待て! 止さぬか! 儂じゃなかったら死んでおるぞ!! 作:一人称苦手ぞ。
「……円花ちゃんが人殺しをしたい理由は分かりました。なので、今から抱きますね」
は?
「こういう時は、慰めエッチですよねぇ。あ、大丈夫ですか? おっぱい揉みます?」
は? いや、おい。おい……被身子。貴様、何を聞いてたんじゃ。何でそうなるんじゃっ。こら待て、迫るな。笑顔を見せてくれるのは良いが、迫るな。胸を突き出すなっ。
解せぬ。まっこと解せぬ……! 何でこやつは、いつもこうなんじゃ。そんなじゃから、友達の一人も出来ないんじゃないのか? いや、くらすめえとに友達が居ることは知っているが……。もしやこやつ、儂以外にもこんな真似をしとるんじゃないじゃろうな?
そんな可能性は……無い、と言い切りたい。実際は分からん。じゃって被身子じゃし。儂以外の誰かにこうしていても……。いや待て、さては浮気か? 許さん。それは絶対に許さん。儂が居るじゃろ儂がっ! 浮気なんてしたら、離婚じゃからな!?
「こら、被身子っ。止さぬかたわけ!」
「んー、円花ちゃんが元気になったら考えても良いですよ? そんな悲しそうな顔されたら、慰めたくなるに決まってるじゃないですかぁ」
……。また、訳の分からん事を。誰が悲しそうじゃって? 事実を話すことの何が悲しいんじゃ。さてはこやつ、目玉が腐ってるのか? とうとう腐り果てたか? やはり、比奈のように
「……っ、何をする気じゃ貴様……!」
押し倒されたわ。
「だからぁ、慰めエッチですよぉ。いっぱい気持ち良くしてあげますから、それで元気出して欲しいのです。嫌なことは、ぜーーんぶ忘れちゃいましょう」
「必要無いんじゃけど!?」
「もぅ、強がっちゃって。そういうとこもカァイイですけど、今は素直に甘えたって良いんですよ?」
むぐっ。胸を顔に押し付けるな! さっきから何なんじゃっ!!
「……良いの。私の前では。円花ちゃんの強いところも弱いところも、全部私が受け止めてあげるのです」
「……むぐ」
喋れん。息苦しい。儂への当て付けか? 何でこやつの胸は膨らんでるんじゃ。最近ぶらを新調したのを知っとるんじゃぞ。おかしい、これも解せぬ……。解せぬぅ……。
「……もう、人殺しなんてしちゃ駄目なのです。私が頼人くんや比奈ちゃんだったら、きっとそう思うから」
……それは、貴様の思ってることじゃろう? 都合良く、二人の名前を使うな。儂は殺さなきゃならない。子供を傷付ける者も、蔑ろにする輩も。殺せるだけ殺して、一人でも多くの子供を助けたい。
この生き方は、どうしても変えられないから。結局のところ加茂頼皆は、廻道円花になっても変わらないんじゃから。
「それでももし、どうしても人殺しをするなら。……何処へでも、トガを連れて行って下さい。共犯者になります。何でもしてあげるから、いつまでも一緒に居てください」
「……」
じゃから、どうしてそうなるんじゃ。共犯者なんて要らん。これは儂が一人でやるべき事じゃ。そこに被身子を巻き込んで、二人してお尋ね者になるなんて真似はしない。後、そろそろ儂の顔に胸を押し当てるのは止さぬか。いい加減、儂にも喋らせろ。さては、儂に何も言わせないつもりか?
……良いじゃろう。こうなったら、無理矢理にでも貴様を退かすぞ。腕力で儂に勝てると思うなよ。今までは、負けてやってただけなんじゃからな!
「円花ちゃんが人殺しになっても、私は絶対離れたりしないのです。ずっと、ずぅーーっと一緒です。もう頼皆くんを、独りになんてさせませんから」
「……」
うるさい。馬鹿、阿呆。たわけっ。何で儂から離れようとしないんじゃ。後、急にそっちの名前で呼ぶのは止せ。被身子に呼ばれると、なんじゃか変な気分になる。いつも通り、円花と呼ばんか。まったく。
「ずっとずっと、一緒に居るのです。だから、円花ちゃん。私を共犯者にしてください」
「……」
何度も言うな、たわけ。それに何度同じ事を言ったとしても、儂は絶対に頷かんからな。
「あと、たまには前世の名前で呼んでも良いですか? 良いですよね?」
「むぐ……」
まぁ、呼び方については勝手にしたら良い。じゃけど共犯者は駄目じゃ。こやつを人殺しにしたいとは思わん。人殺しは、儂だけで良い。そもそも、儂からすれば今更なんじゃ。加茂頼皆はとうの昔に人殺しで、じゃから廻道円花もいずれそうなってもおかしくないわけじゃし。
むしろ、よくもここまで人殺ししなかったなと思うぐらいじゃ。これまでは被身子や両親に迷惑を掛けたくなかったから避けてただけで。ただそれも、もうそんな事を言っている場合じゃないんじゃ。
「一緒に
どうしてじゃ。どうしてそんな簡単に笑って、明るい未来を思い浮かべる事が出来るんじゃ。貴様、分かってるのか? 人殺しじゃぞ。情報が直ぐにでも広まってしまうこの時代、人殺しが幸せに生きれる筈がなかろう?
