待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!!   作:一人称苦手ぞ。

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回想:十三歳の夜

 

 

 

 

 

 トガです! トガヒミコ!

 

 私は今、道路を挟んでお向かいのお家のお庭に居ます! 真っ暗な夜中ですけど!

 

 どうしてそんなことをしているのかは、決まっています。だって、あと十秒もすれば私は十三歳になるの。だから一刻も早く、幼なじみの円花ちゃんに会いたいの。会って、トガをお嫁さんにして貰うのです!

 準備は万端っ。円花ちゃんの部屋の窓に鍵が掛かってないことは確認済みです。と言うか今日、私が開けたままにしておきました。円花ちゃんが鍵を閉めないと見越して開けたままにしておいたのです。トガは出来る女なのでっ。

 

 さん……に……いち……!

 

 ガラッッ!!!

 

「円花ちゃん、結婚しましょう!」

「たわけ! この時代の結婚は十八からじゃ!!」

 

 寝てるかも知れないとちょっぴり不安でしたが、やっぱり起きててくれました! 嬉しい! きっと私と同じ気持ちで待っててくれたのです!

 円花ちゃん優しい! 好き!!!

 

 最近伸ばし始めてくれた柔らかい髪もっ、綺麗な瞳もっ、羨ましいぐらいすべすべした肌も、他の子と比べたら小さい体も! ちょっとずるいぐらいカァイイ顔も! 私に向けてくれる優しい微笑みも! 慌てた顔も! 怒った顔だって! トガに笑って良いと言ってくれたことも! 私をずっと見守ってくれることも! 私が辛くて泣いてる時、本気でクラスメートに怒ってくれたことも! 私がどんなにやり過ぎちゃっても笑顔で許してくれることも! その変な言葉遣いだって、色々ポンコツなところだって!

 

 もう全部、ぜんぶぜんぶぜーーんぶ、何もかも! 私は円花ちゃんが大好きなの! 大大大好きでっ、これまでもこれからも愛してるの!!

 

「ちょ、待たんかっ! こらっ、何をするつもりじゃ貴様ぁ! おち、お……、落ち着かんかぁ!!」

 

 ふぎゃっ。真っ直ぐ円花ちゃんに詰め寄ると、小さくて柔らかいお手で顔を押されてしまいました。鼻が潰れそうなのです。でも、こんな事では諦めません。私は今日、結婚するのっ。大好きな円花ちゃんと結婚して、幸せになるの!

 

 だから今日は、ちゃーんと準備してきました! 円花ちゃんと結婚して、直ぐそういう事になっても良いように!

 体は念入りに洗って、たぁくさん勉強して、ひとりで練習もして、身も心も捧げるつもりで円花ちゃんの部屋に来ました! 輪廻ちゃんとおじさんにも許して貰ってます!

 あとはもう結婚して、円花ちゃんのお嫁さんになるだけです!

 そして、円花ちゃんをトガのお嫁さんにするのです!

 

「待てっ! 待てと言うとるだろうがっ! 貴様何をするつもりじゃ!!」

 

 何って、決まってますよぉっ。もう我慢出来ません! 今日はトガがどれだけ円花ちゃんが大好きなのか、一から十……いや百でも千でも万でも億でも兆でも無限でも! たぁっぷり教えちゃうのです!!

 だって私あの時からずっと、ずぅっと円花ちゃんが大好きで! いつかこういう事もするつもりで勉強したのですっ。

 

 だから、だから……っ!

 

「しましょう円花ちゃんっ! 夫婦の契りを!!」

「じゃから落ち着けぇ!! 迫るな!! 服を脱がすな!! 脱ぐな!!!

 貴様あっ、良いから少し大人しくせんかぁ!!!」

 

 ふべっっ!!!

 

 

 

 

 

 

 ぶすーーっ。おでこ叩かれました。グーパンなんて酷いです。痛い!

