待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!!   作:一人称苦手ぞ。

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誕生日当日。

 

 

 

 

 

 今日は被身子の誕生日じゃ。ついでに儂の誕生日でもある。母と父は夜まで出掛けてくると宣い、朝早くから出掛けて行った。何が「若い二人でごゆっくり……」じゃ。出掛け際に笑顔で言った辺り、儂が今日一日どんな目に遭うのかを理解しているに違いない。昨晩儂を除け者にして被身子と何かを話し込んでいたことを、儂は知ってるんじゃからな?

 今年の誕生日は、もしかしたら厄日かも知れぬ。が、今日は盛大に振り回されるとしよう。なにせ今日の儂は、被身子に絶対服従じゃからの。どんな事を言われようが、甘んじて受け入れるしか無いんじゃ。

 それに、まぁ……。何だかんだで、何をされても良いとは思っているし。被身子が喜んでくれるなら、笑顔で居れるのなら儂はそれで良い。誕生日なんじゃから、どれだけ甘やかしたとしても誰も咎めはしないじゃろう。多分、恐らくきっと。

 

 ……さて。覚悟を決めるとしよう。嫌な予感ばかりしているが、約束は約束じゃ。反故にするつもりはない。

 

「んふふ……。じゃあ円花ちゃん、まずはここに来てください」

「ん……。相分かった」

 

 居間。そふぁに腰掛けた、何故かすうつ姿の被身子が、膝を叩いて両腕を広げる。隣に置いてある大きな箱な白い箱は気になるところじゃけど、一旦見なかったことにする。両腕を広げているから、多分抱擁(はぐ)したいんじゃろう。もしかするとされたいのかも。まぁ、別にどちらでも良い。

 被身子の前に立つと、急かすように手を引かれた。されるがままに身を委ねると、被身子の膝上に跨がされた上に思いっきり抱き締められた。から、ひとまず抱き締め返しておく。真夏に身を寄せ合うと、どうしても体に熱が籠るのぅ。冷房が利いていて良かった。

 

「お誕生日、おめでとうございます。後、二年ですね」

「うむ。待たせてすまん」

「残念だけど仕方ないのです。円花ちゃん、ひとつ年下ですし」

「お主も、お誕生日おめでとう。これからもよろしく頼む」

「はい、よろしくされちゃうのです」

 

 お互い抱き締め合っているから、顔は見えぬ。けど、被身子が笑っているのが分かる。幸せそうにしておるから、特に文句はない。儂としては、そのままで居てくれることが好ましい。しかしまぁ、そこの箱が気になる。中々大きい。さっきから視界の端に入り込んでいる……気がする。何なんじゃろうなこれ。わざわざ被身子が用意している辺り、儂への贈り物か? こんな大きなものを?

 

「あ、これ気になります?」

「……うむ。何じゃそれ」

「私と輪廻ちゃん、それとおじさんからのプレゼントです。とぉっても、カァイイんですよ?」

 

 ……箱の中身が? 母と父が関わっている辺り、どうせろくな物ではないじゃろう。どうして贈り物に対してこうも警戒しなければならないのか。冷や汗が背中を伝った気がする。

 いかんっ、この箱……もしかして開けてはならぬのでは?

 

「夜までたぁっぷり楽しみましょうね……♡」

「……、お、お手柔らかに頼む……」

「それは円花ちゃん次第ですかねぇ。今日のトガは、円花ちゃんに何でもして貰いたいですから」

「っ、んん……。こら、被身子……っ」

 

 急に首に噛み付くなっ。一言言わんか、一言っ。ついでと言わんばかりに舐めるなっ。居間が汚れてしまうから、血を吸うつもりならせめて浴室で……! ってこら、しゃつの中に手を入れるな! 何で脱がそうとするんじゃっ!

 

「じゃあまずは、これ着てください。もちろん、ここで」

「……へんたい」

 

 何で着替える様を見せなければならないのか。いや、着替える時は大抵被身子と一緒じゃから今更羞恥心も何もないが。そもそもこやつに肌を見られる事に抵抗はない。が、こうして着替えろと言われるとそれはそれで微妙な気分になるのは事実じゃ。

 どうやら箱の中身は衣類らしい。被身子の膝上でしゃつを脱ぎ捨て下着姿になると、箱の蓋が開けられた。中には入っていたのは……折り畳まれた黒い服。見覚えが有るような、無いような……。

 

「じゃーん! メイド服です!」

「……」

 

