待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!!   作:一人称苦手ぞ。

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囚われの身。

 

 

 

 

 げほっ、ごほっ。く、臭い……! あやつ、訳の分からん個性を使いおって! 人の喉から臭う液体を出す個性とは、どんな嫌がらせじゃ!?

 何が「良く考えると良い。従うか、失うか。賢明な判断を待っているよ。返答が有るまで、話し合いは継続と言うことにしておこう」じゃ、あの背広男っ! よし決めた、あやつは殺す。さっき殴り損ねたし。嘘か(まこと)かも分からぬ話をするし、何より生理的に受け付けん! 

 

「廻道?」

「んん゛ーーっ! ん゛ん゛ーーっ!!」

 

 ……。まことに? まことに誘拐されたのかこやつ等。二人して何をやっとるんじゃ。被身子はどうした? この場には居ないようじゃが……。と言うか、ここは何処じゃ。さっきまで儂が居た場所とは違う。周囲を見たところ、この時代の酒場のようじゃ。受映機(てれび)で見たことがある、気がする。未成年は立ち入り禁止ではなかったか? 別に良いか、そんな事を気にしてる場合でもないからの。

 で、悪党(う゛ぃらん)連合に捕らえれた常闇と舎弟は椅子に縛り付けられておる。特に舎弟が酷い。口枷までされて、体は鎖でぐるぐる巻きじゃ。大方、派手に暴れようとして余計な拘束をされたんじゃろう。常闇は手枷と足枷ぐらいじゃ。まったく、何でこんな事になっているんじゃか。儂のせいかこれ?

 

 ……。よく考えなくても、儂のせいじゃの。事が解決したら、後で二人にも謝るとしよう。

 

 ひとまず、人質の確認は出来た。周囲には、こちらの様子を窺う輩が多数。悪党(う゛ぃらん)連合じゃの。露骨に警戒しおって。儂はまだ何もしない。儂一人じゃったらとっくに全員を縛り上げているところじゃが、今ここで儂が何かすれば悪党共は常闇や舎弟に危害を加えるつもりのようじゃ。

 

「マジで来たのかよ。何考えてんだこいつ……」

「死柄木弔。彼女はお客様です。丁重に扱わねば、面倒なことになりますよ」

「は? 客? こんなチビが?」

 

 手小僧……と、黒霧は相変わらずのように見える。以前と変わったことと言えば、やたら周囲の人数が増えていることか。常に二人で行動しているような印象じゃったが、どうもそうではなくなったらしい。

 それはそれとして、なんじゃこの火傷面。儂を見るなり、ちび呼ばわりじゃと? よし決めた。こやつも処す。ぽんこつだのちびだの、悪党(う゛ぃらん)連合は神経を逆撫ですることばかり言いおる。許さん。

 

「まぁまぁ待てって。せっかく可愛いお客さんが来たんだから、もてなしてやろうぜ! 仲間にはしねえけどな!」

「あら、しないの? こんな可愛い子だったら大歓迎だけど」

「JKと会話かぁ、ちょっとオジサン緊張しちなうかも」

 

 火傷男に続いて口を開いたのは、覆面を被った変な男と化粧をした変な口調の男。……男じゃよな? 儂みたいに性自認が違う可能性があるかもしれんが……。そしてもう一人は……これまた珍妙な格好をした奴じゃの。帽子に仮面に覆面て。被身子が見たらどんな反応をするのやら。あともう一人、壁に寄り掛かって一言も発しないトカゲみたいな奴がおる。

 取り敢えず、全員の顔は覚えておくことにしよう。顔を隠してる奴ばかりじゃけど。ついでに名前も聞いておくとするか。

 

「廻道円花じゃ。どうせ知ってるとは思うがの」

「あらやだ、この子丁寧だわ……! 誰よバーサーカーなんて言ってるのは!」

「ヒーロー志望に名乗れる名前は持ち合わせてねえ! 俺、トゥワイス!」

「マグネよ」

「で! こっちがMr.コンプレスでこっちが荼毘! あと、そこのトカゲみたいのはスピナーな!」

「ヤモリだ! トカゲじゃないっ」

 