こやつは分かってない。人を殺すのがどういう事なのか。儂はもうとっくに呑み込んでいるが、被身子はどうなるか分からん。この阿呆に罪の意識が宿るとは思えんのも、まぁ事実じゃけども。
「ね、円花ちゃん。頼皆くん。一緒に堕ちちゃいましょう。周りも世間も気にしないで、二人だけで幸せになりましょうよぉ」
「……むぐ、ぐ。ぷはっ。じゃから貴様、さっきから何を言ってるんじゃ!」
「何って、新しい人生設計なのです。円花ちゃんと私の、これからの!」
「そんな人生設計が有ってたまるか……!」
「どうして? だってきっと、遅かれ早かれ円花ちゃんは人を殺しちゃうと思います。どうしたって私は離れないんですから、共犯者にしちゃった方が色々と得ですよ?」
訳が分からん。貴様を共犯者にして、何がどう得になるんじゃ。何でも自分の思い通りになると思うなよ。それは時と場合によるんじゃ。そして今回は、こやつを思い通りにさせる理由が無い。
もう、良いじゃろ。人を殺したい理由は話した。話すつもりの無かった事を話してまで、説明したんじゃ。じゃからもう、いい加減にしてくれ。もう良いから、いっそ儂を見限ってくれ。そしたら、そしたら……。
「……離れないから。絶対に離れないのです。円花ちゃんが私を嫌ったって、離れてあげない。
だから、一緒に背負わせて。円花ちゃんが、……頼皆くんが抱え込んじゃってるものを、トガに半分ください」
止せ。そんな顔で、そんな言葉を言うな。今は、止めて欲しい。儂が人を殺してしまったら、それは叶わないじゃろう。貴様がどんなに望んでも、仮に儂が……それを望んだとしても。
「だから、……だから。いい加減、私を見てくれなきゃヤです。これ以上は、堪えられないので」
「……」
あぁ、もう。止せ、止めてくれ。儂を甘やかそうとするな。共犯者にもなろうとするな。何より、その表情を止めろ。笑うなら、ちゃんと笑ってくれ。いつものように、笑ってくれなきゃ困る。
今回ばかりは譲れぬけれども、貴様を傷付けてしまうけれど、それでも……心の底から笑って欲しい。もっとも、今こやつにこんな顔をさせてるのは儂じゃ。儂が一切譲らないから、被身子は不安になって、いつものように笑えないで居る。こんな顔をして欲しくないから、今だけは離れて欲しいのに。
「共犯者には、しない。儂は治崎を殺す。貴様の助けも、支えも要らん。あの男を殺したら、きっと次は……ないとあいや相澤を殺すじゃろう」
「……っ」
「……儂は人殺しになる。そしたら、お尋ね者じゃ。そんな儂の側に居たって、苦労するだけじゃろ。幸せになんて、きっとしてやれない」
「でも、円花ちゃん……!」
「……それが嫌なら、せいぜい止めることじゃ。儂が治崎を、誰も殺さぬように見張っておれ。それが出来たなら、……儂は諦める」
「……!」
これは、譲歩じゃ。儂は治崎を殺したい。じゃけど、被身子を共犯者にしたいとも思わん。かと言って、人殺しになった後でこやつの側に居ることは出来ないじゃろう。
じゃから。共犯者なんかになられるぐらいなら、いっそ止めて貰うことにする。無理難題を吹っ掛けているのも、分かってる。じゃけど、これしかないんじゃよ。ここまでは譲歩してやるから、今だけは少し折れてやるから、もうその顔を止めてくれ。
……何をしとるんじゃろうな、儂は。被身子の笑顔の為ならなんだってして来たのに、今になって傷付けて、悲しませて。なのにまだ、あの男への殺意は消えない。心の何処かで、今の被身子を邪魔に思っている。
「いい加減に退いてくれ。重い」
色々と、重い。物理的に。そして精神的にも、じゃ。もう、何も話したくない。これでも最大限の譲歩はした。これ以上は、もう良いじゃろう? 分かったなら儂の顔を見詰めてないで、さっさと退いてくれ。
のぅ、被身子。儂がその気になれば、貴様なんか直ぐにでも退かせるんじゃ。儂がそうしてしまう前に、儂の上から退いてくれ。
「嫌です。だって、これから円花ちゃんを抱くんですから」
「……おい。今はそんな気分じゃ無いんじゃけど」
「直ぐにその気にさせてあげます……♡ 頼皆くん、愛してますよ……♡」
っ。おい、人の話を聞け。耳元で囁くな。くすぐったいじゃろ……っ。
こら、被身子。
※この後めちゃくちゃされた。
三人称による補完は要りますか?
-
欲しい
-
要らん
-
良いから一人称で突っ走れ