが当たり前に売られているのか。気でも狂ってるとしか思えぬ。この世から無くなってくれぬかの、牛乳。いや、そしたら色々なおやつが食べれなくなってしまうか。仕方ない、存在は許してやる。代わりに牛乳として儂の前に出てくるな。
「仲間になるなら、まずは自己紹介から行こうぜ! どんな個性持ってんだ?」
「回転。術式は赤血操術。貴様等は?」
警戒心が無い。儂がここに来た時の様子見は何だったんじゃと思う程に。この様子じゃと、別に今すぐ動いても問題は無い気がするの。
常闇と舎弟の拘束を解いて、二人を連れて逃げ出す。儂なら余裕じゃ。懸念点は派手に縛り付けられた舎弟が自由になった時、何をしでかすか決まっているということ。間違いなく悪党に攻撃するじゃろう。逃げてしまった方が楽なんじゃけどな。いっそ気絶させて運び出すか? だあくしゃどうに運んで貰えば特に問題無い気がするの。
あくまで、相手するのがこやつ等だけならな。
どうしても無視出来ない問題がひとつある。儂がここから逃げ出そうとした場合、あの男が何をしてくるか分からん。直接追ってくるかもしれんし、呪霊を差し向けてくる可能性もある。どちらにしても一筋縄では行かないじゃろう。
いっそ、誰かが助けに来るまで大人しくしているか? ここに留まれば話し合いは継続。あの親玉と結んだ縛りからして、それがもっとも危険が少ない。
「いや、ごめんなっ。それは話せないんだ。教えてやりてえ!」
しかしさっきから、とぅわいすとやらは変な喋り方をしている。そろそろ鬱陶しいの。
それに、こやつ等は誰一人として自らの個性を明かさないのも面倒じゃ。せめて個性の把握さえ出来れば、どのように動くかも選べるんじゃけど……。
「お嬢さん、下手な真似は止めた方が良い。この二人が人質だってこと、ちゃんと分かってるんだろ?」
「おい。触れるな」
みすたあこんぷれす。とやらが、常闇と舎弟の間に立ち二人の肩に触れる。大人しくしていろと、儂を脅したいようじゃ。
「ひとつ手品を見せようか? ……タネも仕掛けも、ございません」
「は?」
……消えおったわ。常闇と舎弟が、椅子ごと消えた。仮面の悪党の両手には、硝子玉がひとつずつ。どうやら何かしたらしい。個性じゃな。どんな個性かは知らんが、ひと二人を消して見せるか。正直驚いてしまったが、心配はない。取り乱す必要もない。
もし
「二人の命は俺達の手の中。物騒な事は考えず、大人しくしてようか」
まぁ、良しとしよう。どの道、あやつとの話が続く以上は誰にも危害は加えられん。縛りの中の儂の身の安全の保証は無いが、儂が狙われる分には問題ない。そもそも儂は、抵抗しようが何をしようが自由じゃ。縛りを破ることは無い。
「ちょっと! 女の子に意地悪しちゃ駄目でしょう!?」
「いってえっ!?」
仮面の悪党が、化粧の悪党に叩かれた。仲間割れ、じゃったら良かったのぅ。生憎これは、戯れの範疇。
「……貴様等の事はもう分かった。儂は寝るから、静かにしてくれ」
「おいおい寝るなよ。状況分かってんのか? どういう神経してんだお前」
「死柄木、儂は別に良いんじゃぞ? 今ここで貴様等を皆殺しにしても。
不利な縛りを結んだのは、そちらの親玉。文句が有るならあの男に言え」
くあ……っ。ああ、いかん。眠くなってきた。悪党の前で無防備に寝る趣味は無いんじゃけど、もう寝る時間じゃ。儂がこの場に留まる以上、子供達が危害を加えられることはない。被身子も両親も、ひとまず無事に過ごせる。
そう考えたら、うむ……。眠気が増してきた。昼間は訓練じゃったし、どうにも疲れているのぅ。起きていようと思えばまだ起きていられるが、起きていても何が出来るわけでもない。別に暴れてしまっても良いんじゃけど。まぁそれは、後に取っておくとしよう。
寝込みを襲われる心配は無いとは言えんが……。ああ、儂を欲しがってる輩が儂に危害を加える真似はせんか。あの男の言うことが事実なら、儂は五条の末裔で器とやらにしたいらしいしの。
……。………、寝るか。寝てしまおう。久しぶりに、座ったまま寝るとするか。眠りは非常に浅くなるが、今でも一晩ぐらいなら大丈夫じゃ。前世では、よく旅の最中に木々にもたれて寝たものじゃ。うたた寝してたら呪霊に喰われかけたのは、良くない思い出じゃけど。
すぴぃ。
AFO「絶対危害加えんなよ!?絶対だぞ!?」
円花(さては儂に危害加えれんな? 好き勝手しよう)
弔「マジで何なんだこいつ」
三人称による補完は要りますか?
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欲しい
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要らん
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良いから一人称で突っ走れ