 ううむ、やたらと騒々しい奴等じゃの。悪党(う゛ぃらん)連合。騒々しくて、多少癪に障る。何が苛つくって、出会ったばかりのこやつ等見ていると被身子を思い浮かべてしまう。まぁ儂の許嫁は下手すれば悪党になってしまう趣味嗜好を持っているが、それでも決してこやつ等と同列の存在ではない。被身子が悪党……? こうして想像してみると、妙に似合うのが嫌じゃのぅ。

 それと当たり前じゃが、誰一人本名を明かしていないようじゃ。名乗ったのは、英雄(ひいろお)名ならぬ悪党(う゛ぃらん)名。まぁ当たり前か。本名など名乗ってしまえば、そこから足が付いてしまう。

 

「まぁ短い仲じゃとは思うがよろしく頼む。ここは茶のひとつも出してくれんのか?」

 

 警戒を怠るつもりはないが、客として招かれているのなら相応に振る舞うとしよう。ほら、さっさともてなせ。牛乳と珈琲以外で頼む。

 

「ん゛ーーっ!!」

 

 堂々とそふぁに腰掛けると、舎弟が吠えた。喧しい。人質なんじゃから、少しは大人しくしろ。儂が何もしないのは、貴様や常闇が人質になっているからじゃ。そうでなければ、とっくにこの場を離れている。

 

「図太い奴だな。この状況でそんな態度取るか?」

「客らしく振る舞ってるだけじゃ。礼儀が欲しければまず貴様等が振る舞いを正せ。揃いも揃って間抜けか?」

「……トゥワイス。こちらをお客様に」

「オーケー任せな。自分でやれ!」

「あ、私にも頂戴。プロテイン入りで」

「白湯寄越せ」

「コーヒー」

 

 騒々しい。まっこと、騒々しい。こんな奴等が未だに捕まっていないことが不思議じゃの。

 

「はいお嬢ちゃん、ミルクお待ち! 牛乳飲んで大きくなろうなっ! 縮め!」

 

 おい、机に中身が入った容器(こっぷ)を叩き付けるな。しかも牛乳……。客の好みぐらい事前に聞かんか、まったく気が利かない連中じゃの。

 まぁ良い。今はそれで我慢してやろう。変な弱味を見せたくはないし、牛乳が飲めないのを良いことにぽんこつ扱いされるのも癪じゃ。別にその気になれば、牛乳くらい飲める。おい常闇、儂を見詰めるな。何じゃその目は。人質のくせに随分と余裕そうじゃな?

 

「んぐ……っ」

 

 ま、不味い。牛乳不味い。危うく吐き出すところじゃ。何で世の中にはこんなものが当たり前に売られているのか。気でも狂ってるとしか思えぬ。この世から無くなってくれぬかの、牛乳。いや、そしたら色々なおやつが食べれなくなってしまうか。仕方ない、存在は許してやる。代わりに牛乳として儂の前に出てくるな。

 

「仲間になるなら、まずは自己紹介から行こうぜ! どんな個性持ってんだ?」

「回転。術式は赤血操術。貴様等は?」

 

 警戒心が無い。儂がここに来た時の様子見は何だったんじゃと思う程に。この様子じゃと、別に今すぐ動いても問題は無い気がするの。

 常闇と舎弟の拘束を解いて、二人を連れて逃げ出す。儂なら余裕じゃ。懸念点は派手に縛り付けられた舎弟が自由になった時、何をしでかすか決まっているということ。間違いなく悪党に攻撃するじゃろう。逃げてしまった方が楽なんじゃけどな。いっそ気絶させて運び出すか? だあくしゃどうに運んで貰えば特に問題無い気がするの。

 

 あくまで、相手するのがこやつ等だけならな。

 

 どうしても無視出来ない問題がひとつある。儂がここから逃げ出そうとした場合、あの男が何をしてくるか分からん。直接追ってくるかもしれんし、呪霊を差し向けてくる可能性もある。どちらにしても一筋縄では行かないじゃろう。