 何故、めいど服。さては貴様、儂にこすぷれさせたいだけじゃな? それはいつぞやに着たじゃろうが。何で誕生日に、再び着なければならぬのか。

 ……まぁ、仕方ない。仕方ないの。今日のところは従うしかない。こすぷれでも何でも、命じられたら応じるしかないのが今日の儂じゃ。

 

「私思うんですけど、ポンコツメイドって一定の需要があると思うんです」

「……何の話じゃ、何の」

「んー……萌えの属性?」

「……お主なぁ……」

 

 また、訳の分からん事を口走りおって。かぁいいを追求するのは勝手じゃけど、もう少し儂に分かるように話してくれ。萌えって何じゃ萌えって。何処かで聞いたような気がするの。いつぞやに誰かが教室で長々と話し込んでいたのを、小耳に挟んだような……。あまりに熱中しているから気になって話に混ざろうとしたら、女子共に引き離されたのは今でも解せぬ。

 

「という訳で円花ちゃん。今日はメイド服着て、誠心誠意ご奉仕してくださいっ」

 

 ……めいどって、使用人の事じゃよな。今日一日、儂に使用人になれと? おい、儂は家事など出来ぬぞ。やろうとしても、普段は全力で止めに来るじゃろうが。どういう風の吹き回しじゃ。隙あらば儂を振り回そうとして……。

 

 ……。良い、許す。とにかく、この服を着れば良いんじゃな……? どうなっても儂は知らんからな??

 

「あ。それと、今日はたぁくさん愛の言葉を囁いてくださいね」

 

 それは気恥ずかしいから嫌じゃ。言わなくったって伝わってるくせに、何でいちいち言わせようとするんじゃっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カァイイねぇ、カァイイねぇ……!」

 

 めいど服。着た。何だかんだ着付けを手伝って貰ったあと、被身子は携帯電話(すまほ)を構えて好き勝手に写真を撮っておる。見世物になった気分で、何とも落ち着かん。

 それはそれとして、この服……着心地が物凄く良い。どうなっとるんじゃこれ。布地の肌触りは良いし、長袖のくせに大して暑くならない。もしまこの服、相当高価な物か? 母と父も関わっているそうじゃし、そう考えると……。

 

 なぁ、最近高い服を買い過ぎではないか? 贅沢するのは構わんが、ちゃんと身の丈に合った贅沢じゃろうな? 廻道家の家計簿がどうなってるのか儂は知りたい。今度詳しく聞いておくとするか。

 

「着心地とか、どうですか? どこか苦しかったりとかしませんか?」

「……ちょうど良い。どうなっとるんじゃこの服」

 

 ひらひらとしている割りにはかなり動き易いし、寸法は余りに丁度良過ぎる。洋服って、こんなに着心地が良いものじゃったっけ?

 

「実はそれ、円花ちゃんしか着れない作りなのです。全身詳しく採寸して、その情報を元に作って貰いましたから」

「は?」

 

 おい、いつ儂の体を採寸した? 儂、採寸された覚えは無いんじゃけど。さてはお主、儂に変身して測ったな? いつの間にそんな真似をしたんじゃ? まったく、油断も隙も無い……!

 

「という訳で、トガにご奉仕してください! 今日の円花ちゃんは、私のメイドさんなのです!」

「う、うむ……」

 

 使用人を使う経験は有っても、使用人として使われた経験は儂には無いんじゃけどなぁ。まぁ被身子が望んでるんじゃから、やってみるか。

 使用人と言えば……まずは家事からじゃよな? 取り敢えず、何から始めようか。一旦、被身子を落ち着かせるとしよう。冷たい飲み物でも用意すれば落ち着くか? 取り敢えず台所に向かって……。

 

「あ、そうだ。ポンコツしたらお仕置きですから、気を付けてくださいね?」

「は? ぽんこつなどしないが?」

「円花ちゃんがメイド服を着たら、それはもうポンコツメイドなんですよぉ」

 

 き、貴様……。調子に乗りおって……! 良いじゃろうっ、今日と言う今日は儂がぽんこつでは無いことを教えてやるっ! 後で謝っても許さんからな!?

 

 

 

 

 

 そんなこんなで。儂は夜まで使用人として扱われることになった。いつもは世話をされている側じゃから、被身子の世話をするのは中々新鮮で……意外と楽しんでしまった。途中まではな。

 

 じゃけどひとつだけ。ひとつだけ、文句を言わせてくれ。

 

 途中から、お仕置きと称した単なる辱しめが始まったのはどういう事じゃっっ!!

 









今回の話は事前になります。何のとは言いませんが。気長に待ってね!

三人称による補完は要りますか?

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  • 要らん
  • 良いから一人称で突っ走れ
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