 何でそんなに嫌がるんですかっ。

 私のこと、お嫁さんにしてくれるって言ったのに。今日になったら結婚するって約束なのにっ。

 なのに。なのになのになのにっ。何で嫌がるんですかぁ……。私、何かしましたか? 何か嫌われるようなこと……しちゃったの? ヤだ。ヤです。嫌わないで。ひとりぼっちにしないで。円花ちゃんが居なくなったら、私……っ。

 

「ちょいと、儂の話を聞け被身子。これは大事な話じゃ。お主は聞かなければならん」

「ヤです」

「おい」

 

 ヤです。聞きたくない。別れ話なんか、聞きません。聞かれなくたって分かります。結婚の話はやっぱり無しって言うつもりですよね。小さい頃の約束なんて、無かったことにされるのが世の常みたいなもんです。でも……私は無かったことにしたくなかったの。ずっとこの約束を信じてたの。なのに今更、今更無しなんて……っ。何でそんな約束したんですか、馬鹿ぁ……っ。

 

「良いから聞け被身子。まず結婚はもう少し大人になってからじゃ。今の時代はそうなんじゃから、仕方ないことじゃろ」

 

 そんなこと、知ってますよぉ。でもでも、私はどうしても今……今日このタイミングで結婚したいの。指輪も式場も無いですけど、法律も世間も認めてくれないですけど、でも絶対結婚するんです。

 

 今日をどれだけ私が待ち望んでたのか、知ってますか?

 去年の誕生日から、明日が誕生日なら良いのにって何回思ってたか知ってますか?

 

 やっと、やっと誕生日が来たのに……っ。何で直ぐに結婚してくれないんですかぁ……っ。

 

「これだけは伝えなきゃいけないんじゃよ。それを聞いた上で、まだ結婚したいとお主が言うなら儂は」

「結婚します!」

「たわけ。まだ何も言うとらんじゃろ」

「でもぉっ! 何を言われたって円花ちゃんと結婚したいです!」

 

 だから、だから。何でそんな……複雑そうな顔して目を逸らすんですか。こっち見てくれなきゃヤです。

 

「……あのなぁ。お主が思うとる程、儂は()い人間じゃないのじゃぞ? いつか儂は、被身子を傷付ける。これは絶対じゃ。その時が必ず来る」

「来ません」

「来るんじゃよ。いずれそうなる人生を、儂はもう一度歩む。この生き方は変えられん。この生き方しか、儂は知らぬ。その果てに……悔いを残して死ぬじゃろう。

 ……そこにお主を巻き込みたくない。大切じゃから遠ざかって欲しい。そう思ってるのも、事実でな。それでも……儂の側に居たいか?」

 

 円花ちゃんが何を言いたいのか、私にはさっぱりなのです。円花ちゃんは時々、こういう話し方をします。何かを隠しながら、私を納得させようとするのです。

 でも今日は、何を言われたって納得しません。引き下がったりなんかしないの。絶対に、ぜーったいに結婚するから!

 

「結婚します!」

「いや、じゃからな被身子……」

「結婚します!!」

「おい。少しは考えろ。儂以外にも男はおるじゃろ。そっちの方が良いかも知れぬのじゃぞ?」

「結婚します!!!」

 

 あと! 円花ちゃんは女の子です!!!

 

「結、婚っ!! します!!!」

 

 ……それに。悔いなんて残させない。絶対、絶対に……円花ちゃんを幸せにします。その為なら、私はなんだってするのです。ううん、して見せるの。

 

「……はぁーーっ。お主なぁ……。まったく……仕方ない奴じゃな……」

「仕方なくないのですっ! 私をこうしたのは円花ちゃんなんですから、責任取って!!」

「……良かろう。約束は果たす。被身子、儂の嫁になるが()い。必ず幸せにしてやる。

 じゃから、儂の隣では笑っておれ。儂の為に笑え。儂と共に、生きてくれ」

「はい! はいっ!! 幸せにしてくださいっ!  私も円花ちゃんを幸せにします!

 円花ちゃんと、一緒に生きます!!」

 

 

 いやったーー!!!

 

 結婚! 結婚出来ました!!!

 

 

 

 

 

 






今日は更新しないと言ったな。あれは嘘だ。
上手く書けてるかは分かりませんが、書けてたら良いなぁ。

何のとは言わないけど、これ導入シーン①です。決まり手は東トガの寄り切りです。西円花は悔しい黒星。
流石に円花の外見出すかなって悩んだけど、やっぱり出さないことにします。だから髪色も髪型も瞳の色も出してません。みんなの理想の円花を想像してください。身長145cmとえんび色の男性着物着てるって情報だけは出しておきます。あとこれだけは言わせて。左の鎖骨下にほくろがひとつある。

本番シーンは……まだ執筆中ですね。書けたら別枠で投稿するので探してください。でもちょいと時間がかかることでしょう。全裸待機は風邪を引くので、厚着してお布団待機しててください。全裸待機したら本番シーン無しだからな。良いな?無しだからな??

三人称による補完は要りますか?

  • 欲しい
  • 要らん
  • 良いから一人称で突っ走れ

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