 いっそ、誰かが助けに来るまで大人しくしているか? ここに留まれば話し合いは継続。あの親玉と結んだ縛りからして、それがもっとも危険が少ない。

 

「いや、ごめんなっ。それは話せないんだ。教えてやりてえ!」

 

 しかしさっきから、とぅわいすとやらは変な喋り方をしている。そろそろ鬱陶しいの。

 それに、こやつ等は誰一人として自らの個性を明かさないのも面倒じゃ。せめて個性の把握さえ出来れば、どのように動くかも選べるんじゃけど……。

 

「お嬢さん、下手な真似は止めた方が良い。この二人が人質だってこと、ちゃんと分かってるんだろ?」

「おい。触れるな」

 

 みすたあこんぷれす。とやらが、常闇と舎弟の間に立ち二人の肩に触れる。大人しくしていろと、儂を脅したいようじゃ。

 

「ひとつ手品を見せようか? ……タネも仕掛けも、ございません」

「は?」

 

 ……消えおったわ。常闇と舎弟が、椅子ごと消えた。仮面の悪党の両手には、硝子玉がひとつずつ。どうやら何かしたらしい。個性じゃな。どんな個性かは知らんが、ひと二人を消して見せるか。正直驚いてしまったが、心配はない。取り乱す必要もない。

 もし(まこと)に二人を消したと言うなら、それは親玉が縛りを破ったことになる。その挙げ句、儂をこの場に留めておくことが出来なくなるからの。消えたように見せ掛けているだけで、常闇も舎弟も無事じゃろう。

 

「二人の命は俺達の手の中。物騒な事は考えず、大人しくしてようか」

 

 まぁ、良しとしよう。どの道、あやつとの話が続く以上は誰にも危害は加えられん。縛りの中の儂の身の安全の保証は無いが、儂が狙われる分には問題ない。そもそも儂は、抵抗しようが何をしようが自由じゃ。縛りを破ることは無い。

 

「ちょっと! 女の子に意地悪しちゃ駄目でしょう!?」

「いってえっ!?」

 

 仮面の悪党が、化粧の悪党に叩かれた。仲間割れ、じゃったら良かったのぅ。生憎これは、戯れの範疇。悪党(う゛ぃらん)連合は、随分と仲が親しいようじゃ。

 

「……貴様等の事はもう分かった。儂は寝るから、静かにしてくれ」

「おいおい寝るなよ。状況分かってんのか? どういう神経してんだお前」

「死柄木、儂は別に良いんじゃぞ? 今ここで貴様等を皆殺しにしても。

 不利な縛りを結んだのは、そちらの親玉。文句が有るならあの男に言え」

 

 くあ……っ。ああ、いかん。眠くなってきた。悪党の前で無防備に寝る趣味は無いんじゃけど、もう寝る時間じゃ。儂がこの場に留まる以上、子供達が危害を加えられることはない。被身子も両親も、ひとまず無事に過ごせる。

 そう考えたら、うむ……。眠気が増してきた。昼間は訓練じゃったし、どうにも疲れているのぅ。起きていようと思えばまだ起きていられるが、起きていても何が出来るわけでもない。別に暴れてしまっても良いんじゃけど。まぁそれは、後に取っておくとしよう。

 寝込みを襲われる心配は無いとは言えんが……。ああ、儂を欲しがってる輩が儂に危害を加える真似はせんか。あの男の言うことが事実なら、儂は五条の末裔で器とやらにしたいらしいしの。

 

 ……。………、寝るか。寝てしまおう。久しぶりに、座ったまま寝るとするか。眠りは非常に浅くなるが、今でも一晩ぐらいなら大丈夫じゃ。前世では、よく旅の最中に木々にもたれて寝たものじゃ。うたた寝してたら呪霊に喰われかけたのは、良くない思い出じゃけど。

 

 

 すぴぃ。

 

 

 

 

 

 








AFO「絶対危害加えんなよ!?絶対だぞ!?」
円花(さては儂に危害加えれんな? 好き勝手しよう)
弔「マジで何なんだこいつ」

三人称による補完は要りますか?

  • 欲しい
  • 要らん
  • 良いから一人称で突っ走れ
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