待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!! 作:一人称苦手ぞ。
廻道円花が、渡我被身子に前世について話している頃。死穢八斎會の治崎は、壊理奪還の為の準備を進めていた。
目標となる壊理は、現在ヒーロー達や警察に保護されている。であれば、事は慎重に運ばなければならない。
彼女を元に個性を壊す弾薬を製造し、そして壊れた個性を取り戻す薬を製造。そして流通。そうすることで、ヒーローもヴィランも顧客にする。そして……死穢八斎會を更に大きなものへと、日陰者達の頂点へと登り詰める。全ては、治崎を拾い上げてくれた組長の為に。
……だが、その野望を叶える為にはまず目の前の難題を越えなければならない。恐らくは厳重に警護されているであろう壊理を助け出すには、残念ながら死穢八斎會の力だけでは荷が重すぎる。
だから。治崎としても断腸の思いだった。
頭を失い瓦解寸前の小悪党を頼ることは。
「つまり、あんたは今更俺達を頼りたいってか? 笑えるなオーバーホール。うちの連中を傷物にして、俺達を下に見てヤバくなったから助けてください? くっだらねぇなおい!」
遡ること、一週間以上も前。
トゥワイスに連れられた治崎は、その場での小競り合いにてマグネ及びMr.コンプレスの片腕を吹き飛ばした。結局その場は死柄木の冷静な対応で、事なきを得た。これには連合の面々も不服ではあったが、それでもこの若きリーダーを仲間として信じている。彼の指示ならば、彼等は動く。故にここ最近は、マグネとトゥワイスが死穢八斎會に出向していた訳なのだが……。
「んな話は断ろうぜ。助けてやろう!」
「アタシもやぁねえ。腕一本差し出すって言うなら考えてあげるけど」
「まったくだ。俺も一本差し出して貰わなきゃ割りに合わねぇ」
敵連合の内、三人。トゥワイス・マグネ・Mr.コンプレスは、オーバーホールに対し敵意を見せ付けた。戦争をおっ始めても良いと、言い出しかねない表情だ。尚、荼毘とスピナーの姿は見えない。
死柄木の方針には同意、或いは従う彼等ではあるが、それと殺意は別なのである。
自らの腕を、もしくは仲間の腕を奪った憎い男。敵連合からすれば、治崎とはそれ以上でも以下でもない。今はまだ大人しくしているが、いつ殺し合いが始まってもおかしくはないだろう。それほど、死穢八斎會と敵連合の間に横たわる溝は深い。
「……そこはお互い様だろう。こちらも被害を受けている」
まるで、火に油を注ぐかのような態度だ。治崎は額の傷跡を指差しながら、協力して貰いたい筈の敵連合を煽る。とても人に物を頼むような態度ではない。が、下手に出てしまえば死穢八斎會を良いように使われてしまう可能性が高い。であれば、治崎が態度を改めないのも仕方ないところだろう。
極道者は、ナメられたらお終いなのだ。
「何もただで働けって訳じゃない。相応の報酬は用意してある」
「へぇ? 例えば?」
「壊理の奪還を成功させれば、シノギをさせてやる。何かと入り用なお前達にとって、悪い話じゃないだろう?」
「金かよ。しかも、下に付かせる気満々。相変わらず見下してんな」
無表情を保つ治崎に対し、死柄木は心底嫌そうな顔をして肩を竦める。悪党同士が行う交渉の中で、表情や声音をコロコロと変えるのは如何なものか。こんな調子で接し続けるから、治崎は死柄木を……敵連合を信用出来ないのかもしれない。
「まだ、お前達には信用が無い。信頼に足る実績もだ」
「そりゃお互い様だ。が、こっちとしても用がある奴が居る。
ガキを連れ去ることに興味は無いが、あのイカれた女を止めることには協力してやる」
「……廻道円花か」
「あれはこっちの獲物だ。縛りがどうとか先生は言ってたが、要するに俺達は契約を履行しなきゃならない。
なぁ、オーバーホール。目に見えない化け物や力を信じられるか?」
敵連合に死穢八斎會。彼等は互いに互いを、信用しない。そして信頼もしない。けれでも、利害は一致している。
たったそれだけ。しかし、たったそれだけで時に悪党は手を組み、巨悪へと成り果てる事がある。
「トゥワイス、荼毘とスピナーを呼び戻せ」
「良いぜ! 自分でやれ!!」
二つの悪意が、混じり合おうとしていた。
さらっとマグ姐が生存です。コンプレスのように片腕無いですけど。
荼毘とスピナー、どこで何してるんでしょうねぇ。
三人称による補完は要りますか?
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欲しい
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要らん
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良いから一人称で突っ走れ